わたしとあおぞら


 さあ、背負ってみなさいよ、と母。


 外で写真を撮ろう、と父。



 私は、しぶしぶ「女の子の色」のランドセルを背負って外に出た。

 玄関の前でポーズをとらされる。



 すかーんと晴れた青い空だけが私を見つめている。

 つまんない。



 いつまで、拗ねてるの?と母。


 そうだ、笑わないと可愛く撮れないぞ、と父。



 「青いランドセルがいい。」



 わがまま言わないの!女の子はみんなこの色よ!と母。


 青のランドセルなんて男の子みたいじゃないか!と父。





 どうして青いランドセルを選ぶと変なの?


 どうして青いランドセルを背負うと笑われるの?


 どうして青いランドセルを望むとわがままになるの?


 青は、どうして男の子の色なの?







 つまんない。

 もしそれが、先生とかお母さんのよく言う「きまりごと」なら、すごくつまんない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る