-王都で暗躍する謎の連合会-
薄暗い部屋の中…蝋燭の明かりに照らされる会議室そこには10数名の物達が席に座り中でも4人の老若男女が会議をしきっていた…会議内容は様々だがこれから始まる議題が本日のメインだ。
「おい…そろそろどうにかするべきではないか」
1人の男が口を開く…
「そうね…あの小娘…イズミが賃貸屋を始めてから私のところも利益が下がってるのだわ」
「そうじゃそうじゃ! ワシらは互いに協力し合い王都ないでも管轄をとりきめて互いの利益を考えてきた」
「でもあそこの店長…ギルドや王族、リーナ様とは友好関係を築いているとききますが?」
肥えた体に宝石につつまれた女性、腰のまがった老人、とくに特徴のない若い男、それに同意するようにうなづく者たち…彼らは王都に店を構える賃貸屋【ISEKAI CHINTAI】に対しての会議をしている。
「このままではいけない…賃貸屋に対してなにか手を打たなければならぬ」
「「「「異議なし」」」」
「それではなにか妙案のあるものはいるか?」
「まずはワシじゃが…我々も料金を下げるのはどうだろうか?」
「そんなの無理なのだわ! 今の価格よりさげるなんてできないのだわ!」
「マダムの言う通りだ老子!」
「たしかにこれ異常料金価格を下げるのは困難だ…わたしもマダムと貴公子に同意だ」
「しかしキング!!」
マダム、老子、貴公子、そしてキング、会議の中心とする4名、会議に出席者達からこの連合会のトップとして呼ばれるようになった愛称だ…会議を続ける中一人の一人の男が挙手する。
「皆様…ここは私に任せていただけませんか?」
「「「「なんと!」」」
「多少手を汚してでもやり遂げて見せましょう…」
そして男は会議室から出ていく…全員が期待を込めた眼差しで男の背中を見送り会議を継続した。
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ISEKAI CHINTAI店舗裏…にてフードのかぶった男が座り込んでいる。
「これで…この店も少なくとも営業停止…その間にこちらも打つ手を考えられるはず」
男は持ってきた油を集めた木材、草に振りまき燃え移りやすいよう壁にも振りまいていく…
「これで火をつければ忽ち燃え移るはずだ…店の物達はいまは対応で店の前にでている。ケガをすることはないだろう…」
火種につかう魔道具を取り出しいま火をつけようとして…男は頭部に衝撃を受け昏倒した…
金属製のバットを持った銀髪の獣人がそこにたっていた…
イズミが新入社員ヒスイ、フィンと打ち合わせをしているとヒナタが男を引きずりやってくる。
「てんちょ~~なんか外で店に火をつけようとしてた人がいたよ~~~」
「面倒事は捨ててきなさい! …ヒナタちょっと協会にいって今年の寄付金を私て来てくれない?」
「わかった~…これどこに捨ててこよう…」
「それは私が引き受けよう! ちょうど海の方に行こうとしていたからな」
ヒナタはヒスイに男を渡しイズミから小袋を受け取り腰のポーチにしまうと走り出す。ヒスイは男をつかみドラゴンの姿に戻ると空へと飛んで行った。
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王都のとある場所、地下室…暗闇の中の会議室…4人とその仲間たちは頭を抱えていた…
「未来ある若者を我々は失ってしまった…彼の事は未来永劫語り伝えよう」
「若くして頭角を見せだしたばかりなのに…残念なのだわ」
「身動きとれないぐらい痛めつけて海に捨てるなど…」
マダム、老子、キングが暗い顔をし会議室に集う物たちが悲しみの表情を浮かべ啜り泣く物もいる
「いや死んでませんからね? 普通にそこにいますよね? ボロボロだけど?」
「いや~失敗しました! 目が覚めたら大空で上空からみる王都は素晴らしかったですよ!」
「「「「冗談だよ!」」」」
そもそもこの世界ユクド・ヘイラでは殺しは重犯罪であるルールを犯した場合は死ぬよりも辛い地獄が待つという言い伝えがある。
経験した者は二度と日の元へ立っていないことから噂の範疇ではあるが…
「あいつらが利用している店…カエデという店に商品を卸すのを妨害してはどうでしょう、ちょうど親身にしている商店が食材を卸していまして…」
女性が挙手をして意見を述べるが
「いやいやいや、あそこの料理とお酒は美味い!」
「低価格で内の職員も利用しているのだぞ」
「あそこの店長さん美人だよな~」
すぐに反対意見がでる次にラーメン屋や商店の話が出たが全て却下がでた
「賃貸屋は随分と顔が広いようだな…」
「「「そのようで」」」
「次は私自らいくのだわ!!」
「「「マダム自らでるのか!!」」」
沈黙していた出席者もマダムが出ると聞き歓喜の声をあげる。
マダム…昔はとても綺麗で目元の泣き袋とそばかす、巷では結婚したい女性100人に入ると言われていた女性だったが今は肥えた体、昔の面影は一切ない。
「私の実力! みせてあげるのですわ!!」
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ISEKAI CHINTAI、今日もお店の前と中には客がおとずれ冒険者、旅行者、商人など長期滞在を目的に王都へ訪れた者たちが住居や店舗を契約するために訪れている。
店長イズミはその目を死んだ魚の魔物ような眼をしながらお客の対応をしていた。
「なんですのこのお店は!!」
目の前には舞踏会でつけるような豪華な仮面、仮面に収まっていない顔、どっかで見覚えがあるというかステータスを視ればすぐ解る、頻繁にちょっかいをだしてくる人たちの一人だ…いやたしかに賃貸屋で彼らの商売敵ではあるのだがそれはそれ…こちらにも生活というものがある。
「こんな小さな家にこのような設備でこの料金設定…もっと料金を高くするべきなのだわ」
荒い息と唾をとばしんがら私に行ってくる、ヒナタとクロ―ドが気の毒そうにこちらを見ている。
「最新式の魔道具…なんか裏があるはずなのだわ…私もほしいのだわ」
クレームなのか褒めているのかよく分からない…
「もしよろしければ紹介しますよ」
「あらあら…貴方話がわかるのだわ…べ、べつに魔道具ごときで釣られる私ではないのだわ!!」
こんなに可愛くともなんとも感じないツンデレ初めて見た…すごくメンドクサイ、私は助けを求めるためにフィンに目をやると「応接室の掃除をしなきゃ」と言い下がっていく…くっ…魔道具職人の紹介状を渡しうんざりするような対応を終えるとようやく帰るらしく
「ふふふ…賃貸屋さん? 私は所詮四天王で最弱!!」
「そんな情報はいりません!!」
女性をうんざりしながら見送り…あと3人も来るのか~と深いため息をつくと私は机につっぷして深いふか~~い溜息をつく、そんな私の方をたたくヒスイさん…こんどからヒスイさんに対応させようかな…
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