第17ワン 当選確実です
選挙日の夕方の風物詩、それは選挙特番である。いくつものテレビ局が看板キャスターを起用して面白おかしく選挙の結果を報道している。
「そういえば、ジョンのところには結局カナエさん以外取材に来なかったね」
「まあこの選挙区の本命は岡崎さんでしたからね。あのスキャンダルの時もちょうど与党内のきのこの山派とたけのこの里派の対立が激化していたのであまり注目されなかったのです」
岡崎候補の隠れ犬派スキャンダルはいくつかの週刊誌で取り上げられていて主に週刊誌に対する世間の白い目線を集めていたが、どうやらもっと大きなスキャンダル(きのこたけのこ戦争)に隠されていたらしい。
「それにしても、平和だね」
今回の選挙を振り返る話をしていると、テレビ画面に開票が始まったというテロップが流れた。
「ジョン、起きて。始まったよ」
「クーン(高級ドックフードがあるなら起きる)」
「しょうがないな」
マサルがペットフードを取ろうと立ち上がった時に、カナエさんが叫んだ。
「うぉおおおお」
あまりにも似つかわしくない声であったので、ジョンもペットフードを待たずに起き上がりカナエさんの顔を覗き込んだ。
「見てください!」
カナエさんがぴょんぴょん飛び跳ねながら指差す先には開票得票が映っていた。そこには「速報:当選確実」と書かれていた。そしてその名前の横にはジョンと書かれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます