三つ巴戦⑥
ヴェルの薙刀が振るわれ、
「な……」
突然に仲間が頭頂部から両断された事に隣に立っていた仲間の動きが止まり、意識がそちらに持っていかれた。
(もう一体……いけるわね!!)
ヴェルはその隙を見逃さず薙刀を横に振るった。ヴェルの薙刀は
ピクリとも動かない所を見るとすでに絶命しているのだろう。
ヴェルの薙刀術はここに来て飛躍的な進化を遂げているのは間違いない。日々の研鑽に加えて初見ではまず見切ることの出来ない。
元々薙刀は間合いが長い武器であるが、そこからさらに柄が伸びるというのはほとんどのものは想定していない。そのためヴェルの薙刀は振るった瞬間に凄まじい速度で伸縮するために見切るのは非常に難しいために初見ではほとんど決まる。しかも、ヴェルの場合は基礎的な薙刀術も一気に上がっているために、ヴェルの薙刀の間合いが自由自在であると相手に知られても何の問題もない。むしろ知られた方がやりづらさは一気に増すという結果になってしまうのだ。
「気を付けろ!! こいつは振るう際に柄を伸ばしている!!」
(なるほど雑魚じゃないのは確かね)
ヴェルはエクレスが一目でからくりを見抜いた事にエクレスの評価を少しばかり上方修正した。ここまであっさりとアディル達の口車に乗せられて黒衣の剣士達と殺し合ったために評価は高いわけではなかったのだ。
ヴェルが先制攻撃を行い二体の
その間隙を突いてベアトリスの
ベアトリスはすでに倒れ込んだ
放たれた左手はワイヤーで繋がっており急速に巻き戻されるとそのまま
「が……」
喉を刺し貫かれた
まぁ自由になったとはいってもそれは重力によって倒れ伏すという選択肢以外はなかったのだが。
(すごいわね……ベアトリス)
エスティルはベアトリスの傀儡術を横目に見ながら、心の中で称賛する。
そのエスティルも
アリスもまた
* * *
ヴェル達が
アンジェリナの魔術である
しかも、運の良いことにその黒衣の剣士の周囲には比較的近い位置に黒衣の剣士だけでなく
直撃を何とか避けた黒衣の剣士、
「く……」
アンジェリナの
「水剋火、水気を持って火気を剋す!!」
そこにアディルが水気を纏ってアンジェリナの炎を突っ切って黒衣の剣士に斬りかかってきた。アディルの水気により相殺され炎の中を突っ切ってきたアディルに黒衣の剣士は完全に虚を衝かれた形となってしまった。
アディルは黒衣の剣士の間合いに入ると同時に
倒れる黒衣の剣士に目もくれずにアディルは次の相手に狙いを定める。
(次はあいつか……)
アディルは
「じゃあな」
アディルは返す刀で|闇の竜人の首を刎ね飛ばした。首が飛ばされた
(よし、やつらは混乱からまだ立ち直っていない。そっちから潰すか)
アディルが新たな敵に狙いを定めるために視線を動かすと、一体の黒衣の剣士をシュレイが斬り伏せるのが見えた。
シュレイもまた混乱から立ち直る前の者に狙いを定めると上段から剣を振り下ろした。黒衣の剣士は不意を衝かれた事もあったのだが何とかシュレイの上段斬りを受け止める事に成功した。
しかし、シュレイはそのまま剣に魔力を込め、全身の力を使って黒衣の剣士をその力で圧倒した。黒衣の剣士は腕の力のみでシュレイの剣を受け止めていたが、シュレの方は全身の力だ。
シュレイの剣は黒衣の剣士の剣を断ちきるとそのまま頭部を両断した。シュレイもまたアディルから体の使い方を教わっており、自らの剣術に
(シュレイは
アディルはシュレイの進化を心の中で称賛していた。シュレイもまたアディル達に追いつくために日々の研鑽を欠かすような事はしないのだ。
「おのれぇぇぇ!!」
一体の黒衣の剣士がアディルに突きを放ってきた。自失から立ち直ったかのように見えるが体の動きがバラバラで隙だらけであり、動揺から立ち直っているわけではない事をアディルは即座に見抜いた。
アディルは黒衣の剣士の突きを紙一重で躱すと同時に黒衣の剣士に対し歩を進めるとそのまますれ違い様に黒衣の剣士の脇腹を斬り裂き、返す刀で黒衣の剣士の延髄に刃を振り下ろした。
延髄を斬り裂かれた黒衣の剣士は鮮血を撒き散らしながら膝から力が抜けるとそのまま倒れ込んだ。
(あと……三体か)
アディルは黒衣の剣士を見てニヤリと嗤った。
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