第15話 更なる動き
『解放せよ…』
『お前の内なる野生…』
「え、それって…性的な意味ja」
◆
思わず驚き飛び起きる。
妙な夢を見たのもそうだが、夢の中の俺の発言も相当なものだった。
学校に行くのはまだ早く、アライさんもいつも通り隣で寝ている。
「ニュース見て時間潰すか…」
◆
『フレンズ特集!三つの新事実!』
今日はちょっと早めに特集をやってるみたいだな。
珍しい…
『今日はフレンズ特集です~、ゲストは「フレンズ愛護団体会長」のミライさんです。』
フレンズ愛護団体?
いつの間に作ったんだ…ミライさん。
『早速、一つ目のニュースです。』
『先程ご紹介したミライさんがフレンズ愛護団体を創設しました。』
『フレンズ愛護団体とは、フレンズに対する暴力や酷い扱いをやめさせるべく、対策を練り、実施していくという団体です。』
『ミライさん、何故この団体を立ち上げたのですか?』
『理由などいりません。フレンズを守りたい。それだけです。』
フレンズを守りたい…
その思いは俺も同じだ。
今日のミライさんは冷静に、事実を話す。
フレンズ愛護団体会長という権限を持つ彼女が取り乱したら、世間的にフレンズに対する評価も下がってしまい、更に反フレンズ運動を高めてしまう。
そう思ったのだろう。
『今後のフレンズ愛護団体の活動に注目していきたいと思います。次のニュースです。』
『この間の流星で全国にサンドスターが降りましたが、その時の影響なのか、キョウシュウ地方に火山が出来ています。』
火山?そう思い窓を見ると…
「うわ~、少しくっきりしてる~、少し近いのかなぁ。」
『専門家がこの火山を調査したところ、「この火山は自然によって出来たものではない。恐らくサンドスターによって出来たものであろう。噴火する際に何が出るか分からないので、注意が必要だ。」と述べていました。』
『では次のニュースです。』
『反フレンズ運動が高まってきています。やはりフレンズと人間は共存が難しいのでしょうか。』
現実というのは非情なもので、強盗を撃退してもフレンズを弾圧する声は高まるばかりだった。
何がいけないんだ…一体何が!
『街の人々に聞いたところ、およそ70%がフレンズを好きである、30%がフレンズを嫌いであると回答しました。』
『主な理由として、「元が動物なんだからきっと人間に危害を加える。」「うちの畑の収穫物も、きっと荒らされるに違いない。しかも二本足で歩けるから素早く逃げるに違いない。」「子供達に怪我をさせそうだから嫌だ。」というのが挙げられました。』
『これに対してミライさん、どう思いますか?』
『フレンズ達はきっとそんなことはしません…親しくしてあげれば、きっと仲良くなれます。』
『ありがとうございました。では、次のニュースです…〇〇氏が、一昨日…』
反フレンズ運動。
元が動物なんだから?
危害を加える?
…そんな。
せっかく、人間になって、心を通わせることが可能になったのに。
◆
「そういえばメイ、あの子とは上手くいってるか?」
「え、あの子って?」
「ほら…あのフレンズの子だよ。」
「え、いやいやいや!別に俺とアライさんはそういう関係じゃないし!」
「嘘だ~、お前、彼女好きなんだろ?」
「好きっちゃ好きだけど…」
「それに、お前彼女と一緒に暮らしているんだろ?」
「べ、別に俺は彼女が外で暮らせるのか心配で、家で一緒に暮らしてるんだよ!」
「嘘に見えるな~、確信犯か?」
「ち、違うって~!今日のカエデ本当に意地悪…」
そう言ってから、俺はバレンタインを思い出す。
アライさんがチョコをくれた…
アライさんは本当に俺の事を大切に思ってくれてるのか?
◆
「今日の体育は高跳びだぞ~。君達はあまり、高跳びが得意じゃないからな、特別講師を呼んでいるんだ。」
場がザワザワとする。
高飛びかぁ、俺あまり得意じゃないんだよな…
「はいはーい!私が特別講師?の、サーバルだよ!」
「サーバルちゃん!?」
思わず驚いて声に出てしまった…!!
「あれ?メイちゃん!ここに通ってたんだね!」
「おい…メイ、あの子とどんな関係なんだ??」
「お前ってやつは、二股を…」
「ち、違うって!」
「ほら、お前達、実演を見せてもらえるぞ!しっかり見てろ!」
「うみゃみゃみゃみゃみゃみゃー!うみゃー!!」
彼女は掛け声とともに助走をつけ、これまた掛け声とともに飛び上がった。
高い…なんて高いんだ、まるで体育館の天井にぶつかりそうなぐらい高い…
ゴンッ!
「うみゃー!!!!?」
「「「当たったー!?」」」
「先生!絶対に俺達には無理です!」
「大丈夫だ!信じればなんでもできる!先生も君達を信じてるからきっと出来る!!」
「先生…プレッシャーかけないでくださいよ…」
でも、こんなところでフレンズが活躍できるなんて意外だった。
そうだ、まだ反フレンズ運動はそこまで高まっていないんだ。
今の内にもっとフレンズの良さを伝えるんだ。
「でもいくら足掻こうとあの高さは無理だわ…」
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