-連合会老子来店と新物件-

賃貸屋【ISEKAI CHINTAI】では今日も営業中!!昼時も終わり本日は客足は少なくとてものんびりな営業です…店長のイズミさんはだらけきっており椅子の腰掛に背を預け両足をだらしなく広げている。

…店長…若い淑女がそんな派したない恰好をしていけませんよ? まだ営業中ですよ?


店内に複数あるお客様へ物件説明、対応するテーブルでは竜王様とリーナ王女殿下がチェスで遊んでいます。

店長といいまだ営業中ですからね? 王女殿下は王室での仕事はどうしたのですか?今頃王城では宰相をしている私のお父様、クエスが眉間に皺を寄せて頭痛に悩まされているはず。


私は熱いお茶を用意しお二人の前に静かにおく。


「フィンすまないな!」

「ん~…う~~~ん」


どうやら勝負は王女殿下が優勢のようだ…前面硝子張りで店内が丸見えなのだが…お二人の事を気にするものはそれほどいない…最近ではいつもの光景だからだ…旅行者や来たばかりの冒険者が驚きひれ伏すのはまれにある。貴族たちは踵を返しいなくなるものもいる。


あれ…これって営業妨害なのでは? と考えていると日の明かりが差し込む店内に一部影が刺す。

その場所を観ているとヒナタが硝子磨きをしていた…硝子に息をかけて曇らせていく…そして指で文字を…

逆だから読みにくい…え~ 私も休憩していい? …働きましょうよ!! わざわざそんな事をしないでも思念会話があるでしょ!私は叱るように厳しい顔をしてヒナタに向かい首をふる。

綺麗な銀髪からでている獣耳を倒し悲しそうな顔をしてこちらを見てくるがダメです!。


『サボらないで頑張りなさい! あとで美味しいお菓子だしてあげますから」


『ちぇ~…はーーーいわかりました! 睨まないで~~~!』


ヒナタは止めていた手を動かし再びガラスを磨き始める…私は溜息を吐きつつ肩を揉む…

エルフの中でも若いはずなのに肩がこります…原因は無駄に大きい胸のせいなのですが胸の話をすると店長が「憎い…その胸が憎い…」と呪詛を唱えてきます…こないだはアキトさんにマナ板と言われそのけた外れの能力を全開にしアキトさんを王都中を追いかけていましたっけ…転生者、転移者のステータスで行われた追いかけっこは壮絶極まりないものでした…店長も言うほど小さくないと思いますが。


そんな事を考えていると一人のご老人が店にやってきます…腰が90度ほど曲がり杖をついた…

あ~これは店長がとても困る方ですね…


「そこのエルフ…本日は休業かな?」


「いいえ、営業中です」


「とても営業中には見えない光景じゃが…」


ご老人は店内を見渡し…竜王様と王女殿下を観た瞬間、口を大きく広げて固まった…あら大変倒れてしまったわあまり人体でなってはいけない音が鳴りましたけど…あら瀕死になっていますね治癒魔法をおかけしないと…


「完全回復<リカバリー>そして精神回復<スピリチュル・ヒール>…」


「わ、ワシは一体!! こ、ここはどこじゃ?!」


「賃貸屋でございます、窓際を視ずにこちらをお座りください」


「そ、そうじゃったそうじゃった窓際? ま~構わぬが? む? むむ?! 腰が! 腰が真っすぐになったぞ!」


さきほど鳴ったのは背骨の音…完全回復の効果もあり元の正常な形として固定化されたようで背筋ともに真っすぐになられたご様子…瀕死になった経験からステータスもあがってますね…称号に【生死の境を越えかけた物】と書かれておりますね…たしか効果は死にかけても生存しやすくなる効果があったはず…


「それでじゃが…む? いまこちらの辞儀をし奥に消えていくのは店長かな?」


「え……」


奥へと消える店長の後ろ髪が見える…逃げましたね…


「それでじゃな………いや、なんで来たのじゃったかの~物覚えは良い方でまだボケてもいないのじゃが~」


ご老人は頭を指でトントンと叩く仕草をしながら記憶を辿っているようですが、誰でも瀕死の経験をすれば前後の記憶が一部なくなるのもよくあることです、私達からすればろくでもない事でしょうからそのまま忘れて頂いた方がいい…


「お客様は…そう!物件を探していると言ってましたわ」


「む~~そうかの…何か珍しい物件はないかの?」


「そうですね…失礼ですがお客様の外見的お歳ですとお屋敷では苦労をなされているのではありませんか? 」


「そうじゃの~いまはこのように背骨が治ったものの大夫衰えていての~最近では坂道や階段を上り下りするのも一苦労じゃ…従者や妻にも迷惑を掛けての~」


「こちらなんて如何でしょうか? お客様のような方々にご提供する新しい物件になります」


私はご老人に最近店長が新しく建てた物件の一つ、木を多く使うため私も精霊達の力を借りお手伝いした。

木造の物件で木本来の香りを楽しめる良い物件だそしてこの新商品本来の用途は…


「バリアフリーとな? 何か防御魔法がつかわれておるのかな?」


「ご説明させていただきます。ここで使用されているバリアフリーとは異世界で使われている言葉です、わかりやすい例をあげると高齢者の方や、そうですねダンジョンやお仕事で体に障害が出た方が生活をするうえで…バリアフリー…支障を取り除く事ですわ」


「なるほどの~察するにこの物件には異世界の技術が使われておるのじゃな!」


「技術といってもさほど難しいものではなく住宅構造の概念ですかね…さほど遠くはありませんのでお時間がございましたらご拝見なされますか?」


「興味がある!是非ともお願いしたいの~」


私は一つのカギと書類を持ちヒナタに声をかけてご老人と物件へ向かう。その物件はなるべく生活品がさほど移動説に買い出しにいけるよう王都中心部に位置し、貴族達や大商人、名高い冒険者達が暮らし場所に建っている。木造の平屋型、コの字になっており中央には池、入口…玄関部分は緩やかな坂になっている。


「これは素晴らしいですな!!」


「それでは中にどうぞ」


「うむ…木製の扉に硝子が嵌められておるな…むっ!扉は横へスライドさせるのか、靴をここで脱ぐのじゃたな…」


玄関から中に入り室内を案内していく…


「天井から差し込み日差しを利用して明かりの魔道具を減らしておるのか」


「そうです、壁際に魔道具を取り付けて日が堕ちるまでは自然の明かりのみ平気です。床の下には細い管が何本もとおしてあります。それに魔道具で熱した水を流すことにより冬場でも足元は暖かくすごせます」


「先ほどから足が温いと思っていたがそのような工夫が…」


「トイレは2つございまして、共用スペース、客間の近くにお一つ…寝室近くににお一つございます」


数ある部屋、廊下どれも広く通路には手すりがついている案内する 場所々々でご老人はその工夫に感嘆していたときおり「ワシの所でも…」と手記を取り出し書き留めていた、そして寝室のトイレ、お風呂をご案内すると


「まるで部屋のように広いではないか~ふむ、風呂の床は滑りにくく水の浸透が早いものを使っているのだな……一点気になる点があるのじゃがよいか?」


「はい…」


「入口の前の段差を階段ではなく浅い坂のようにし、家の中も人とのすれ違いを考えた広さといっても少し…この風呂場も、トイレもじゃ」


「お気づきになられました…この住宅はですねこちらの道具…魔道具を使う前提考えて作られております。車いすといいます」


ご老人に私は車いすの説明をする、足や、腰、体に障害がある方への治癒までの補助用具、椅子の両サイドに車輪を取り付け足元に自在に動く小型の車輪、体の衰えても使用できるよう魔道具が搭載されており手元の端末で移動方向の支持、自走可能である。


「これは素晴らしいの! こちらはどこで購入できるのかな?」


「この商品は店長が…王…ご友人に、東の大地にある国から取り寄せた物にございます」


「む~~そうすると入手は困難か…こちらの物を売ってもらう事は可能かの?


「あ、いいえ…こちらはさすがにお売りできませんがご心配なされなくてもギルド経由で近々、王都にある工房店に仕組みと作り方が伝えられて一般的に販売されますわ」


「それはいいの~~…よし決めた!ワシはこの住居に住みたい!! 契約というよりも購入は可能か?」


「ありがとうございます…それでしたら一度、お店の方へ戻りましょう」


私は口元を隠し、笑顔で私の前を歩くご老人をみる…私の口元は邪悪に歪んでるに違いないでしょう…

このご老人は本日、本来ならきっと面倒事を持ち込みイズミ店長と私達店員に嫌がらせをしてきたでしょう…仕事のじゃ…友好関係を深めにきた王城殿下も役にたちましたわ、父上に通報するのは今後は控えてさしあげましょう。


私はご老人を追っいながらお店へと向かいます。







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