2

悲しくて

悔しくて

独りで泣いている…。


…ママが

ママが…泣いているよ?


なんで?

なんでママのお腹に入れないの?


なんで

まだダメなの?



光のむこうから聞こえてくる声にむかって


何度も

なんども聞いてみたよ。


だけど

答えてくれないんだ。



いつもなら

なんでもすぐに教えてくれる

光の向こうからする声。


光の向こうにいる誰か…


ママが…泣いてるよ?


悲しくなった


ママの心の痛みが伝わってくる。


痛いね…ママ

代わりに泣いてあげるから…


だからもう…

泣かないでよ…。


手が届きそうなところにいるように見えるのに


ママの近くにいけないよ?


なんで?


なんで ママの傍にはいけないの?


ママがパパと一緒に埋めた

小さな希望の種。


可愛い花を咲かせるはずだった

小さな種。


毎日話し掛けていた。

優しい声で


「今日はいいお天気だね。

気持ちいいね。」



「今日は雨が降ってるよ。

お家にはいってようね。」



毎日

まいにち

パパと楽しそうに

笑いながら


大切に育てていたから


ある晴れた日に

パパが一緒にいる時に


小さな芽をだして

パパとママを喜ばせていた。


それなのに…


ママは疲れちゃったんだって。


悲しくて

つらくて


小さな芽をだしていた事も

忘れてしまったんだ。



もう

声もかけてくれない。



どんどん力がでなくなって

とうとう茶色くしおれてしまった。


ママは気がついて

ちょっと悲しい顔をして


ベランダに無造作に置いたまま

忘れてしまったようだった。


パパはそれに気がついて

とても悲しい顔をしていたけど

カーテンを閉めて

もう…見ないようにしていたんだ…。


パパとママの小さな希望だったのに…。


花が咲く頃

ママのお腹に入れるのかも?


密かに

一緒に期待していたから


とても悲しくて

泣いていたよ。


そしたら

光のむこうの声の人が

優しい声で言ったんだ。


≪ あのママが好きなのかい? ≫



好きだよ!

大好き!!


なんで 傍にいけないの?


なんでママのお腹に入れないの?



でも

答えてくれないんだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る