第37話 朗報

『度々話題になる大分の自然化現象、専門家によりますと一部自然化されないエリアがあることが発見されました。大分の都市部であり、最も栄えている場所です。大分切り離しまであと1ヶ月ですが、大分住民からは「もしかしたら切り離した後も暮らせるのでは」などの声が上がっています。』


それは…果たしていいニュースなのだろうか?

人間は都市に、フレンズは自然に過ごせる。

これはいい事だと思うのだが、あくまで都市は一部しか無いのだ。

また、人間によって自然を荒らされてしまうかもしれない。

政府はこの問題をどうするのだろう。


「おはよ~…メイさーん、あれ、またニュース見てるの?」

「あぁ、ニュースは色んなことを教えてくれるからな…ところでアライさんは?」

「まだ寝てるよ~、ぐっすりとね。」

「んじゃ、バイト行ってくるからよろしくね~朝ごはんはそっちにあるから。」

「うん、いってらっしゃーい」





「さて、今日もバイト頑張りますか。」


バイト先はいつも大騒ぎ。

主な原因はアオイとか…アオイとか…

そういやアオイってアライさんと名前似てるよね…

アライさん今どうしてるかな…

事故とかに巻き込まれなければいいけど…


「おいおいメイ、ボーッとしてるとコーヒー失敗するぞ?」

「あ、ごめんなさい!先輩。」

「って、バイト復帰したからって先輩読み復帰しなくていいよ?」

「うん…」

「また例の彼女さんのこと考えてんのか~?」


そう言われて気づいたが、アオイからいつの間にかアライさんのことを考えていた。

思わず顔も赤くなってしまう。


「…まぁ、そうだよ(小声)」

「お、初めて認めたんじゃない?」

「あ…」

「それはいいんだけどよ…お前、事故に遭ったんだってな?大丈夫かよ…」

「今更か…1回意識失ったぐらいでなんとか無事だよ。フレンズは丈夫だからね!」

「そうか?ところで…お前の親友、最近見ないけどどうしたんだよ?」

「あぁ…アイツの事か、俺からは言えねぇ…家の事情だよ。」


その時、俺の頭の中にノイズが走る。

ん…あれ、なんで俺言わなかったんだっけかな?


「そうかい…そういや今度、新しくフレンズのバイトが入ってくるからさ、案内してくれないかな?丁度メイその日いるしさ。」

「あ、おっけー。任せて。」





「あれ、メイはどこに行ったのだ?」

「あー、バイトもう行っちゃったよー?」

「そうなのか…シュン」


メイ…無茶していなければいいのだ…


「ニャー」

「だぁぁぁぁ!?」

「猫だねー。」


どうやら二人が話している間に猫が侵入していたらしい。

少し年をとった猫だ。


「どうしたのだー?」

「ニャー!ニャニャニャ…」

「…アライさーん、私達ネコじゃないんだから分からないよー。」

「猫といえばサーバルなのだ!早く探しに行くのだ!」

「はいよ~…と言いたいんだけどさ~、誰か家にいないと~…」

「そっかー…残念なのだ。メイが帰ってきたらすぐに行くのだ!」

「それまでこの猫どうするのさー?」

「アライさんが面倒を見るのだ!」

「ええ~。」


そういったかと思うと、彼女は人差し指を猫に指す。

そして大きな声を上げ、命名する。


「今からお前の名前は"ミイ"なのだ!」

「ニャー」

「…アライさん、ミイって鳴いてるならわかるけど、この猫ニャーって鳴いてるよ~…」

「メイに名前が似てるから、なのだ!」

「…アライさんって斬新だね~。」





「メイ、迎えに来たのだ!」

「アライさん!?」


しかし振り返っても…誰もいなかった。

確かに彼女の声だ。

紛れもない、アライさんの声だったはず。


「おいおい…ついにお前、彼女さんの幻聴まで聞こえちまったか?」

「いや、確かに声が聞こえたはずなんだけどね…」


そういえばこの前もあった。

ドアの向こうからアイツの声が聞こえたと思ったが、開けても誰もいなかったのだ。

間違いなく俺の体にはなにか異変が起きている。

とりあえず今度ミライさんに頼むか…


「それで、今度〇〇中学元3-Aの集いがあるんだが…お前、行くか?」

「んー…中学かぁ、あんまいいイメージねぇけどなぁ…」


中学の頃は、毎日が退屈で仕方がなかった。

友達と呼べるのはアイツしかいなくて、それ以外のやつは興味はない。

度々俺に喧嘩を売ってくる奴がいたが、スルーしていた。

その態度が気に食わなかったのだろうか、嫌がらせが続いた。

例えば、上履きに画鋲が入ってたりとか、机に落書きされてたりとか…

あいつらに会うのか…

この姿を見てどう思うんだろうか?

まあ喧嘩売られたら復讐も兼ねて殴るまで、だ。


「おいおい、復讐とか物騒なワード出すんじゃねぇよ~」

「あれ、そんなこと言ってた?…というかさ、お前3-Aだったのか?」

「え、そうだよ?」

「…なんだい、気付かなかったよ。」


復讐…

どうせ罵倒されるのだろう。

だったら今まで馬鹿にしてきたヤツらに復讐するまでだ。






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