-ギルドマスターとアキト 王都は今日も平和である‐

長い金髪、腰まで長いその髪を紐で束ねた男、見た目には細く見える体躯だが…その服の下には筋肉質な体が隠れている。ステータスを観れる物が見たら読み取れるであろう数々のスキル、王都内でも上位に入る各能力値そして【転生者】、【勇者】という称号が…細められて眼と笑顔、


「ね~~」


冒険者アキトは冒険者ギルドを訪れていた…彼の前には黒い肌、鋼のような筋肉の鎧に数々の修羅場を通ったであろう傷跡


「ね~~~てば~~~」


ギルドに働く職員達の顔は青ざめていた…なぜこの男はこんなにも気軽にこの方に声を掛けているのか…

男の前にいる人物は肩を震わせている…そう怒りに体を震わせているのだ…


「ね~~~~ハゲちゃん」


「誰がハゲだああああああああああああああああああああ!!」


頭はスキンヘッド、顔には左から右へ走る傷跡…王都リ・ワールドにある冒険者ギルド、数々の種族、冒険者、転生者、転移者がいるこの王都で最強と言われている男


「俺の方が年上だ!! ハゲさんと呼べ!!」


「「「「そこ?!」」」」


「俺たちの仲じゃないか? 幼馴染だろ~なんでさんづけしないといけないんだよ」


ギルド内にいる人々が一斉につっこみを入れる中、アキトは気軽に話つづける…見て明らかなぐらいアキトとギルドマスターは歳が離れている…父と息子ぐらいには…幼馴染…


「名は体を体を表すよね~~~」


「馬鹿野郎!! お前も知っているだろ? 俺たちがやってたゲーム! 俺がつかっていたキャラ!」


「ヴォルフ・ツルパゲイ…だったよね」


「お前はいいよな新しいそんなイケメンでよ!俺なんか自身が作成したネタキャラだぞ?!」


「別にいいじゃん! ただ一生髪が生えないのと…ぶっ…ツルッパゲ」


ヴォルフの頭を指をさし笑うアキト…


ヴォルフ=ツルパゲイは転生者、転生前の名前は井上タケシ…アキトと同じ世界、交通事故で死んだ幼馴染、親友のアキト…この世界ユクド・ヘイラにて二人は偶然の再開を果たした。

アキトは王都リ・ワールドへ賃貸屋【ISEKAI CHINTAI】店長のイズミと訪れた際、ギルドマスターのステータスを観た時、目を丸くした…「イノ…ウエ?」「その名前…キタバヤシ?お前キタバヤシなのか?!」男二人が泣きながら抱き合う…イズミとその場にいた者たちは騒然となっていた…一部の女性と男性は顔を赤らめていたが…


「んでお前は今日はなんのようだ? ようが無くてもくるが…」


「いや~暇でね~決まった職にもついてないし…お役目もないからね~」


「あ~…でもお前はわざとフリーにされているのかもしれないぞ?」


この王都では転移者、転生者には何かしらの役目を与えられる、農業、生産業、畜産業、飲食業から始まり王城働くもの国防、国益に関係するしごと、ギルドマスターもその一つである。


「そうなのかね~~~貰えないなら自身でどこか探さないと~ここはだめ?」


「いらん! 優秀な職員もいるしな! クロ―ドを見て見ろ? お前が10人いてもお釣りがでるぞ」


「いちよう俺、勇者だよ~王国での武術大会でも上位にはいったよ?」


「お前なんてまだまだだよ? 上には上がいる…俺は最強と言われているがここでは上から10桁にはいればいいほうだ…おい! 今の聞いてた奴! …悪いことは言わない忘れろ」


ヴォルフはギルド全体に聞こえるように言い放つ


「ギルドマスターで10桁…転移者、転生者が多いとは聞いていたけど…」

「この国…周りと比べると異常だよな?…他の大陸にも同じような国はあるとは聞くが…」

「やっぱり最強ってリーナ様でしょ?」

「いやいや…三朗が最強だろ!!」

「クエスさまが最強ですわ!!」

「ククッ…なにを言っている…この王都には魔王シュ…」

「所詮ギルドマスターもモブ…噛ませよ噛ませ」


会話を盗み聞きしていた者たちはヴォルフの一声でざわついた…各自各々の最強だと予想する物を語りだす…最後の女性職員を睨んでいたヴォルフはアキトに目を戻すと


「お前…技と武術大会の話題だしたな? こうなるのがわざと聞こえる場所で俺に話しかけて」


「ん~なんのことかな~」


「とぼけるんじゃね~~~」


アキトの首に腕を回し締め上げる


「ギブ~ギブ~~~~~」


楽しそうに笑っているが巨木をもへし折る力で締め上げているのにも関わらずアキトは平然と笑いながら回された手を叩く…


「マスター…ギルドを除いていたヒナタがなんか悪だくみをする笑みを浮かべて楽しそうに帰っていったよ…」


ヴォルフとアキトの近くに来た受付…クロ―ドが報告をする


「……」


「これでイズミの店にも話がいったね~」


「マスター…なんかクソ親父がすごい形相で城へはしっていったよ…」


「……」


「これで王城にも話がいったね~~」


アキトの首に回していた腕をとき、深いため息をひとつ、離れる際にアキトの頭部に拳骨を落とした。


「ま~~~暇つぶしにはいいかも知れないな」


「そうこなくっちゃね!」


「でもま~開催されるかはまだ分からないしな…まずクエスとイズミが反発するだろうしな」


「やりたいな~武術大会…」


その日、王都リ・ワールドの王城内、城下町、商店や、飲食店、町中で最強が誰なのか、次回の武術大会開催は何時なのか…人々は久々の共通の話題にお祭り騒ぎとなった。

口論が白熱しその場で戦い始める物、トレーニングを開始するもの、ダンジョンへ修行へ出かける物、各所の武具商店には人の列ができ、飲食店では賭け事が始まる。

そんな中…王城内でも多くの物達が騒ぎを起こしていた。


「こうしちゃーいられねーな!」

「よし訓練場へいこうぜ!!」

「お前ら警備の仕事をちゃんとやれ!!!」


警備をしている兵士たちに注意をする兵士長、そして王城内、謁見の間では…


「よしやろうか武術大会!!」


「なりませんぞ!! ジャン…バンダム騎士長! おぬしも余計な話を持ち込みよって!!」

「「「クエス殿の言う通りです!!」」


「え~~~~…」

「すいません…」


叱責を飛ばす宰相クエスと大臣達、女王リーナと騎士長ジャンを囲むように説教をしている。

そして…賃貸屋【ISEKAI CHINTAI】では…


「出ないよ…てか出させないよ…むしろ開催させないよ?」


「え~~~てんちょ~~~やろうよ? ね? やろ?」


獣人、銀髪の女の子クエスが尻尾を振りながらイズミに興奮しながら言い寄り…イズミは手に持った書類を降りながらあしらう仕事用メガネを外し


「だってね~ろくなことにならないでしょ? 前回も結局本気をだしてクエスさんの障壁も突き破り競技場は大破したりケガ人が大勢でたり!」


「でも~~~」

「まあまあ、お二人とも落ち着いて」


ヒナタとイズミが言い合いをしているとフィンとヒスイが社長室にはいってくる。


「楽しそうではないかイズミン、私もでようかな」

「そうだよ~でようよ~~」


ヒスイまで加わりイズミを説得しようとしている、竜王も参戦…冗談ではない話だ被害拡大は確実である


「ヒスイまで…」


「開催されるごとに設備や障壁も強化されていますから去年よりひどくは~~」


「…闘技場用意するのは誰? 障壁担当、治癒係りは? もう忘れた?」


「あ……ヒナタ? 竜王様? 私も反対ですわ」


フィンは前回の武術大会を思い出す苦労して準備した建物は壊れ、飛び交う魔法と衝撃、障壁を突き破り、大勢のケガ人、会場を走り回り治癒魔法の繰り返し、そして治癒された出場者、観客者は再び会場で騒ぎ出す繰り返し、まるでアンデッドだ…


「「やろうよ~~~~」」


「「やりません!!」」


王都は今日も平和である。










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