第16話 歌
「そういえばもう少しで卒業式か。」
俺は高校生は高校生でも、実は三年生だ。
もう少しで卒業する…
「お前、行きたい大学あったよな?受験勉強してんのか?」
「俺は大学に行かないことにしたんだ…」
「え!?なんでさ!」
「俺は…フレンズ達に寄り添っていけるような、支えになるような、そして守っていけるような存在になりたいから…将来を捨ててでも、守りたい。」
「…そうか、お前はお前なりに頑張るんだな。」
◆
「卒業式は~↑、音楽を歌って締めるものよ~↓~↑」
毎度毎度ながら俺の学校の先生は個性的だ。
癖が出てるぜ…
「楽譜を配りま~↓す↑」
楽譜が配られた。
この曲は…えーと、「ぼくのフレンド」
聞いたことがないけど…
「まずは鑑賞するのよ~↑↑」
ぼくのフレンド /みゆはん
合縁奇縁 一期一会
袖すり合うも多生の縁
この世の奇跡ギュッとつめて
君と出会えたんだ
青い春いつか幕を閉じ
桜と共に舞い散っても
必ず僕らまたどこかで
出会いを果たすだろう
かけがえない
僕と似た君へ
1人で転んで傷だらけになったときは
いつでもどこまでも走るよ
たまには喧嘩して怒ろう
泣き顔見たら慰めよう
とびきりの長いお説教は短めにして
綺麗なものを探しに行こう
美味しいものもたくさん食べよう
つまりはこれからもどうかよろしくね
時が経つのは早いもので
別れの季節が顔を出す
積み上げてきたものがやけに
涙を誘うんだ
青い春が今幕を閉じ
桜が散る音は静かで
切ない想いが押し寄せた
さよならの夕焼け
かけがえない
僕と似た君は
1人でも大丈夫だからただ前を見て
広がる道を走るんだ
たまには2人語り合おう
嫌なこと全部吐き出そう
とびきりの長いアドバイスはちゃんと聞いてて
嬉しいことは報告しよう
新しい出会い大事にしよう
つまりはいつでもいつまでも‥
ああ 僕らは立った今
ゴールは別々スタートライン
思い出しまい込んで
踏み出した先は 未来へ
かけがえない
僕と似た君は
1人でも大丈夫だからただ前を見て
広がる道を走るんだ
たまにはほどほどに休もう
休めたらゆるりと進もう
とびきり長い近況報告お待ちしてます
どれだけ敵を作ろうとも
僕が君の味方でいるから
つまりはこれからもどうかよろしくね
涙が出てることに気づいた。
俺のかけがえのない友達…
親友のカエデ、コノハ、ミミちゃん、サーバルちゃん、フェネック、そしてアライさん…
これからも俺はそういった友達を増やしたいな…
そして俺は守りたい。
『どれだけ敵を作ろうとも
僕が君の味方でいるから』
この歌詞はかなり考えさせてくれる。
そうだ、反フレンズ運動などに負けてられない。
例え社会がフレンズを弾圧しようとも、俺が守る。
「さぁ↑練習するのよ~→↑↓」
技を発動するためのコマンドみたいな音しなくていいから…(良心)
◆
「アライさん、たまには夜にレストランにしてみる?」
「いつもは昼に行くけど…夜に行くのもいいと思うよ?」
「本当か!?嬉しいのだ!」
「我々も連れていくのです。」
「我々は夜行性なので。」
それ夜行性関係あるかなぁ…
「私も連れてってよ~」
「あれ、フェネックいつ来たの?」
「ん~、さっきかな~。」
「そっか、じゃあ五人で行こう!」
「「「「「おー!」」」」」
お金の危機なのだ!!
◆
「アライさんはハンバーグを食べるのだ!これなのだ!」
「スペシャルデミグラスハンバーグね?」
「私はこれでいいかな~。」
「ヘルシー魚介パスタね?」
「「我々はこれを選ぶのです!」」
「黒毛和牛の濃厚こってりカレーね?」
いや高いよ!特に最後!
1280円…食費が死ぬ。
「は~、俺緑茶でいいや~…」
◆
「お待たせしました~」
「いつもよりも美味しそうなハンバーグなのだ!!」
「アライさ~ん、気をつけて食べてよ~?」
「熱いのです!」
「コノハ、しっかり息を吹きかけて冷ますのです。フーフー」
俺の目の前でみんなは食事を美味しそうに食べる。
幸せそうに食べるなぁ…
そう思いつつ緑茶をすする…苦い。
腹減った…帰ったら何か作るか。
どこの世界にレストランから帰ってきて空腹な奴がいるんだ…
「メイにもあげるのだ!はい!ハンバーグなのだ!」
「え、いいよ~、アライさんがお腹いっぱい食べてくれたら、俺嬉しいし…」
「いや、メイは食いしん坊なのをアライさんは知ってるのだ!絶対に食べないわけがないのだ!あ〜んするのだ!」
「し、仕方ないなぁ…」
パクッ
「美味しい…か?」
「うん!美味しい!」
「良かったのだ…//」
ん?これ初めてのあ~んだよね?
さり気なくやったな…
しかしこのハンバーグ…かなり美味しい。
これは頼まないわけには行かないだろ!
「すいませ~ん、スペシャルデミグラスハンバーグ一つお願いしま~す!」
◆
食った食った…結局あの後ピザだのポテトフライだの頼んでしまった…
は、腹が苦しい!
その時、店内のBGMが切り替わった。
『合縁奇縁 一期一会…』
「これって…」
間違いない、昼に聞いた「ぼくのフレンド」だ。
「メイ?メイ??」
「あ、ごめん、ボーッとしてた。」
「早くレストランを出るのだ!」
つい聞き入ってしまった。
改めて歌詞の意味を考えさせられる。
歌の力というのは不思議なもので、聞き手を興奮させたり、感動させたり、気持ちを操る事が出来る。
「ねぇ…アライさん。」
「なんなのだ?」
「聞いてほしい歌があるんだ。家に帰ったら、聞く?」
「聞くのだ!メイと一緒に!」
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