第31話 パーティ

3日後…


「…メイ、これはなんの集まりなのですか?」

「早くご飯を用意するのです。」


今、俺の周りには今までにあったフレンズ…少ないけど、が集まっている。

そして目の前にはホットプレート。

ガヤガヤと賑やかな店内で俺は言い放つ。


「…焼肉パーティだ!肉を焼いて思う存分食べるぞ!」

「肉…ジュルリ。」

「さっさと焼くのです。」

「なぁ…私も食べていいんだよな?」

「あぁ、いいぞ!」

「この鉄の板はなんなのだー?」

「あ!アライさん、それ触っちゃダメだよ!熱いよ?」

「はいはーい!私焼いてみたーい!」

「ちゃんと焼きあがってから食べてよ?このトング使ってね。俺も焼くけど。」

「まぁまぁみんな落ち着きなよー。」


肉と聞いた瞬間みんな目の色を変える。

そして賑やかになっていく。

やっぱツバキの推理あってたやん…

でも、やっぱほとんど肉食ってだけでもなくて、多分フレンズになってから好きになった子もいるのかな?


「くっ!また箸なのですか!?」

「おのれ!強敵め!」

「私はスプーンを使わせてもらうぞ。」

「早く焼き上がらないかなぁ…腹減った。」


焼き上がるまで少々時間がかかる焼肉。

食欲をそそる音と臭い。

嗅覚が鋭くなった分更に腹が減る。

そして焼き上がった時、タレに絡めた焼肉をご飯と一緒に食らうのだ…!!


「ジューシーなのです!」

「もっと食べるのです!」

「な…!食欲が箸に勝った…!?」

「早すぎるのだ!?」

「ゆっくり食べなよ~モグモグ…熱い。」

「ご飯がもっと欲しくなるな~。」

「うみゃみゃみゃみゃみゃ~!!ガツガツ」

「サーバルちゃん!?くっ!俺も早く食べなければ…!無い!?」

「ふっふっふ…我々が全て食してしまったのです。」

「早くおかわりをよこすのですよ。」

「くっ…!」


こうなったら仕方ない!

頼んだ分の肉をすべてホットプレートにぶちまけるんだ!

追加注文絶対しないと間に合わん…!!


「オラァ!」


ジュワァ


「おぉ…食欲をそそりますね。」

「いっそこのまま食べたいのです。」

「このまま食べると食中毒になって体壊すけど大丈夫なの?」

「「良くないのです!!」」

「あ!出来たのだ!頂き!なのだ~♪」

「アライグマ!お前というやつは抜け目がないのです!」

「賢き者に譲るのですよ!」

「隙あり!ははぁ!残念だったなコノハ達よ…!」

「メイまで!くっ、早く取らなければ!」

「おーいしいー!みんみぃ!」

「まだこっちにもスペースあるのにな~。」

「まぁ、あいつらには見えてないんだろ。気にせず焼くぞ。」

「はいよ~。」





20分後

「あ、アライさんはもうお腹いっぱいなのだ…」

「私も~…♪」

「ふっ、ペース配分を考えない者はこうなってしまうのです…」

「くっ、なぜ、何故そんなに食べれるんだ…!!」

「三日前に盗み聞きして、三日間何も食べなかったのです。」

「我々は賢いので。」

「なっ…勝てるはずがない!!」

「私もお腹いっぱいだよ~。少しだけで充分だよ~。」

「あぁ…私もだ。」


意外にもあのヒグマがあまり食べていないことに気づく。

日本最大の獣、と言われているが意外と少食なんですね…

…って、そんなことを気にしてる場合ではない!

追加注文を何度も済ませた俺は肉を焼き、肉を食べる。

コノハ達も食べる。

しかし…俺の腹はもう半分くらいまで達している。

あいつらは…余裕そうだ。

勝てるわけが…ない!


「さて…この日のために特訓しておいたアレをやるのですよ、ミミ。」

「えぇ…分かりましたですよ、コノハ。」

「「第2の野生解放を。」」

「な…なんだと!?」


彼女達はそういった瞬間、皿の肉をすべて宙に放り投げ、そして飛び立つ。

箸で落ちる位置を微調整しながら、また席に戻る。

そして落ちてきた肉は…


「な…一つも重なっていない!?」

「お楽しみはまだまだこれからなのですよ。」


そう言うとおもむろにホットプレートの火力をあげ始めた。

肉の焦げる音が更に強くなる。


「これじゃあひっくり返す前にすべて焦げるぞ!正気か!?」

「甘いですね…メイ。」

「甘々なのです。あまちゃんなのです。」


そういった直後、2人は協力して目にも止まらぬ早業で肉をひっくり返し始めた。


「み、見えないのだ~!?」

「無駄なことに技量を使うもんだな…」

「なんだこの早業!?(驚愕)」


焼き終わった肉を目に見えぬスピードで回収し、ご飯と共に口に運ぶ。


「これが第2の野生解放なのです!ガツガツ」

「これでメイは我々に勝つことは出来ないのです!ガツガツ」


このショーに客も思わず釘付けだ。


「なんだあの2人は!?」

「あれが焼肉のプロ…」

「そこにシビれるし、憧れちゃいますね、余裕で。」

「くそぅ!俺だって!ガツガツガツガツガツガツ」


あ…やばい、ちょっと食べすぎたかも…


「ごめん、ちょっとトイレ…ウプッ」

「「「「メイ~!?」」」」





「いや~…完全に食いすぎた。」

「でも美味しかったのだ!メイはもうちょっと食べる量を減らした方がいいのだ!」

「あはは…完全に間違えました。ごめんなさい(小声)」


食べすぎたのは少々良くなかったことだが…

今回のパーティでみんなの笑顔を見ることが出来た。

これでさらに友情が深まったんじゃないかな?

金は消え去ったけど…


ツン

「ん、どうしたの?アライさん。」

「またぼーっとしてるのだ!ぼーっとしてたら危ないのだ!だからアライさんの手を握って早く付いてくるのだ!」


差し伸べられた手を俺は掴む。

アライさんも掴み返す。

そして仲良く家に帰る。

話に花を咲かせながら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る