第315話【6巻発売記念SS】【閑話7.5】旧友

報告が遅くなりましたが『極振り拒否して手探りスタート! 特化しないヒーラー、仲間と別れて旅に出る』通称『極スタ』2023/12/28に6巻が発売しております!

よろしくお願いいたします!


6巻発売のお知らせ

https://kakuyomu.jp/users/kokuiti/news/16817330669099658003

ドラゴンノベルス『極スタ』特設サイト

https://dragon-novels.jp/product/gokufuri/322307000451.html


コミカライズ版7巻も2024/4/8に発売となります。

こちらもよろしくお願いします!


あと、現在ドラゴンノベルスの創刊5周年記念イベントが開催されています。

このイベントで極スタの記念SSも公開されていますので、よかったら読んでくださいね。

特製記念しおりが封入された本が極スタでも売られているらしいので、よければチェックしてみてください。


5周年記念特設サイト

https://dragon-novels.jp/5th-anniversary/

【5周年記念SS】異世界正月

https://kakuyomu.jp/shared_drafts/HNtG210F8u4df34VaA53hwJ3VHMAjoB4


そして次の章に関しては引き続きザンツ王国を舞台にしたお話になると思います。

仮題『ザンツ王国編2』はそのうちに。


―――――――――――――――


「ブライドンさん、お客さんが来てますよ」

 宿の店番をしていた店員にそう呼ばれ、ブライドンは「あぁ、今行く」と応えながら表情を引き締めた。

 夜中にブライドンを訪ねてくる客はよくいる。しかしそういう客は酒場の中まで入ってきて直接ブライドンに話しかける。しかしその『お客』は入口の店番にブライドンを呼ぶように伝えた。つまり人の目が多い場所で話したくはないということになる。

 ブライドンは目立たないよう適度に気配を殺しつつ酒場の中の空気に紛れた。

 巨漢であり、この酒場の入っている宿の主であるブライドンは本来ならこの場では目立つ存在だ。しかし今、酒場中の人がブライドンのことを見えているのに気にしなくなった。先程まで話していたブライドンの娘や、その幼馴染の三人や、ブライドンを呼びに来た店番もである。

 気配を完全に消すと逆に違和感を生む。かといって気配を大きくすれば当然ながら目立つ。気配を消しすぎずその場より少し小さいぐらいの丁度良いところに抑えることで存在感を薄める。それが長年の冒険者生活の中で培ってきたブライドンの技の一つなのだった。

 そうして目立たぬよう酒場を抜けた先に待っていたのは白いローブを着てフードで顔を隠した一人の男。

 男はブライドンの顔を見ると「久しいな」と言った。

 そのフードから覗く顔と男の声でブライドンはハッと気付く。

「サディクか。誰かと思ったぞ」

 同じ町の中にいながら暫く会っていなかった旧友の顔を見てブライドンは緊張を緩めた。

 こんな形で呼び出してくる相手ということで厄介な要件だろうと考えていたのだ。

 しかしそのカンはあまり外れてはいなかった。

「ブライドン。少し手伝ってはもらえぬか」

 サディクの言葉でブライドンの目に鋭さが宿る。

 ステラ教会で司祭を務めているこのサディクの目が真剣だったからだ。

「……奥で話すぞ」

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