第62話 初日の終

時が経ち夜となった。

初日はたくさんのヒトに囲まれながら、


「ねぇねぇ!なんでフレンズになったの?」


とか


「おにーさんは誰が好きなの?」


とか


「ニホンオオカミってなに?」


とか色々な質問が来たもので、俺としても中々困惑物であった。


また、特に子供にわいわいと囲まれたおかげで耳やら尻尾やら触られた上に、肩に乗られたりするものだから体のあちこちが痛い…


ミライさんが止めてくれなかったらもっと

痛かったよ、全く。


一方のアライさんもアライさんで疲労困憊との事である。


疲れている二人を見たアカギさんは、

顔を覆っているその黒い布のようなものを

外しながら、


「お二人ともお疲れでござるよ。まぁ慣れない生活が続くと思うけど宜しくね?忙しいのも最初だけだろうし、これから頑張るでござるよ!」


と言ってくれたが、明日からでも休憩が欲しいほどである。


アカギさんが「夕飯は拙者が作るでござる」

と張り切ってエプロンをつけ、夕飯の支度をするものだから昼間とのギャップを感じ

少々笑ってしまう。

とりあえず礼は告げておく。


「フェネックの担当さんはどんな人になったのかな?」


「ん〜…分からないけど、きっと良い人なのだ!明日会いに行くのだ!」


「明日の予定決定…だね、時間があればだけど」


♪〜♪〜♪〜


鼻歌を歌いながら料理するアカギさん。

チラッとだけ料理過程を見て見たのだが、

まだ少し時間がかかりそうである。


さすがに暇になってしまうのでここで

テレビの出番である。

せっかくアライさんも隣にいることだし、

コントにしてあげようか?

ニュースはしんどいだろうし。


ピッ ピッ


「そないでさー、そいつがまた…」


「面白い番組…やってないみたいかな」


「別にアライさんはテレビを見なくてもいいのだ」


「…?なんで?」


アライさんは少し時間を置き、少々息を吸ってから…


「メイと一緒にいることが、一番楽しくて嬉しいから──」


「アライさん……」


やっぱり俺は彼女の笑顔に弱い。

正直ドキッとしてしまった。

いつもは純粋な彼女だが、今夜は更に可愛く、美しく、愛おしく見える。

今夜"も"、なのだが。


ピンポーン


「あ、誰か来たみたいでござるよ」


「あ、俺が出ますよ、アカギさん」


こんな夜中、いやそんなに夜中ではないのだけど誰なのだろう。

ドアを開けるとそこには、銀髪のショートヘアーに帽子を被った1人の少女が佇んでいた。


見た目は14歳ぐらいの若干幼い子供に見える。


「あ、えーと…ボク?いやワタシ?

今お空が暗いから早くお家に帰った方が…」


すると彼女は頬を膨らませ、怒った様子で

詰め寄ってきた。


「ムムゥー!失礼な!私はれっきとした飼育員です!!子供じゃありません!」


「あぁぁ、ごめん!ごめんね?」


事情を聞くと、その飼育員さんが探しているのは2匹のフクロウのフレンズ…

って、あの鳥'sしか思いつかないんですけど…


我々は賢いので(幻聴)


「多分こっちに来たと思うんです…

いきなりすいません、こんな夜中…いえ、

そこまで夜中ではありませんね。」


「こっちに来た?いやぁ、こっちには鳥は来てないはずなんだけど…」


事実確認をしながら話を進めていると、

リビングの方から何やら声が聞こえてきた。


「失礼するのです…」「するのですよ」


「あぁ絶対あの2人だ、俺にはわかる、

あんな口調のフレンズ会ったことないし」


「すいません、ここに連れてきてもらってもいいですか?」


「分かりました、今連れてきますね」


多分絶対にあの2人なのだろう、

呼んでこないと後々色々大変なことになりそうだぞ…主にアカギコックが。


えぇい!あの暴食シスターめ!

度々上がりこんできては料理を

いただきますしやがってぃ!このぉ!

せめて事前に予約してくれ、そしたら

ご馳走するよ。


「コノハぁぁ!?ミミちゃぁんん!?勝手に上がり込んじゃ困るよぉー!?」ドタバタ


「本当にごめんなさい!」





案の定鳥'sことコノハ&ミミちゃんでした。

捕まえるのはとても大変であった、

というのも


『捕まるわけにはいかないのです!』


『我々は常に新しい料理を食べて進化するのです!』


と言いながら飛び回るものだからアライさんに手伝ってもらいながら、最終的にアカギさんが『忍法・影縛り』なるものを使って

束縛、容疑者確保、ただいま抱えて連行と

なっている次第だ。


というかアカギさんすげぇな、何者だよ。


「二人共、勝手に出歩いちゃダメだよ!私が心配するでしょう?」


「その事は詫びるのです、ですが…」


「そのアカギとやらが作る料理が知りたかったのです!」


「「とても珍しい見た目だったので」」


やはり見た目に惹かれるのである。

まあそりゃね?あんな特異的な見た目されたら誰だって内面気になると思うんですよ。

確かにその気持ちは分からんでも…


「それにミネの作る料理は食べられたもんじゃないのです」


「ゲテモノなのです」


前言撤回、ワガママフクロウであった。


「あんた達…」ゴゴゴゴゴゴ


「「ヒャッ!」」シュッ


一瞬で細くなったワガママ'sは

その身の丈があまり変わらないような

ミネと呼ばれた少女に連行されるのであった。

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