竜の屍(かばね)〜魔女集会で会いましょう
日暮奈津子
第1話
とりあえずなんかこう、ぐちゃぐちゃうごうごした魔っぽい何かに右半身に取り憑かれた少年を廃墟みたいなった滅びた王都の路地裏で見つけて「実験材料にしたら面白そうだから拾ってやるぞえ」ってぞっとするよな残酷な笑みで告げるところからこのお話は始まる。
魔女さまは、大いなる魔力を操る魔法王さまに愛されすぎて、永遠に年も取らない死なない身体とすっげー魔力を与えられてしまったのだ。
なのに肝心の王様は死んじゃった。
だからこう、いろいろと荒れてたんだけど、ぐちゃぐちゃうごうごな何かに取り憑かれた少年をみっけてしまったのだ。
「おお、これこそ竜の屍(かばね)を宿せしものよ。この者こそが妾(わらわ)に永遠の安息をもたらすであろうぞ」
魔女さまは少年がもっともっと強大な力を使いこなせるよう、あれこれ非道な実験やら試練やらを少年に課しつつ決して死なぬよう大事に育てる。
……自分を殺すために。
魔女さまがまだ魔女さまじゃなく只の娘っ子だったころに相愛の恋人がいたが、魔女さまを見初めた魔法王によって2人は引き裂かれ、村は焼かれ、魔法王の魔力によって魔女さまは永遠の命と美しさを与えられた。
魔法王国滅びたあとも魔女さまは生き続け、長い長い年月ののちに竜の屍を宿せし少年を拾って育てる。自分を殺す唯一最凶の武器に鍛えるため。
過酷な試練を課される少年は魔女さまに敵意を抱き、反発しつつも、魔女さまを心の奥底から憎み切ることができずにいる自分が不思議だった。
そしてついに真の「竜の屍」となった少年に、魔女は命を奪われた。
その時、少年は前世の記憶を取り戻す。
魔女さまがただの娘っ子だったときに、将来を誓い合ったことを。
魔女さまは、自分が愛する者の腕の中で永遠の安息を得たことを気づいていたのだろうか?
(終わり)
竜の屍(かばね)〜魔女集会で会いましょう 日暮奈津子 @higurashinatsuko
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