どこまでいっても、ここはさばく
とてもじゃないが熱い、と思った。
熱せられた肌はそのまま蒸発してしまいそうで、そうすれば、ぼくはここからまさに摩天楼の如く消え去るだろう。
そう考えているうちはまだ楽で、次の瞬間、喉の渇きが阿呆みたいに襲ってくる。
それはもう、まるで恋のように、ぼくは喉の渇きのことしか考えられなくなるのだった。
とてもじゃないが、熱い。
ぼくはぼくが蒸発しないように、消えてしまわないように、ながいながいマントを、首から巻き付けている。
そうしてぼくをマントに押し込めて、ぼくを保っている。
消えないよ、消えないよ。
摩天楼のように、求められるのであれば、消えるのもまた一興。
でもぼくが、消えたところで、気付かれやしない。
いても気づかれやしないのだ。
だから保って生きている。
消えるだけ損だと、ぼくを保って生きている。
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