海と水族館のようなアレンジ・文字と本棚

シンエンさま

海と水族館のようなアレンジ・文字と本棚

海の魚のように群がるものでも、

海の植物のように集まるものでも、

散らばっている、海を満たしている。


アイスをコップに入れると、水が零れる話、

海に魚を入れると、その量が増す話、

そういう例え方で繋がるものなんだ。


あの「本の海」と呼べる図書館には、

本が沢山並んでいた。

家の本棚にも、図書館の本棚にも、

範疇のタグを付けて人は並べる。


本は

綺麗なようにされて、

グループのように集まった。

まるで、海の魚のようだ。


純文学、SF、童話、

夏目漱石、芥川龍之介、太宰治。

そういう風に呼ぶと、

夏目漱石の名を聞くと純文学を思い出させる。


だが、

海なんだろうか。


違う。


本は本だ。

カテゴリーを付けられて、グループに入れられた。

グループに所属して、メンバーに強いられたんだ。


まるで、水族館のように。


集まる魚は食い合う事のない種類で分けられている。

自由な海で泳ぐ魚と違って、

群がり方も、生き様も、

接触し方も、接触できる相手も、

決められた、枠に囚われた。


考えよう。そして発想の枠を暫く捨てよう。

夏目漱石を童話と呼ぶのはどうだ。

夏目漱石をライトノベルと呼ぶのはどうだ。


考えよう。そして発想の枠を暫く捨てよう。

竹取物語を童話と呼ぶのはどうだ。

竹取物語をライトノベルと呼ぶのはどうだ。


童話と呼べるからには、子供に教えてみる。


子供が読めるはずもない言語が一般化され、

未来の子供の話が古文風になる可能性も

考えられる話なんだ。


子供が分かるはずもないアイディアが一般化され、

未来の子供の思想が革命的になる可能性も

考えられる話なんだ。


童話と呼べるからには、ライトノベルを好む人間が

見る角度を変えて、読んでみる。


考えるだけでワクワクするんじゃないか。


太宰治の「走れメロス」を推理小説と呼ぶのはどうだ。

尺が余るアニメのように、走れメロスの結末は、

本当は終わりじゃなかったのかを考えると、

実際に発想が多くなるんじゃないか。


根拠なんて要らない。

根拠なんて探る必要はない。


変えるのは、見る角度だけだ。


文字は魚のように集まる。

海の魚が集まる時、セーフな所に移る。

環境が常に変わることもある。

実際に独立な個体で、独立な個体として

自らが生き続ける道だけを望む。


環境なんてものは選ぶのでなく、

命を保つために、強いられた。

それにまた強者の危険に遭うと

二次で強いられて、生き様と環境を変える。


混乱の「海」から取り出され、

水族館に囚われ、アレンジーされる。

セーフなスペースで、セーフな環境にいる。

その中で争う動力も、生き様の強さの輝きも

だんだん安全な枠で失われていく。


水族館の中で泳ぐ魚だと

一次分けられたことがある。

一次もあれば、二次もできるんだろう。


合理的な関係を選ばれるが、

合理的な関係で存在するわけではなかろう。


合理的な枠に、文字は本棚に並ぶが、

合理的な枠に、文字は存在するわけではなかろう。


竹取物語風の夏目漱石だと、どうだ。

竹取物語好きと夏目漱石好きの人たちが集まるんじゃないか。

新しい群がり方が出てくるんじゃないか。


人と人は、新しい世界と新しい繋がり方で

ぶつかり合うことも、支え合うことも

この斬新な世界でしか出会うことができないじゃないか。


文字や本が本棚に並ぶ。

それは範疇で、決まった形だと人は考える。

まるで終わりを告げるような言い方なんだ。


水族館と海の魚のような違いを察する。


海は水族館のアレンジの始まり、

海は水族館の師匠であった。


文字と本棚と同じなのさ。


終わりでなく、始まりだ。

本が並べられたところで形が決まったわけじゃない。

並び方は「結果」でなく、「材料」だ。


新しい人の世界を繋ぐ「材料」だ。


そんな材料でまだ息が止まっていない作者は、

互いから求めることのない者同士が

互いから求められる者同士に、

互いを支え合うことのない者同士が、

互いを支え合う者同士に、

することができたらいいなぁ。


そんな世界を繋ぐための、

絆を作る匠のような存在の、

作者が沢山生まれたらいいなぁ。


そのような作者に、

僕はなれたら、

いいなぁ。

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海と水族館のようなアレンジ・文字と本棚 シンエンさま @shinennsama

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