第3話 現象
朝。
窓から朝日が差し込み、外からは小鳥の声が聞こえる。
こんな清々しい朝はなかなか無い。
さて、昨日はよく分からないまま、一人の少女を家で寝かせてしまった。
その少女と先程から対話してるのだが、どうもよく噛み合わない。
どれくらい噛み合わないかって言うと、縄文人と現代人が話すレベル。
きっと彼女なら、テレビを見て、「薄い板に人が入ってる」というだろう。
これはどうも、ただのコスプレ少女ではなさそうだ。
「…ねぇ、君ってどこから来たの?家は?」
「家?…なんなのだ?それは」
まず、彼女には家という概念がない。
「家がない」というのなら分かるが、そもそもその存在すら知らないのだ。
「ちょっと触るよ」
「な、何するのだ~!?」
耳と尻尾を触ってみても、特段外れもしない。ビッチリくっついている。
というか、生えている。
思考が追いつかない。
ただの高校生がさすがにこの状況を目の前に完璧な考察を行うことは出来ない、そう判断して文明の力を借りることにした。
そう、薄い板…ではなくテレビだ。
◆
まぁ当たり前である。
この非現実的な出来事は、きっとニュースで報道されているんだろう。
スイッチをつけると、特番が行われていた。
「う、うわ!?薄い板に人が入ってるのだ!」
予想通りである。
「なんか、君といたらツッコミ役が何人いても足りない気がするよ」
「ツッコミ…?」
余計な単語を出してはいけない気がした。
『昨日、各地に降り注いだ流星の影響で突如現れた生命体は、現在特に被害を及ぼすといった行動は見られず──』
『その生命体は、動物の耳と、それから尻尾を付けており、いや、生やしています。社会の知識はなく──』
…と、文明の力は詳しく説明してくれた。
少し心臓がバクバクしている。
何が…何が起こってるかわからない。
彼女が何をするのかわからない。
『アニマルガールと流星の因果はまだはっきりとしていませんが、近くにいた動物をベースとして、何らかの反応が起こり、アニマルガールとなったと言う説が一番有力でしょう──』
思い出した、俺は…あの流星に当たった。
そして恐らく、彼女は「アニマルガール」だ。
多分、その時に気づかなかったが、彼女のベースは近くにいた。
しかし、人間はアニマルガールにはならない、みたいだ…
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