胸がいっぱいになる<終末感覚第1号>
胸がいっぱいになる
夜も更けると 胸がいっぱいになって
とにかくたまらなくなることがある
理由はわからないが
とにかく自分はもう何も得られない
得られていない
自分が理想としていたもの 夢に見ていたもの
真に私の心を満たす空気
そんなものにはどう足かいたって
指先すら届かない
そんな気持ちで そんな息苦しいような
泣き出したくなるような気持ちで
胸がいっぱいになる
この28年 よくぞここまでやってきたと思う
奇跡のようなものだ
もしかするとあと何年かすると
このいっぱいになった胸がどうにも耐えられないと言って
音をたてて弾け
私も同じように弾けてしまうかもしれない
そうならないように何とかがんばってみるつもりだ
本を読み 映画を観て 音楽を聴き
ささやかな料理を愉しみ 酒を飲み
何とかガス抜きができるように 努めてみよう
いまこの瞬間にも壊れてしまうかもしれない幸福
決して満たされないであろう私の人生の夢
頭からどうにか振り払うことによって
最終的な精算を
先延ばしに 先延ばしに できるかもしれない
終末感覚<断崖の詩> @yuoiwa
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