第15話 更なる動き

『解放せよ…』

『お前の内なる野生…』

「え、それって…性的な意味ja」





思わず驚き飛び起きる。

妙な夢を見たのもそうだが、夢の中の俺の発言も相当なものだった。

学校に行くのはまだ早く、アライさんもいつも通り隣で寝ている。

「ニュース見て時間潰すか…」





『フレンズ特集!三つの新事実!』

今日はちょっと早めに特集をやってるみたいだな。

珍しい…

『今日はフレンズ特集です~、ゲストは「フレンズ愛護団体会長」のミライさんです。』

フレンズ愛護団体?

いつの間に作ったんだ…ミライさん。

『早速、一つ目のニュースです。』

『先程ご紹介したミライさんがフレンズ愛護団体を創設しました。』

『フレンズ愛護団体とは、フレンズに対する暴力や酷い扱いをやめさせるべく、対策を練り、実施していくという団体です。』

『ミライさん、何故この団体を立ち上げたのですか?』

『理由などいりません。フレンズを守りたい。それだけです。』

フレンズを守りたい…

その思いは俺も同じだ。

今日のミライさんは冷静に、事実を話す。

フレンズ愛護団体会長という権限を持つ彼女が取り乱したら、世間的にフレンズに対する評価も下がってしまい、更に反フレンズ運動を高めてしまう。

そう思ったのだろう。

『今後のフレンズ愛護団体の活動に注目していきたいと思います。次のニュースです。』

『この間の流星で全国にサンドスターが降りましたが、その時の影響なのか、キョウシュウ地方に火山が出来ています。』

火山?そう思い窓を見ると…

「うわ~、少しくっきりしてる~、少し近いのかなぁ。」

『専門家がこの火山を調査したところ、「この火山は自然によって出来たものではない。恐らくサンドスターによって出来たものであろう。噴火する際に何が出るか分からないので、注意が必要だ。」と述べていました。』

『では次のニュースです。』

『反フレンズ運動が高まってきています。やはりフレンズと人間は共存が難しいのでしょうか。』

現実というのは非情なもので、強盗を撃退してもフレンズを弾圧する声は高まるばかりだった。

何がいけないんだ…一体何が!

『街の人々に聞いたところ、およそ70%がフレンズを好きである、30%がフレンズを嫌いであると回答しました。』

『主な理由として、「元が動物なんだからきっと人間に危害を加える。」「うちの畑の収穫物も、きっと荒らされるに違いない。しかも二本足で歩けるから素早く逃げるに違いない。」「子供達に怪我をさせそうだから嫌だ。」というのが挙げられました。』

『これに対してミライさん、どう思いますか?』

『フレンズ達はきっとそんなことはしません…親しくしてあげれば、きっと仲良くなれます。』

『ありがとうございました。では、次のニュースです…〇〇氏が、一昨日…』

反フレンズ運動。

元が動物なんだから?

危害を加える?

…そんな。

せっかく、人間になって、心を通わせることが可能になったのに。





「そういえばメイ、あの子とは上手くいってるか?」

「え、あの子って?」

「ほら…あのフレンズの子だよ。」

「え、いやいやいや!別に俺とアライさんはそういう関係じゃないし!」

「嘘だ~、お前、彼女好きなんだろ?」

「好きっちゃ好きだけど…」

「それに、お前彼女と一緒に暮らしているんだろ?」

「べ、別に俺は彼女が外で暮らせるのか心配で、家で一緒に暮らしてるんだよ!」

「嘘に見えるな~、確信犯か?」

「ち、違うって~!今日のカエデ本当に意地悪…」

そう言ってから、俺はバレンタインを思い出す。

アライさんがチョコをくれた…

アライさんは本当に俺の事を大切に思ってくれてるのか?





「今日の体育は高跳びだぞ~。君達はあまり、高跳びが得意じゃないからな、特別講師を呼んでいるんだ。」

場がザワザワとする。

高飛びかぁ、俺あまり得意じゃないんだよな…

「はいはーい!私が特別講師?の、サーバルだよ!」

「サーバルちゃん!?」

思わず驚いて声に出てしまった…!!

「あれ?メイちゃん!ここに通ってたんだね!」

「おい…メイ、あの子とどんな関係なんだ??」

「お前ってやつは、二股を…」

「ち、違うって!」

「ほら、お前達、実演を見せてもらえるぞ!しっかり見てろ!」

「うみゃみゃみゃみゃみゃみゃー!うみゃー!!」

彼女は掛け声とともに助走をつけ、これまた掛け声とともに飛び上がった。

高い…なんて高いんだ、まるで体育館の天井にぶつかりそうなぐらい高い…

ゴンッ!

「うみゃー!!!!?」

「「「当たったー!?」」」

「先生!絶対に俺達には無理です!」

「大丈夫だ!信じればなんでもできる!先生も君達を信じてるからきっと出来る!!」

「先生…プレッシャーかけないでくださいよ…」

でも、こんなところでフレンズが活躍できるなんて意外だった。

そうだ、まだ反フレンズ運動はそこまで高まっていないんだ。

今の内にもっとフレンズの良さを伝えるんだ。

「でもいくら足掻こうとあの高さは無理だわ…」

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