第29話 噴火
ドドーーッ!!
「うわぁ!なんだぁ!?」
突然の轟音、そして激しい揺れを感じ、俺は目を覚ます。
昨日の手合わせから帰ってきた俺は、疲れからかいつの間にか眠っていた。
「アライさん、無事か!?」
「こ、こっちは大丈夫なのだ!」
「ミライさんも大丈夫ですか!?」
「は、はい、なんとか…」
しばらくして揺れは収まった。
それにしても何があったんだ一体…
「壮大な目覚まし時計だな…」
「こんな時に冗談は洒落になりませんよ。」
すいません…
◆
『サンドスター火山が噴火した模様です。マグマなどは吹き出ておりません。噴出物はサンドスター、サンドスターロウ。被害は出ていませんが、今後も注意をしてください。』
「被害はないようでよかった…」
「メイさん!今ならサンドスターを採取できるかもしれません!行ってきます!」
「あ、ちょっと!」
「追いかけなくていいのか~?」
「追いかけた方がいいよね…行こう!」
◆
「うわぁ、キラキラしてんなぁ…」
サンドスターは広範囲に噴出されたらしく、そこら中がサンドスターにより輝きを得ていた。
サンドスター以外の変わった物質がないあたりを見ると…
「サンドスターロウは噴火したって言ったはずだけど…あまり遠くまで届かなかったのかな?」
「ミライさーん!どこにいるのだー!」
「いたよ!あそこ!」
ミライさんは必死になってサンドスターを採取していた。
血眼で…
「そんなに急がなくてもサンドスターは逃げないと思うんですけど…」
「何を言ってるんですか!?サンドスターは一定時間経つと消えてしまうんですよ!」
「あ、そうなの…あと一つ質問があるんだけど。」
「はい、何でしょうか?」
「あの青い丸いような、目が付いてる自立歩行する物体は…サンドスターロウですか?」
「いえ…そんなはずはないです。この前観測されたサンドスターロウはそんな形ではないはず…です。」
その青い目の付いた物体は、身の回りのサンドスターを吸収しながらこちらに近付いてくる。
「サンドスターを吸収する…」
なにか危険なような気がする。
理屈では通らない危機。
『フレンズは動物がサンドスターに当たって出来たんですよ。』
『フレンズは飛ぶ時にサンドスターを消費します。』
…サンドスターはフレンズの体内にあるはずだ。
俺の立てた仮説があってるとするなら。
「離れろ!」
「「え?」」
「あいつはサンドスターを吸収している!フレンズの体内のサンドスターも吸収するはず…!サンドスターで出来たフレンズがサンドスターを失えば…どうなるかは分からんが…」
「わ、分かったのだ!」
「私も一応離れておきますよ…」
まずはこいつの処理をどうするか。
まずは爪で斬りかかってみる。
しかしあまり効果はないように見える…
その時、その物体は俺に飛びかかってきた!
「うわっ!」
間一髪で交わすことは出来たが、こいつの倒す手が見当たらない。
その時、物体の後ろに何か他の物体がくっついているのに気付いた。
あれは…石?
石を見た時、なぜだか俺はツバキが昔言っていた言葉を思い出す。
『完璧なやつなんていねぇよ。どいつも弱みを持ってんだ。』
弱み…
石…
瞬間、俺は閃く。
「オラァ!」
パッカーン!
石は砕け、その物体は立方体となって砕け散った。
◆
「一応倒せたが…家の中にいた方がいいと思う。まだ他にもいると思うし、危険だし。」
「わ、わかったのだ…」
「私はあいつの破片を少し取ってきます!きっと正体がわかれば、対策が出来るはず!」
「あ、あぁ。」
ミライさんはあの物体の破片を採取する。
あれの正体はなんなのだろうか。
何故出来たのか。
サンドスターロウの噴出と何か関係があるのか…?
「取ってきました!」
「そういえば、帰るんじゃないの?これじゃあ帰れないような…」
「その件なのですが!」
「ん?」
プロペラの音が聞こえて上空を見る。
「自家用ミニジェットです!」
「やばいですやんか…」
ジェットはすぐ近くの空き地に着地した。
「私、このジェットで帰ることになってるんです!」
「こ、これもしかして知り合いの発明とかじゃ…」
「よく分かりましたね!」
「怖いわその知り合い…」
ミライさんは後ろの席に乗り込んだ。
操縦席には一人の女性がいた。
反射してよく顔見えないけど…
「さようなら~!メイさ~ん!」
「またね!ミライさん!」
「ばいばいなのだ~!ミライさ~ん!」
「アライさん!?家から出てきちゃダメだって!」
「だってまた音がしたのだ!心配だったのだ!」
「もう…アライさんはぁ…」
◆
「楽しかったなぁ!大分旅行!」
「…」
「うん!お土産もありますよ!」
「…」
「帰ったら研究する?あなたらしいですね。」
カコさん。
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