第2話 ひまわり畑の少女

 着替えた後、俺は自室のパソコンで国影村のことを調べていた。ちなみに俺の部屋は家の2階にあり、机とベッドと本棚、クローゼットが置いてあるどこにでもありそうな部屋だ。

 国影村くにかげむら……俺の住んでいる県の隣の隣の県にある人口3000人弱の小さな農村だ。

 一応、村にひまわり畑があるか調べては見たが、ヒットしなかった。

 村にはこれといった店は無さそうなので、隣町でのんびりしたりするか……。

 夕飯を食べている時、俺は母親にこんな質問をした。

 「ねぇ、俺って前、国影村に行ったことあったっけ?」

 「あるというか、住んでたじゃない。あんたが小学校入る前まで。」

 何を言っているんだ……?俺は呆れてただ呆然とした。

 「全然思い出せないのだが……。」

 「え?!覚えてないの?!」

 母親はただ驚きを隠せずにいた。

 「じゃあ、一緒に遊んでた女の子の事も?」

 母親がそう言った瞬間、脳裏には自動的にあの夢の事が映し出された。

 「その女の人って俺と同じくらいの歳の人?」

 「ええ。確かそうだったはずよ。あんた本当に覚えてないの?」

 全く思い出せなかった。

 夕食を終え、自分の部屋に戻りアルバムを漁っていた。数ページほど開いていくと、ある写真を見つけた。

 そこには幼いころの自分と、見覚えの無い風景だった。

 全力でピースをしている俺の後ろには、山々に囲まれた田畑が広がっていた。

 確かにこんな場所この辺りの町ではなさそうだな。だが何故だろう。この写真を見ても全く思い出せない。

 ちょっとした記憶喪失にでもなってしまっているのだろうか。

 だけど国影村に行けば何かあるはずだ。

 その時の記憶そして、あの夢の事も。

 俺は俄然行く気が出てきた。ここに行けばすべてが解決するかもしれない……と。

 

 寝る間際、何故あの夢を見るようになったのか原因を考えては見たものの、案の定心当たりも原因も解らずそのまま眠りについてしまった――。


 ――そこには自分の胸の高さぐらいまであるひまわりがあたり一面覆い尽くしていた。いやこの世界がすべてひまわりで覆い尽くされているのではないかと考えてしまうほど、地平線の彼方までびっしりとひまわりが並んでいた。

 時間は夕方くらいか……。日が地平線に落ちようとしており、空と雲までもがあかね色に染まっていた。

 そこにいたの俺だけでは無い。俺の真正面にひまわりを挟んで立っている少女の姿があった。白いワンピースを着て、白い帽子を顔を見せないようにする為なのか、深く被っていた。

 またこの夢を見てしまったのだ。

 俺はハッ!と我に返り目の前に立っている必死になって少女に問いかけた。

 「あなたは誰だ!そしてここはどこなんだ!?」

 いつもならここで目が覚めるのだが、今回は何故かそのまま続いていた。

 少女はしばらくして透き通るような声でこう言った。

 「もうしばらくしたらわかるでしょう。私の事、この場所のことも……。」

 「じゃ……じゃあやっぱりこの夢と国影村に何か関係があるのか!?」

 そう問いかけようとした瞬間、俺はベッドから勢い良く上半身を起こした。

 「もう朝か……。」

 そうぼやきながらベッドから降りた。

 

 

 昨日またあの夢を見た。

 しかし起きた時の衝撃なのからか、ほとんど覚えていない。

 何だっけな、「しばらくしたらわかる」見たいな事を言ってた気がするような。誰かが。

 

 

 

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