第二回 「王道」と「ありきたり」

 今回は「王道」と言われるものと「ありきたり」と言われてしまうものの差が何処にあるのか?

 という部分に焦点を当てたいと思います。



 創作を行う方が必ず追い求める斬新なストーリーや構成で面白いものを生み出すのは非常に難しいものです。


 斬新。つまり今まであまり使われていない方法を用いるという事は、その斬新な方法が使い方の難しい代物だったり、単に面白くないから誰もやらなかったり、そもそも思いつかないものだったり。

 理由は様々ですが、何かしらに一般的に使われなかった理由がある場合が大半です。

 有史以来、人類は古くは神話から様々な創作物を生み出してきているので、自分だけが斬新で面白い物語を考え付くというのがどれほどハードルの高い事か想像に難くないと思います。

「斬新で面白い物語」は生み出された瞬間から王道の手法となっていきそれが積み重なって現在があるからです。

 これを踏まえ、斬新であれば面白いという訳ではない。というのを念頭に置かないと大失敗してしまう事もままあります。


 王道と呼ばれる展開もまた、かつては「斬新」な物語であったのです。




 では本格的に、王道と呼ばれる展開についてはどうか? と考えてみましょう。

 おおよそ万人が好む物語や展開というのは間違いなく存在し、それをなぞって物語を作ると王道な展開となります。


 しかし


 王道をなぞって作ったハズが「ありきたりで面白くない」と言われてしまう事も多いのが実態です。


 私は「王道」と「ありきたり」の境界線は「演出」であると考えています。


 大雑把なあらすじだけで物語を見ると「王道」と「ありきたり」の差はほぼ皆無です。

 しかし面白さの違いが評価を分けます。

 その面白さこそが「演出」です。

 キャラクターを丁寧に、そして立体的に描き出し、感情を書き、読者を惹きつけ、物語の中でキャラクターの厚みを重ね続ける事で、クライマックスへ向けて物語を盛り上げ読者を物語に引き込ませる。

 これが演出となります。


 この演出がしっかり出来る事で、ありきたりな展開に読者を引き込み、王道へと昇華させる事が可能となるのです。


 思いついた物語が「ありきたりで面白そうでない」そう思ったときに、そこでその物語を捨てないで「演出」といった面から盛り上げ方を考えてみると「ありきたり」な物語が「王道」へと覚醒するかもしれません。


 個人的な経験則からですが、王道な物語が上手に書ける方はやはり物語の盛り上げ方も上手であると思います。


 この盛り上げ方を意識して物語を書き出す事で同じストーリーでも面白さはぐっと増す事になるハズです。

 主人公の感情や行動を丁寧に、躍動的に、描いて積み重ねると、いい評価になって帰ってくると思います。


 それでは今回はこの辺りで失礼します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る