第19話 子猫達の一日

 引き取ってから毎日ずっと、食べたら寝て、ひたすら遊んだら寝て。

 同じ事を繰り返していて、飽きないのかな?

 私の膝によじ登ろうと頑張っているペチを拾い上げて、じっと覗き込みました。


「ニャって鳴いても、君の言いたい事は、わからないんだよ」


 下手に話しが出来て、何だコノヤローとか言われても、怖いですけどね。

 飼育の妖精さんが言うには、三匹とも私の事を気に入ってるっぽいです。

 たまに、スリスリしてきたり、膝の上に乗ってくるのは、悪い気はしないですね。

 なんと言うか、可愛い。


 今更ですけど、飼育の妖精さんったら、子猫達の言葉が解るみたいです。

 まぁ、それとなくですけど、そんな気はしてました。

 だって、鳴き声に頷いている時が有るんですもん。


 そんな訳で、今回はペチ達は、私が居ない間どう過ごしているのか、お教えしましょう。

 そしてゲストは、飼育の妖精さんです。よろしくお願いします。


 それぞれ性格が違いますから、私の見てる限りでも、別の行動をしてる時が多いんです。

 モグはとにかく食べる量が多いそうです。

 ミィやペチの分まで食べちゃう事もあります、ってそうなの? モグ、何してんのよ?

 その分、遊びまくってるから大丈夫? 

 いや、そうじゃなくて、ミィとペチがお腹空いちゃうでしょ!

 私は、猫ってほとんど寝てるもんだと、思っていたんですけどね。

 わんぱくな子ですね、モグって。


 ミィは朝ごはんを食べると、寝ちゃいます。

 ベランダに続くガラス戸の前、ここがミィの定位置です。

 この間、ちっちゃい座布団を買って窓際に置いときました。

 ウトウトしている姿も可愛いです。

 妖精さんが言うには、あんまり手のかからない子だそうです。

 良い子だね、ミィ。

 そのまま、賢く育ってね。


 ペチは朝ごはんを食べたら、部屋の中をお散歩します。

 大体コースが決まってます。

 うん、これは私も知ってる。

 ペチのお散歩コースに私が座ってると、私を膝によじ登って、乗り越えてくんですよ。

 たまに、外にもお散歩に。


「ってうぉ~い! まだ子猫なんだよ! ノラ君達にガブってされたら、可愛そうでしょ! 大丈夫だって? 何でよ!」


 あぁ、ペチの外出には、妖精さんの誰かが、必ず着いて行くんですって。

 主に風の妖精さんが着いて行くそうです。

 大丈夫かなぁ。

 ペチの外出には、ほぼモグも一緒だそうです。

 はいはい、もう驚かないですよ。

 モグなら、いつかやると思ってましたから。

 二匹で、ノラ君達の地域ネットワークに参加中だそうです。

 モグはその内、オヤビンになるね。


 ペチとモグが、お外に行ってる間は、ミィはずっと寝てます。

 たまに起きて、部屋の中をウロウロしてるそうです。

 水の妖精さんにじゃれる事も有るみたいです。

 水の妖精さんは、フンって顔をしながら、相手してるんでしょうね。

 このツンデレさんめ。


 夕方になって、お腹が空いたころに、ペチとモグが戻って来ます。

 ミィがむくっと起きあがって、ミィミィ鳴いてお出迎えします。

 鳴いているミィに、ペチとモグが体をスリスリしたり、舐め舐めしたりするみたいです。

 意訳するとこんな感じです。


「またお外に行ってたの? 私も連れてってよ」

「ごめんね。だってミィ寝てたし」

「そうだよ。僕たちが遊びに行く時に、起きてれば良いんだよ」

「だって、眠かったんだもん。モグのばかぁ」

「怒らないでミィ。今度はちゃんと連れてくから」

「ほんとだよ。約束ね」


 置いてけぼりにした、ミィを二匹であやしてるんですね。

 なんだかんだで、仲のいい兄妹ですよ。


 お出かけしていた二匹が帰って来ると、お掃除の妖精さんが、俄然張り切り出します。

 泥だらけでは、部屋には入れさせんぞ~、みたいな所でしょうか。

 腕まくりして二匹に近寄り、ブラッシングの開始です。

 それ以外にも、床を掃いたり、拭いたり、大忙しです。

 とは言え、嬉しそうな顔をしてるんですけど。


 そんな、お掃除の妖精さんの後ろを、ミィがちょこちょこと着いていきます。

 まぁ、君はずっと寝てたしね。

 遊び足りないのかな?


 その内、お料理の妖精さんが、子猫達のご飯を用意してくれます。

 妖精さんお手製の時もありますが、大抵は私がスーパーで買って来た、子猫用の猫缶かカリカリを、食べさせます。

 やっぱりガツガツ食べるのは、モグだそうです。

 ちょっと量を減らさないと、太るんじゃないの?

 そして、食べたら寝ると、いい生活してるじゃないか、君達。


 三匹には、それぞれお気に入り場所が有るみたいで、お昼寝の場所取りで喧嘩になる事は、ほとんど無いです。

 ミィは窓際の座布団が、いちばんのお気に入りです。

 ペチは、なぜか私の机の上がお気に入りのようです。

 モグは私が愛用している、ふかふかクッションが、お気に入りみたいです

 でも、一番かわいいのは、三匹が一緒に寝てる時でしょうね。


 私が自宅に帰ると、たまにニャって鳴いて、お出迎えしてくれます。

 可愛い子達ですよ。


 そう言えばあなた、飼育の妖精さんなのに、登場してなく無い?

 そんな時も有るって?

 まぁ、良いですよ。

 いつもお世話してくれてるのは、わかってますから。

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