第34話
基礎練習をやって皆でトリカゴをして体を温めた。
アップだけで色々とわかってしまった。
ここには俺より下手な奴はいないようだ。まぁなんとなく覚悟はしてたけど。
アップをしていると係員がホイッスルを吹いた。
「第1試合のMr.Brainさんと佐伯電気ファイターズさんはコート中央にお願いします」
相手は社会人っぽいな。名前だっさ・・・・・・
「さーてワイらの最初の相手は社会人チームみたいやな。負けるわけにはいかへんで! わかっとるやろな?」
大辻さんが皆を煽るように不敵な笑みを浮かべる。
「負けると思って勝負に挑む奴なんていませんよ」
俺がそうぼやくと皆はニヤリと歯を見せて顔を見合わせる。
衣笠が近づいてきて肩を組んでくる。
「いつからそんな熱いやつになったんだよー」
ニヤついた顔がイラつくぜ。
「そんな嫌そうな顔すんなよハルちゃん。熱いことは別に悪いことじゃないぜ」
今度は壬生さんが逆から肩を組んできた。それに続いて皆で肩を組み、円陣を作った。
「熱いと言えば玲も実は熱いんだよねー」
「うっさい黙れ啓。俺は冷静な男だ」
双子が騒ぎ出すと大辻さんが緩んだ空気を締める。
「千尋の言う通り熱いことは別に悪いことやない。でもプレーはクールに行こうや」
プレーはクールか、いい言葉だ。
「ワイらはチームMr.Brainや。ええか? 心を燃やして思考を回すんや。要は楽しんだもん勝ちや! ヨッシャ行くで!」
瞬間、肩にまわるそれぞれの腕に力が入るのを感じた。
「「「「「おう!」」」」」
5人の声の重なりが、心音と強く共鳴した。初めての感覚が体を包んでいく。
熱い。
胸の奥が熱く、気分が高揚していくのが分かる。
俺は拳を握りしめ沸き上がる興奮を必死に押さえ込んだ。
そして、試合開始のホイッスルが響いた。
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