-日に向かって③‐

ヒナタという名前を貰った私はイズミお姉ちゃんとアキトさんと一緒に行くことになってからの初めての朝、頂いた服に着替えて食堂にいるアキトさんと合流して朝食をとる事になった、日々飢えを凌ぐ事すら大変だった私は…朝から食事を食べれる事に感動した、水を飲むように食べていると二人には笑われて、焦らずともいいよと言われ、とても恥ずかしくなった。


二人は転移者と転生者でこちらの世界を見て回っる旅をしている、そして一度中央大陸、王都リ・ワールドにもどり王女リーナさまから東の大陸にいくついでに調査を頼まれたらしい…戦争禁止条約から数百年、東大陸代表とした国々で大陸を渡るための港町フランクスの存在、そこからの物資と技術、知識が各国、村、町、民に伝わっているのかどうか…


結論として言えば、まったく伝わっていないに等しかった、たしかに条約の事は知っているが大昔の事だという認識、技術も知識も昔の物と思っていた…港町からは今も物資と最新の魔道具が届いているらしいが全て各国の王城、貴族たちが独占し、民に流れる事はなかった。


技術、知識とは1人ではなく大勢に知られる事で発展し、後世へと続いていく…東の大陸は他の大陸よりも何年も遅れている…技術、知識だけではなく兵士、冒険者、戦う物達、武力もと教えられていると…今まさに…


「おいおい姉ちゃん達…随分と豪勢な食事をしているじゃないか俺たちにも情けをくれよ」

「ついでだから手持ちの金全部おいてけ」


ボロボロの鎧や血がこびり付いた剣や槍、敗戦国か脱国兵か8人の男たちが私達の前に来た…イズミお姉ちゃんにしがみつくと優しく撫でてくれて「座っていて」と言われアキトさんを見ると笑顔で頷いてくる。


あっという間だった8体1、圧倒的不利な状況で戦いは始まり、すぐに終わってしまった。

斬りかかる、魔法を唱える時間もあたえずイズミお姉ちゃんは男たちを倒し宿から外へ摘まんでは投げ、摘まんでは投げて…道にボロボロの男たちが積み重なるオブジェが出来上がっていた。



「さて…というわけで私達はこれから帝国を目指して旅をします! 」


「食料も少しは補充できたし、こっちにもダンジョンあるから食料に魔物狩りながらだな… 」


「「食料大事!! 」


食料はたしかに大事…二人なら魔物も簡単に倒せそうだ…私はお荷物になるんじゃないかと考えていると


「ヒナタも頑張って強くなろう! ステータス見る限りでは強くなれると思うんだよね」


「ステータス? 私も戦えるようになれるのかな? 獣人族ではあるけど戦ったことなんてないよ? 」


「私達に任せなさい! 危なくない程度に少しづつ強くなっていこう」


「怖いけど…がんばります! 助けてもらってお荷物になんかなりたくないです」


宿を引き払い、次の目的地はヘイダム…私が育った国、数日前までいた場所へ行くことになった…私が暗い顔をしているとアキトさんが尻尾を握ってきた、思わず変な声を上げて、イズミお姉ちゃんの後ろに隠れる


「暗い顔するなって…俺たちがいる…それとなんか堅苦しいなもっと砕けた喋り方でいいぞ? 」


「そうですか? 」


「そうだな~~俺がいた世界に伝わる古の女子語を教えて進ぜよう」


「? 」


アキトさんから不思議なしゃべり方を教えてもらった…がすごく馬鹿ぽく感じる…でも折角教えてもらったのだから少しづつ慣れていこうと思う…イズミお姉ちゃんは苦笑していたけれど…「チョベリバとか…死語でしょ…ていうか日本が無い世界なのにコギャルはいるのか…」とブツブツ言っていた…コギャルってなんだろう…戦闘民族かな? 黒と白がいるらしいルーズソックスという物は暖かそうだ…


ヘイダムへ向かう最中…何度か野党になった兵士や、魔物に遭遇したりした野党の時は危ないからと二人だけで戦い、弱い魔物は私ががんばって倒した、少しづつ戦い方を教えてもらった、どうやら私は武器を使わない方が戦いやすいと解り、強化魔法を教えてもらった…難しかった…途中で私にもステータスが見れるようになり二人のステータスと野党のステータスを見比べると、二人なら国を滅ぼせるんじゃないかと思った…


「あと~もう少し~で付くみたいな~? 」


教えられた仕草、少し首を傾けて口に指をつけて二人に言うと


「「馬鹿っぽいね」」


「ひどいですよ~」


「語尾だけ伸ばすほうが良い感じかな? 」

「その方がまだいいわね…」


そんな明るい会話もすぐに終わりを告げた。


着いた場所は、数日前とは違う光景、崩れた城と建物、家…瓦礫の山だった兵や人の死体、群がる魔物達、野鳥が飛び回る…隣国の兵士たちは引き上げた後みたいで死骸と瓦礫以外はなにもなかった…貧民街の方にいくと老人老女の遺体があるだけで他にはいない…連れていかれたのだろうか? イズミお姉ちゃんとアキトさんにお願いして貧民街の人達のお墓を作った。


「仕返し、敵討ちをしたい? 」


「わからないです…」


「しかし…兵の死体を少し調べたけど…魔道具や武器、魔法…程度が低いな…逆に発展してないからこそ、この大陸にはまだ自然が残っているのかもな…」


二人の知っている魔法は最大の物で大地を砕き、海を蒸発させ、山をも吹き飛ばす、またその逆もあり恵みをもたらすものもあるらしい…たしかに戦争でそんなものを使われていたらこの大陸には何も残っていなかっただろう…


旅をつづけた…旅をつづけながらイズミお姉ちゃんはときおり家の無い人達に協会のような建物を建てて使うようにと指示していた…イズミお姉ちゃんの魔法? は凄かった、お風呂の時もそうだけど家などの建物を作れるらしい、その分魔力の消費も激しいらしく今はまだ連続して使えないらしい必要な素材はリーナ王女から渡されていたらしく。

戦争や紛争に巻き込まれた人達がいれば移住できる施設を与えるよう言われていたようだ…


アキトさんとイズミお姉ちゃんに鍛えられて私も結構強くなってきた…野党8人ぐらいなら私だけでも倒せるようになってきた、二人に教えられた知識や技術は効率化されたもので理解するのは難しいけれど覚えやすく教えてくれた。


冒険者達にあった、ダンジョンの奥に仲間を助けに行くらしくクロ―ドという冒険者らしいイズミお姉ちゃん達と同じ中央大陸出身で私と同じぐらい歳らしい…かなり奥深くにいるらしく、強力な魔物が多かった、イズミお姉ちゃんはこれ以上は危ないからと冒険者達に帰りの道の守りを任せ、3人で奥へと入っていった…


私と同じぐらいの背格好の子が巨大な魔物と戦っている、滑らかな金髪と垣間見える高い鼻、蒼の眼

イズミお姉ちゃんとアキトさんが助けに行こうすると「足手まといだ! 下がっていろ」と指図してくる…

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