第43話・裏 ロバの行方

「で・・・何があったのかしら?」


「うるさいわね・・・ロバは今どうしたらいいのかわからないんです・・・」


「訪ねてきておいて失礼ね・・・親しき仲にも礼儀ありと言うじゃない?ま、紅茶でも淹れてあげるわ、また腕を上げたのよ」


「自分で言っちゃう?まぁ確かに美味しいのは認めるけど・・・」


 ロバはツチノコとトキが事務所に帰ってきた時、とある民家に出かけていた。というより、逃げてきたのだ。


「まぁ、話ならゆっくり聞いてあげる。元クラスメイトとして、幼馴染として、親友として、家族として、ね?」


 そう言ったのはロバと深い関わりのあるフレンズ。ピンクの髪色に白いエプロンが特徴的のフレンズ。


「ありがとうピーチパンサー・・・」


 そう、ピーチパンサーである。

 しばらくして、彼女が台所から戻ってきた。


「ほら、とりあえずこれ飲んで落ち着きなさい」


 そう言って紅茶を差し出される。ロバはその言葉に甘え、一口飲み込んでからカップを置く。


「やっぱり、あなたの淹れる紅茶は美味しい。カフェでも開けばいいのに」


「ふっふっふ、実はもうカフェを作ろうって計画してるのよ。今年の夏くらいには行列店を立ち上げてみせるわ」


「本当!?絶対行く、親友として!」


「そこはお客様として来て欲しいわね・・・」


 少々談笑をしてから、本題に入る。


「で、なんでまたロバはここに?仕事は?」


「逃げてきたんです、恥ずかしながら・・・ちょっと色々あって・・・」


「・・・聞いてあげるわ、私とロバの仲だもの」


 私とロバの仲、とはなかなか深いものだ。さっきピーチパンサーが言った通り、様々な関係を持っている二人だが大元は同じ飼育員に担当された仲、である。お互いフレンズ化したばかりで対面し、同じ環境で育った。

 しかしそれは家族とも姉妹とも呼べそうなものだが、お互いは親友と呼ぶ。それが一番適切な気がするのだ。


「いや、このロバが直接的に困ってるわけでもないのだけど・・・ちょっと最近入った後輩がね?その・・・レズというと違うけど?女の子が好き・・・いや、違うな。女の子なのに女の子が好きになっちゃった子が居るんだけど・・・さっき連絡用インカムから色々・・・」


 ロバはトキ達が公園で話している音声を全て聴いてしまった。後輩の恋を応援はするが、あまりにもピンク色してるので恥ずかしかったのと帰ってきた時に合わせる顔が無いのとで逃げてしまった。その事を一通り説明する。


「あぁー、辛いわね。まぁその・・・気付かないふりしてあげるのがいいんじゃないの?うん。フレンズ同士にはよくある話よ」


「でも、あの子達なんか激しくて・・・『愛してる』とか『恋人で』とか聞こえるし、チュッチュチュッチュ何回もキスする音が聞こえるんだもの・・・」


 ロバは自分で言ってて顔を赤くする。手で覆い隠し、今にも湯気がのぼりそうになっている。


「さ、忘れなさい。忘れてしまえばいいの、趣味の話でもしましょう?」


「そうね・・・で、趣味ってまさか紅茶の話じゃないよね?」


「まぁ、あなたとする趣味の話と言えば・・・こっちよね?」


 ピーチパンサーはエプロンの裏から黒い先の別れたムチ・・・バラムチと呼ばれる物を取り出す。

 対してロバは以前ライオンによってあらわにされた・・・スカートの裏から手錠を引っ張りだす。


「「やっぱりあなたとは気が合う」」


 その後、二人はしばらく語り合ったという・・・

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