第39話 集い

ガヤガヤ…ガヤガヤ…

店内はとても騒々しく、酔っ払いも見られる。

昼は親子が訪れるレストランだが、夜になると居酒屋のようになる、そんなレストラン。

俺はツバキ、アライさんと共に集いの会場へ来ていた。


「いざ来てみると緊張するんだがそれは…」

「いや、大丈夫でしょ。なんたって元クラスメートだよ?」

「…ツバキ、それ俺の待遇を知って言ってるか?」

「早く入るのだ!」


自動ドアを開け、いざ入店。

酔っ払いで溢れるレストランへ…





「よぉ、メイ。久しぶりだな…ってなんだその姿!?(驚愕)」

「お、なんだ?その子?彼女出来たのか?」

「うぃぃぃぃぃぃぃっす!」


意外にも暖かく受け入れられる。

中学生の時はそこまで賑やかに感じなかった教室だったが、今は賑やかに思える。


「オッスオッス!とりあえずそこ座っていいか?」

「べ、別にいいけど…」

「んじゃ俺達はここに座らせてもらうよー」

「いいぞ!ドンと来い!」

「稽古じゃねぇよ。」


俺の席の周りにはかつてのクラスメイトの姿、とても楽しそうな姿があった。

中学生の時も、頑張ればもっと楽しめたんじゃないかな?

一方ツバキの方は…あれ、そんなに賑やかじゃないな。

根暗さん大集合しちゃった?


「ところでさ…お前といつも一緒にいたやつ、来ないの?」

「え」

「中学生の時にいつもいたじゃんか。」

「いやぁ…最近物忘れがひどくてね、忘れちゃったかなぁ…」

「お前はジジイか。ビシッ」

「なんでツッコミすんねん。ビシッ」


ツッコミ合いが始まってしまった。

まさしくこれが欧米…


「メイ、もう頼んでいいのかー?」

「アライさん、もうちょっと待ちな?まだ誰か待ってるみたいだしさー。」

「いや、いいよ?頼んじゃって。…主犯がさ、これ以上来られると困るからさ、さっさと頼んで帰ろ?」

「あ、うん…アライさん、何食べたい?」

「これ食べたいのだ!」

「んじゃ、俺ピザかなんか頼んどくね…」


悲しいなぁ…

主犯のために集いを早く切り上げなくちゃならないなんて…

でも、無駄な争いが起きないことはいいことだと思う。


「可愛いね~」

「君、どこの子?」

「ふぇ!?…アライさんが可愛いはずがないのだ!アライさんはな、獰猛な肉食獣なんだぞ!」

「にくしょく…?」

「あぁ、言ってなかったね。この子はアライさん。アライグマのフレンズなんだ。」

「フレンズって言えばさ、メイ…それどうしたの?」

「いやぁ、訳あってこうなっちゃったんだよね。」

「あ、ふーん…」


とりあえずアライさんの紹介も済んだし、あとは穏便に終わってくれれば…


「よぉてめぇら、元気してたカ?」

「げっ、主犯だぞ、メイ。コソコソ」


平和だった集いに、突如大男が参戦した。

タトゥーを所々付けており、まさに"ヤンキーです"と自分から告白している。

穏便に終わるはずがないよな、そりゃ。

そんな都合の良い絵本みたいな話ないし…


「あぁ?獣くせぇな?おい!…んぁ?見慣れねぇやつが二人いるじゃねぇかよ!誰だこいつら!」

「…俺はメイだが。」

「あ、アライさんなのだ…」

「メイ…?あぁ、あいつか、このオレサマに!いじめられてたやつかァ?ったく、何年か会わなかっただけでこんなに変わるんだなぁ?」

「別に関係ねぇ…ボソッ」


賑やかだった集いの空気は一気に最悪なものと化していた。

根暗組よりも最悪な空気だ…


「料理まだかよー?おい!ここの店ノロマしかいねぇんじゃねぇのかァ??」


主犯だった彼は横暴な態度で椅子に座り込む。

机に足を乗せて。

ここだけじゃなく、店内の空気も最悪なものとなっていた。


「お、お客様。そのような態度は他のお客様に迷惑がかかりますので、止めて頂けないでしょうか?」

「あァ?これがオレサマの普通の態度だよ!馬鹿野郎!」

「も、申し訳ありません!」

「店長呼べ!店長を!」

「は、はい!」


店員さん、災難ですね…

アライさんのほうを覗いてみると、ブルブルと震えていた。

こりゃ料理がどうとか言ってる場合じゃないよ…


「いい加減にしなよ!こっちはあんたのためにこの会を開いてんじゃないんだかんね!」


あれは…元風紀委員長じゃないか。


「そうだよ!やめなよ!こんな事!」


元風紀副委員長も…

そうだ、止めろ、止めろ…

止まるんじゃねぇぞとか言ってる場合じゃないぞ…

止まるんだぞ…


「うっせぇなぁ!」


彼は風紀副委員長に殴りかかる。

副委員長はその馬鹿力に思わず倒れてしまう。


「キャーッ!」

「おい!もうやめろよ!」

「お客様、おやめ下さい!」

「そうだ、警察警察…しまった、電話を忘れてしまった!」


あぁ、なんとなく予想してたけど…

誰か止めてくれ…

止まれ…止まれ…

…誰かに頼るのはもうやめだ。


「おい!お前、そろそろいい加減にしろよ!」

「うわ、雑魚が立ち上がってやがんの!ばっかじゃねぇの?ケラケラ」


そいつは嘲笑いながら俺を見下す。

ここにいるみんなのためにも…

アライさんのためにも…

不快な思いはさせたくない。


「表出ろ。ここじゃ迷惑だからなァ?」

「仕方ねぇな、雑魚が。泣いて詫びても許さねぇからな?」

「め、メイ!」


心配したのか、アライさんが俺に声をかける。

そんなにひ弱に見えるか?


「安心して、アライさん…俺は人間よりも、丈夫で強い、フレンズだから…」

「…」

「…早く出るぞ!」


そう言って店を出た。

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