第29話 噴火

ドドーーッ!!


「うわぁ!なんだぁ!?」


突然の轟音、そして激しい揺れを感じ、俺は目を覚ます。

昨日の手合わせから帰ってきた俺は、疲れからかいつの間にか眠っていた。


「アライさん、無事か!?」

「こ、こっちは大丈夫なのだ!」

「ミライさんも大丈夫ですか!?」

「は、はい、なんとか…」


しばらくして揺れは収まった。

それにしても何があったんだ一体…


「壮大な目覚まし時計だな…」

「こんな時に冗談は洒落になりませんよ。」


すいません…





『サンドスター火山が噴火した模様です。マグマなどは吹き出ておりません。噴出物はサンドスター、サンドスターロウ。被害は出ていませんが、今後も注意をしてください。』


「被害はないようでよかった…」

「メイさん!今ならサンドスターを採取できるかもしれません!行ってきます!」

「あ、ちょっと!」

「追いかけなくていいのか~?」

「追いかけた方がいいよね…行こう!」





「うわぁ、キラキラしてんなぁ…」


サンドスターは広範囲に噴出されたらしく、そこら中がサンドスターにより輝きを得ていた。

サンドスター以外の変わった物質がないあたりを見ると…


「サンドスターロウは噴火したって言ったはずだけど…あまり遠くまで届かなかったのかな?」

「ミライさーん!どこにいるのだー!」

「いたよ!あそこ!」


ミライさんは必死になってサンドスターを採取していた。

血眼で…


「そんなに急がなくてもサンドスターは逃げないと思うんですけど…」

「何を言ってるんですか!?サンドスターは一定時間経つと消えてしまうんですよ!」

「あ、そうなの…あと一つ質問があるんだけど。」

「はい、何でしょうか?」

「あの青い丸いような、目が付いてる自立歩行する物体は…サンドスターロウですか?」

「いえ…そんなはずはないです。この前観測されたサンドスターロウはそんな形ではないはず…です。」


その青い目の付いた物体は、身の回りのサンドスターを吸収しながらこちらに近付いてくる。


「サンドスターを吸収する…」


なにか危険なような気がする。

理屈では通らない危機。

『フレンズは動物がサンドスターに当たって出来たんですよ。』

『フレンズは飛ぶ時にサンドスターを消費します。』

…サンドスターはフレンズの体内にあるはずだ。

俺の立てた仮説があってるとするなら。


「離れろ!」

「「え?」」

「あいつはサンドスターを吸収している!フレンズの体内のサンドスターも吸収するはず…!サンドスターで出来たフレンズがサンドスターを失えば…どうなるかは分からんが…」

「わ、分かったのだ!」

「私も一応離れておきますよ…」


まずはこいつの処理をどうするか。

まずは爪で斬りかかってみる。

しかしあまり効果はないように見える…

その時、その物体は俺に飛びかかってきた!


「うわっ!」


間一髪で交わすことは出来たが、こいつの倒す手が見当たらない。

その時、物体の後ろに何か他の物体がくっついているのに気付いた。

あれは…石?

石を見た時、なぜだか俺はツバキが昔言っていた言葉を思い出す。

『完璧なやつなんていねぇよ。どいつも弱みを持ってんだ。』

弱み…

石…

瞬間、俺は閃く。


「オラァ!」


パッカーン!

石は砕け、その物体は立方体となって砕け散った。





「一応倒せたが…家の中にいた方がいいと思う。まだ他にもいると思うし、危険だし。」

「わ、わかったのだ…」

「私はあいつの破片を少し取ってきます!きっと正体がわかれば、対策が出来るはず!」

「あ、あぁ。」


ミライさんはあの物体の破片を採取する。

あれの正体はなんなのだろうか。

何故出来たのか。

サンドスターロウの噴出と何か関係があるのか…?


「取ってきました!」

「そういえば、帰るんじゃないの?これじゃあ帰れないような…」

「その件なのですが!」

「ん?」


プロペラの音が聞こえて上空を見る。


「自家用ミニジェットです!」

「やばいですやんか…」


ジェットはすぐ近くの空き地に着地した。


「私、このジェットで帰ることになってるんです!」

「こ、これもしかして知り合いの発明とかじゃ…」

「よく分かりましたね!」

「怖いわその知り合い…」


ミライさんは後ろの席に乗り込んだ。

操縦席には一人の女性がいた。

反射してよく顔見えないけど…


「さようなら~!メイさ~ん!」

「またね!ミライさん!」

「ばいばいなのだ~!ミライさ~ん!」

「アライさん!?家から出てきちゃダメだって!」

「だってまた音がしたのだ!心配だったのだ!」

「もう…アライさんはぁ…」





「楽しかったなぁ!大分旅行!」

「…」

「うん!お土産もありますよ!」

「…」

「帰ったら研究する?あなたらしいですね。」


カコさん。

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