第33話 幕間②
エイサンに戻ったアマテラス一行は心に大きな傷を負うことになったポーション確保の任務を終えた後に、簡単な任務をこなし続けていた。
それから一ヶ月程でアディルとヴェルは昇進試験に見事合格すると“ブロンズ”クラスのハンターとなり、エスティル、アリスもハンター試験を受けて見事合格し、ハンターとなっていた。
「なぁ、みんな話があるんだけど」
一日の任務を終えて宿の“アゴルド”に戻ってきたアマテラス一行にアディルが口を開く。
「一度、王都に行ってみたいんだけどどうだろう?」
アディルの言葉に全員が即座に返答する。
「良いんじゃない」
「そろそろ行こうと思ってた所よ」
「王都かぁ~どんな感じなんだろ楽しみ♪」
「私も王都に興味あるわね」
四人の仲間達はまったく躊躇すること無くアディルの意見に賛同する。あまりにも簡単に賛同が得られたのでアディルは拍子抜けしたぐらいであった。
「あれ、いいの?」
アディルの言葉に四人は笑いながら頷く。
「うん、そろそろ言い出す頃かなと思ってたし、それに私達も王都に行ってみたいと思ってたのよ」
「そこでアディルが言いだした時に王都に行こうって決めてたのよ」
「そうだったのか?」
「「「「うん♪」」」」
アディルの言葉に四人は声を揃えて返答する。その返答を聞いてアディルは憮然とした表情を浮かべた。アディルだけがその事を知らなかったし四人がイタズラ成功という表情を浮かべていたからだ。もちろんアディルにあったのは怒りでは“してやられた”という思いが強かったからである。
「さてと……それじゃいつ出発するの?」
ヴェルがアディルに尋ねる。アディルは少しばかり考えて口を開く。
「そうだな。明日は準備という事であさって出発という事にしようか」
「「「「賛成~♪」」」」
アディルの意見に四人はニコニコしながら同意を示した。こうしてアマテラスは王都に向け出発することになったのであった。
* * *
「ログから連絡が入りました」
一人の青年が駆け込むと同時に中に座っている人物に言う。報告を受けた人物はニヤリと嗤うと視線で連絡の内容を促すと青年は姿勢を正して報告を行う。
「ログからの連絡では
「王都だと?」
「はい、明後日出発するとあります」
報告を聞いた人物は少し考え込む。
「ふん……」
「マスターはどうされるおつもりですか?」
「何が?」
「あのガキ共は油断できません」
「確かにな。敵対者は容赦なく始末するという話だったな」
「はい、イブンはそのせいで死んだという話です」
青年の声は忌々しげなものである。仲間を失った故の怒りでは無く自分達を舐めている事に対する怒りである事をマスターと呼ばれた男は察してる。
「確かに雇い主の方からも急げとせっつかれているからな。まぁ、あいつらはログとエジンがすでに術を解かれていることに気付いていないはずだ。それを利用すれば簡単に取り押さえることが出来るだろうよ」
マスターの言葉に青年もニヤリと嗤う。
「よし、ジルド……三十人ばかり連れてガキ共を始末しろ」
「三十人ですか?」
「ああ、念には念を入れてだ」
「はい。分かりました」
ジルドはニヤリと嗤うとマスターに一礼すると扉を開けて出て行く。それを見送ったマスターは含み笑いを漏らす。
「ガキ共め……“
マスターの声には嗜虐の感情に満ちていた。
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