第162話 資料室へ
ついに、『特化しないヒーラー』2019年2月5日、明日発売です!
電子版はあと数時間、日付が変わると同時に公開されます。
書籍版ではWEB版では書ききれなかった部分や重要なシーンを追加。WEB版より面白い出来にはなっていると思います。
そして、買っていただけると作者が喜びます!
作者のモチベがグングンアップします!
どうぞよろしくお願いします。
店舗特典などについてまとめてみました。
https://kakuyomu.jp/users/kokuiti/news/1177354054888406834
そしてカクヨムのレーベルページ内に特化しないヒーラーの紹介ページが出来ました!
https://kakuyomu.jp/official/info/entry/2019/02/02/130000
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「ふぁ……」
翌朝、 起きてからいつものように全身とローブと鎧と、ついでにシオンにも浄化をかけていく。
今はローブの下に鎧を着ているし、温かい夏の陽気もあって少々寝苦しさを感じ、ローブや鎧を脱いだ楽な姿で寝るようになったのだ。
しかしこの地域は日本の夏みたいに蒸し暑くはならず、夏でもそこそこ過ごしやすくて、ローブを着ていてもそこまで問題にはならないっぽい。イギリスとかヨーロッパ的な気候の感じなのだろうか?
いやそもそも地球の四季の概念がそのままこの世界に通用するのかも怪しいのか。春夏秋冬なんて関係なく気温が上下する可能性もある。
確か四季は地軸の傾きどうこうが関係するみたいな話を聞いた気がするけど、まずこの世界が球体の星であるという確証がまだ得られていない。もしかするとこの世界は平面で、世界の果てには奈落の底にまで続く滝があって、そこから落ちると二度と帰ってこれない……というか死ぬんだろうけど。そういう可能性もまだ捨てきれない。
このファンタジー世界に実際に来てしまった以上、僕の『常識』ではありえないことでもあり得てしまうのだから。
まぁ、以前、山の上から見た景色の感じからして恐らく球体で間違いないと思うけど。
確か球体の上と平面の上では見え方が違ったはずだし。
などと考えながら部屋を出て一階の奥にある資料室へと向かう。
この資料室こそ、僕が黄金竜の爪に入った理由の約半分ぐらいが詰まっている場所だ。
ここでなら、この世界を紐解いていく鍵となるヒントがあるかもしれない。
そう考えると期待が高まり少し興奮してきた。
そういえば、今まで深く考えず毎日シオンに浄化をかけていたけど、犬や猫を毎日シャンプーするのは良くないという話を見たような記憶がある。それが正しいのなら、いつもシオンにも浄化をかけて綺麗にしているのはマズいのではないだろうか。
そもそも何故、犬や猫を毎日シャンプーしたらダメなんだろう? その理由次第かな? まぁキツすぎる石鹸使って肌がパリパリになって絶叫するようなお肌トラブルも起こらず、適度に潤いを残してツルツルモチモチ肌になる浄化さんの効果からいって変な問題は起こらないとは思うけどね。
クランハウスの廊下を進み、その突き当たりにある部屋の扉を開けた。
ギギギと音を立てる扉は重厚で、割り当てられた部屋の扉との差を感じた。
中は今まで冒険者ギルドにあった資料室の倍以上は広く、ガラス窓のおかげで陽の光が確保され、なんというか中学校とか高校にあった図書室のような雰囲気がある。
マギロケーションで周囲を軽く調べた感じでは部屋の中に一人先客がいるようで、その人の邪魔にはならないように、静かに近いところから資料を物色していく。
入口付近には主にアルノルン周辺に生息していると思われるモンスターに関する資料が木の板で残されていた。
これは冒険者ギルドの資料室と変わらない。
この町にはそこそこ長く滞在することになるのだろうし、周辺モンスターの資料も一通りは頭の中に入れておくべきなのだろうけど、今は他の本が気になるのでモンスター名だけサラリと確認して飛ばしていく。
「ん?」
と、そのモンスター名の中に最近知った名前を見付け、気になってその板を棚から抜き出してみた。
板には黒い墨のようなもので描かれた芋虫のような姿と説明書きが見える。
「エルキャタピラー……小型の昆虫型モンスターで、口から粘着性の糸を吐き出して攻撃してくるEランクモンスター。美味。濃厚なミルクのような味で一部地域で珍重されている……」
濃厚なミルクのような、味?
なにか思い出しそうな気がするが、なんだか思い出してはいけない気がして、板を棚へとそっと戻した。
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