第四回 影響されちゃった☆

 ラノベでも、マンガでも、アニメでも、映画でも。

「オレもこんな作品を作りたいなぁ」

 そう思ったことは必ずあると思います。


 今回は、私がそういう風に思ったときに、その作品をどう見て何を吸収しようとしてるのか?

 というのを語ってみたいと思います。


 よく、ラノベの技術を書いてあるサイトで「インプットが大事」「小説を沢山読め」こう書かれている事が多いと思います。


 しかし私が思うに、インプットするとはいっても具体的になにをどうインプットしてるの? 

 という点まで踏み込んだ記事は少ないと感じましたので個人的な方法というかどこを見てるのかというか、そういうのを語ってみたいと思います。


 要はただ小説を沢山読めばいいのか? というとそういうワケではない。

 って話です。


 インプットの方法として、ラノベを読んでいて気に入ったアイデアとかセリフをメモする。

 という方法が提案されている場合がありますが、私はこの方法はやった事がありません。


 正直に言うと、この方法は私には合わない、というより私のやり方ではあんまり意味が無いというのが正しいと思います。

 もちろんこれは私の感覚論ですので、これが有効だと思う方はドンドンやってください。

 あくまで、私の場合、という話である事を念押しして続けさせていただきます。


 で、私の場合なんですが、印象に残ったセリフとかは割と記憶に残るんです。

 逆に言えば、記憶に残らないようなセリフやシーンは気にしてません。

 覚えてないという事は得たインパクトやインスピレーションは小さいという事なので、忘れても大した事ではないと考えています。


 そして覚えてるセリフやシーンなんですが、それもただ覚えているという訳でもなく、大体そのセリフ、シーンを考えた作者の思考が読み取れるシーンが多いです。


 具体例をあげましょう。


 まずはマンガ「ブラックラグーン」から。

 作中で「暴力教会」と呼ばれる場所に所属するシスター・エダのセリフです。


「こちとらガリラヤの湖を歩いて渡る稀代のペテン師に仕えてるんだ、このくらいの仕掛けはお手のもんさ」


 完全に記憶で書きましたので細部は違うかもしれませんが。概ねこのような意味のセリフです。


 このセリフから読み取れるブラックラグーンの作者の思考は「神をペテン師と同列に見ている」もしくはそういう皮肉を考えれる思考を持っている。

 という事です。

 この作者は明らかにB級映画が大好きなのが作中の描写やセリフ回しで読み取れるので、もしかすると過去にそういう言い回しのある映画を見たのかもしれません。


 と、適当な予測をしてみます。


 この予測が合っているとか外れているとかいうのは実はどうでもいいのですが、大事なのは「神がペテン師であった」という着想そのものを私が得た事です。


 ちなみにこのセリフを見た後、私はちょっとマジメに考えてみました。


「如何にペテンを駆使すればガリラヤ湖を歩いて渡れるか? それを奇跡として人に見せて神の御業として信じさせるか?」


 をです。


 地図を見て湖のサイズを知り(この地点で歩いて渡るのはムリだと理解した上で)それを元に渡る方法を実際には不可能でもいいので、可能性としてのレベルで出来そうな事をいくつか考えてみました。


 その1.水面下にロープを張り水面に出ない吊り橋のような桟橋を作って沈めその上を歩く。

 その2、水面下に船を沈め、それに乗ったまま弟子にロープで対岸まで引かせる。


 まぁ当時の技術水準を考えると私の頭で思いついたのはこんなもんでした。

 どちらかというと2の方がまだ出来そうかなという気はします。

 湖がデカすぎて1だとロープのたるみが大きすぎて明らかに歩くと頭まで浸かってしまうでしょう。


 と、私の場合は影響を受けたセリフから、このように思考しています。


 セリフそのもの、というより「セリフを起点に頭の中の常識や世界観を書き換える」という感じでしょうか?



 ちょっと長くなってますが、例をもう1つ。



 こちらは星界の戦旗(アニメ版)から「華やかな狂気」の異名を持つビボース提督のセリフです。


「噂話なんて尾ひれがついたほうが大体面白い」


 これも記憶だけで書いたので細部は違うかもしれませんが、意味としては合っている・・・・・・ハズです。


 噂話は尾ひれが付いた方が面白い。

 この思考にはなるほど、と思い物語を構築する時以外にも、キャラクターを創造する時も応用しています。


 このセリフを起点にラノベキャラクターは舞台役者のような物として考えるようになり、セリフ回し、リアクション、感情。

 全て大げさになるように意識して構築するようにしました。


 その方が頭の中のイメージが面白いからです。



 あとついでに、何で聞いたのかは忘れましたが、アニメ監督のワタナベシンイチ氏(所謂アフロの方)の作風にも影響を受けました。


 これは「アニメは動いてなんぼ、ただ静止画で話してるだけみたいなシーンは面白くない」という話をどこかで聞いたのが切っ掛けです。


 ラノベでもこれは当てはまると思い、シーンを頭でイメージしたときにキャラクターが動かないシーンにならないように色々と工夫をするようにしています。


 たとえば


 身振りの描写を入れる。

 合間にボケさせてヒロインに突っ込みを入れさせる。

 明らかに何かしらの動きを伴っているであろうセリフ回しで発言させる。

 話しながらキャラクターが余所見をする。(この場合、この余所見を後で伏線として回収させたりする)

 

 といった具合です。


 ただセリフを覚えているというよりも、セリフを起点に思考を広げれたものが頭に残っている。といった方がいいかもしれません。


 まだまだ語りたい事は色々とありますが、長くなりましたので今回はこの辺りで失礼します。

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