第27話 宿無し
「いや~、楽しかったね~。」
家に帰った頃にはもう辺りは暗くなり始めていた。
「アライさんあのパフェまた食べてみたいのだ!でも…もうちょっと少なくしてほしいのだ~」
「ふふ、そうだね。」
「そういえばミライさん、そろそろ出なくていいの?ホテルとか予約してないなら結構探すの厳しいけど…」
「い、いやぁ~…実はですね…」
◆
「調査?」
「はい、知り合いに実は研究者がいてですね、それで調査に来たんです。」
「それでここの家に泊まり込みって言われたわけだ。」
「はい…」
あ~…どうしよう。
これ以上家に来られたら困るなぁ…
何故なら…
「我々が許可してやるのです。」
「感謝するのです。」
あの二人がいるから…
「あれ?あなた達は…フレンズさん、ですか?」
「いかにも、アフリカオオコノハズクのフレンズのコノハと。」
「ワシミミズクのミミちゃんです。」
「あら~…可愛い~…」
「てことで泊まってってもいいよ…はぁ。」
今日はドッタンバッタン大騒ぎだな…
◆
「では採血を始めますよ…」
そう言ってミライさんは注射針を取り出す。
まずは血液の調査だ。
どうして俺がフレンズになったかを突き止めるためにやる。
ミライさんはそう言っていた。
別に俺は注射針が苦手ではないので、そんなに苦痛ではない。
「はい…終わりましたよ。」
「あ、終わりましたか。」
「はい、医師免許持ってなかったんで心配でしたが。」
大丈夫…なんだよな?
「とりあえずこれを私の知り合いに送ります。結果が出れば、書類を送りますので。」
「あれ、これ以上の検査はないんですか?」
「まぁ、一応ないですよ。あとはあのサンドスター火山の調査だけです。」
「あぁ…あそこ微妙に近いですしね。なんなら明日行きます?また登山になりますけど。」
「いえ、大丈夫ですよ。あそこはまた今度知り合いと行くことになってるので。」
「そうですか…晩ご飯作りますので、ちょっと待っててください。」
「分かりました。ではこのトランプであそこのフレンズさん達と遊んできます。」
そういってミライさんはアライさん達の元に行った。
しかし…どうしよう。
今日は人数多いし、しかも1人大食い…
なにか…なにか満足できる料理はないのか…!!
◆
「アライグマ、引くのです。」
「アライさんはこのカードを引くのだ…アライさんの勘ならこれは絶対にババじゃないのだ!」
「さて、どうですかね?」
「アライグマはアホなのです。だからきっとそれはババなのです。」
「ぐぬぬ~…ならこっちを引くのだ!」
「引いたのです。」
「引きましたね。」
「ババなのだ~!?」
「あらあら、引っかかっちゃいましたね?」
ミライさんのトランプでババ抜きを始める4人。
あぁ…楽しそうだな~。
俺もこんなに友達が出来ればよかったんだがな…
俺の友達、少なかったし…
「…なんで友達少なかったんだ…」
自分のコミュニケーション能力のなさ…
さて、気を取り直そう。
茹で上がった麺を茶碗に入れる。
そしてあらかじめ作っておいた味噌スープ。
これを麺にかける。
そしてこれまたあらかじめ切っておいたチャーシュー、ゆでたまごをトッピング。
最後にメンマ、ナルトを入れ完成。
「味噌ラーメン…です!」
◆
「「「「「いただきます!」」」」」
「これは箸…なのですか?」
「我々は箸を使うのが苦手なのです…」
「賢いのに?」
「なっ!嘘なのです!我々は箸を使えるのです!」
「わ、我々は賢いので!」
「あ~、このラーメン美味し~♪麺がツルツルでいいですね、メイさんって料理上手いですね!」
「ありがとうございます、なんか作ってる内に上手くなっていっちゃって…」
「アライさんこれ好きなのだ!ハンバーグを入れたらもっと美味くなるか?」
「うーん、それは分からないなぁ…そういえばミライさん、調査もう終わったから帰ってもいいんじゃ…」
「いえ、絶滅種のフレンズの普段の暮らしを観察してこいと言われたので、まだ調査中なんです。」
「そうですか…」
それにしてもこのラーメン…我ながら美味しい。
インスタントラーメンとはいえ、少しスープにアレンジを加えてより味を濃いめにしてるので、かなり食べごたえはあるだろう。
◆
「「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」」
「そろそろ部屋行って~、電気消すよ~。」
「我々は帰るのです。」
「帰らないと心配されるのです。」
「2人ともばいば~い」
「またトランプやるのだ!」
「ではおやすみなさい~」
「寝るの早いね!?まだ電気消してないよ!?」
今日は本当色々あったなぁ。
いきなりテレビで見てた人が来るし…
登山するし…
パンケーキのサイズやばかったし…
でも、そんな日常も悪くは無いかな。
また明日、いい出会いに期待だ。
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