ドラゴンボールでインフレが始まってしまった理由の考察
ドラゴンボール。好きなんだけど途中で凄いインフレが始まるじゃないですか?
あれがなんで起きたのか考えてみたわけ。
昔はああいったインフレを『バトル漫画の宿命』的に考える意見が多かったように思うが、本当にそうなのか? とちょっと思ったと。
なので色々と項目に別けて考察してみた。
◆◆◆
①スカウター
これが大元の元凶。
まずこれで戦闘力が可視化されたのが良くなかった。
明確に数値で戦闘力が出てしまうおかげで差が明確になってしまった。
これがなければ明確な数値が分からないからインフレなんてそんなに起こらなかった可能性は高いと思う。
②界王拳というバランスブレイカー
恐らく当初は『体に負担をかけるが戦闘力を大きく上げる』ぐらいの技だったんだと思うが、サイヤ人襲来でベジータに3倍界王拳のかめはめ波からの『4べぇだぁ!』を使ったことで設定がバグったんだと思われる。
明確な数字で倍率を書いてしまったのが恐らくマズかった。
簡単に戦闘力を上げられてしまうのも良くなかった。
事実上、これがインフレが始まった理由だと思う。
ここからは悟空だけ界王拳ありきの戦闘力になってしまい、他のキャラは界王拳ナシでそれに並ぶ必要が出来てしまった。
が、それは少々歪な構造になってしまう。
つまり、孫悟空は主人公だから最強である必要があるが、仲間キャラをそこに並び立たせようとすると界王拳を使ってない素の孫悟空よりは強くする必要が出来てしまったわけだ。
でもこれが違和感の元であって、例えばクリリンの素の力が孫悟空より強くて、悟空は界王拳を使わなければクリリンにすら勝てない――なんてパワーバランスだとなんか違和感があるというか、残念感が凄いはず。
なのでナメック星編では界王拳を封印する必要があったはずで、実際、超サイヤ人を覚えてからは界王拳は使っていないはず。
仮に悟空の戦闘力が100で界王拳で1000になるとすると、展開的には敵も戦闘力1000ぐらいにはするしかないし戦闘力1000前後の戦いを行うしかないわけで、そこに仲間を参戦させようとすると仲間キャラも戦闘力1000に近い強さが必要になってしまう。
そうなると界王拳使ってない悟空が弱すぎるように感じて違和感になる、という話。
③界王拳と超サイヤ人でのパワーアップの決定的な感じ方の違い
個人的に界王拳でのパワーアップと超サイヤ人でのパワーアップには読者の感じ方に違いがあると思っていて。超サイヤ人でのパワーアップはフリーザやザーボンやセルの変身と同じで個人の能力感があるんだけど、界王拳でのパワーアップって強いドーピング感があると思っていると。
なんか、それで強くなっても本当に強くなった感がない。
具体的な話をすると、フリーザ編の悟飯はフリーザの第3形態ともそこそこ戦えていたことから考えると戦闘力100万近くにはなっているはずで、それはギニュー戦時の10倍界王拳を使った孫悟空と同じぐらいの強さがあるってことになる。
ノーマル孫悟空ではなく『10倍界王拳を使った孫悟空』と、です。
この時点の悟空の推定戦闘力は10万前後しかなかったから。
つまり、素の状態だとこの時点では悟飯の方が10倍ぐらい強かったことになる。
それは流石に違和感あるよね? という話。
界王拳使えば同じぐらいの戦闘力だけど、界王拳なかったら悟飯の方が圧倒的に強いって、それちょっと不自然じゃない? ということ。
だからギニュー戦からの回復後の悟空を素の状態でも悟飯より強くしないといけなくなった。
なのでここで悟空の戦闘力をいきなり10倍以上にするしかなくなってしまったと考えられる。
フリーザの初期戦闘力が53万で、第2形態が100万以上で、ここまでが原作で明言されている数値。このルールでいけば第3形態が200万で第4形態が400万のはずだが、公式発表では第4形態は戦闘力1億2000万らしい。
どうしてそうなるのかを考察していくと、上で書いたように悟飯が戦闘力100万前後になってるから悟空には素の状態でそれを超えてもらうしかない、という考察を前提として考えるとなんとなく見えてくる。
悟空は悟飯以上にしなくてはならないから100万以上にパワーアップする。それに10倍界王拳を使うから最大戦闘力は1000万以上は確定。
その10倍界王拳の悟空をフリーザは50%の力で相手出来て、20倍も耐えるフリーザの戦闘力は2000万以上が確定。そこから100%フリーザへの変身があるからもっと上がる。
最低の数字でもこのライン。
公式によるとフリーザ戦時の悟空の戦闘力は通常300万らしいが、それで計算すると素が300万で、10倍界王拳で3000万で、20倍で6000万。しかしそれをフリーザは防いだわけで、この時点で6000万以上は確実。後に100%フリーザに強化するから1億超えても全然不思議ではないと。
完全に界王拳がインフレを生んでいる。
もし界王拳という技を実装せずに全て悟空の努力で素の戦闘力を上げたという設定ならここまでのインフレは必要なかったはずだ。
④ピッコロさんインフレしすぎ問題
ピッコロの戦闘力はラディッツ来襲の頃で魔貫光殺砲時の1500ぐらい。ベジータ襲来時に3000ぐらいになっていたと考えられる。
(悟空の戦闘力5000の数値を聞いたナッパの反応からナッパは5000以下がほぼ確定で、そのナッパに殺されたピッコロはそれ以下が確定)
そして界王星での修行の後のナメック星でフリーザと戦った時は戦闘力100万以上の第2形態フリーザと互角に戦った。
途中、ネイルとの融合により『戦闘力が何倍にもなった』のだが、何倍というなら2倍~9倍の間と考えられるわけで、つまり界王との修行で最低でも12万ぐらいまで戦闘力を上げてないとおかしくなる。
ということはピッコロはナッパ戦から界王星での修行で戦闘力を50倍ぐらい以上には上げている必要がある。
これは原作からの情報で完結しているインフレなので確実なインフレ。
ピッコロが素の状態で100万以上の戦闘力を得てしまったから悟空とのパワーバランスが難しくなった。
この時点での悟空の戦闘力がナメック星到着時で推定10万前後で10倍界王拳を使わないとピッコロとは勝負にならないことになる。
⑤20倍界王拳の罪
20倍界王拳かめはめ波でフリーザを倒せなかった時点で超サイヤ人には20倍以上の戦闘力上昇効果があることが確定してしまった。
これも良くなかったと思う。
超サイヤ人にはどんなに最低でも30倍ぐらいの戦闘力上昇効果がある。
これにより他の地球人を孫悟空と並び立つレベルの戦士にすることがより困難になったと思われる。
つまり界王拳と同じで『悟空は超サイヤ人を使わない素の状態だとヤムチャやクリリン、天津飯らにすら負けてしまう』という設定が恐らく読者には受け入れられない以上、彼らを素の状態の悟空より強く出来なくなっている。
だから彼らと悟空らとの戦力差が出来てしまってインフレしているように見えてしまう。
その中で悟空と同じぐらいの戦闘力を出せても問題がないのが同じサイヤ人のベジータや悟飯らで、次に人とは色々と違う構造をしているピッコロとか魔人ブウとかは素の状態の悟空より強くても納得感がある。
◆◆◆
ちょっと思ったけどNARUTOも似た状況があったのではと感じる。
物語の序盤は、劣等生だったナルトが自分の中の九尾の力を使って強くなって周囲を見返す話だったが、物語が長く続いて登場人物らが成長していくと、結局のところナルトは借り物である九尾のチャクラがなければ並以下でしかないと、やっぱり劣等生でしかないという評価になりかけてたと思うわけ。
だからナルトには仙人モードという九尾のチャクラに頼らない新しい力を与える必要があったのだと思う。
そういう話を総合的に考えてみると、主人公に特殊な方法で強力な力を与えてしまうと他のキャラとのパワーバランスを取れなくなってしまうのだと思う。
それが主人公最強の俺TUEEEの話なら問題ないけど、普通に仲間キャラとかと共闘したりするなら仲間キャラも主人公に近い戦闘能力を持たせる必要があるが、主人公が特殊な方法で強くなっている分を仲間キャラは普通に強くなって埋めてくるわけで、戦闘能力では主人公が上回っていても何故か主人公の弱さが見えてしまう。
この辺りは上手く解消しなければ作品がつまらなくなるのだと思う。
ということで結論に移るが、個人的にはドラゴンボールのインフレみたいなのは『バトル漫画の宿命』とは少し違う話なのではないか? と思う。
あれはスカウターと界王拳X倍の合せ技で作られたのではないかと。
恐らく『主人公が強くなった分だけ次の敵キャラはもっと強くしないといけない』という部分については間違ってはないのだけど、上記のドラゴンボールのような特殊な舞台装置の掛け合わせでああなっただけで普通はあそこまでのインフレは起こらないのだろうと思う。
ただし主人公を特殊な方法で強くしている場合、その力の種類や主人公の立ち位置によっては作品内のパワーバランスを取るのが難しくなったり主人公が凄く見えなかったりしてしまうのだと思う。
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