エピローグ

 しとしとしと・・・


「雨ですね」


「だな」


 ショッピングモールに行って、約一週間。世間はもう三月に入り、ひな祭りも終えた。


 しとしとしと・・・


 雨が降っている。そんなに強いわけではない・・・ただ、ひたすらに雨が降っていた。


「ねぇツチノコ?」


「どうした?」


「コンビニ行きません?」


 唐突なトキの言葉。一件、この雨の天気でわざわざコンビニなんて出かけようと思うなんて、おかしな話だ。しかし、ツチノコにならその意味がわかる。


「肉まん食べにか?」


「そうです、お財布持たずに行きましょう?」


「またあれやるのか?いいぞ、私も二胡で合わせるよ」


「じゃ、決まりですね。行きましょうベストフレンド!」


「ベストフレンドね・・・もう今はフレンドじゃないだろ?」


「じゃあ・・・行きましょう!ベスト・・・ラバー?」


「ははは、なんかヘンテコだな?よし、行くか!」


 ツチノコが二胡を手に持ち、傘を傘立てから引き抜く。トキはツチノコと自分を固定する例の道具を体に付ける。


「「行ってきます」」


 そう言って、玄関を開けた。











 初めて自分の歌を理解してくれる人。

 初めて地上に出て親しくしてくれた人。


 そんな二人の物語。ここで一旦、おしまい。

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