第79話 ダンジョンにて、初めての罠体験

 ダンジョンに着き、銀貨一枚を払って中に入り転送碑から一六階へと飛んだ。


 一六階に来てみると、一五階までよりは人が少ないように感じた。でもまだオークが出てくるからだろうか、それなりに人の気配は感じる。

「さて、どうしようか」

 まだ人が多くても、この階でレベル上げを開始するか、それとも下の階を見てみるか……。

 一六階から一八階はオークとスケルトンだけど、一九階から二〇階はスケルトンとゴーストになる。一一階から一五階は金銭的な効率は良さそうだけど、人が多すぎて経験値効率は良くなさそうだからダメだ。一九階から二〇階はゴーストが不気味すぎて躊躇してる。ちなみに、二一階からはCランクのエリアになるので今はまだ行けない。

「うーん……まぁとりあえず、まずはスケルトンと戦ってみようかな」

 とりあえずはこの階を見てみないと判断出来ないよね。

 そう考えて歩き始めた。


 歩きながら地図を見ていると、地図の中、進行方向上に見慣れぬ×印を見付け、ハッと重要な事を思い出す。

「あっ! そう言えば、この階から罠が出るんだった!」

 危なっ! いや、この階には即死するほどの罠はないって資料には書いてるけどさ。こういうのを忘れるのは良くないなぁ……気を引き締めないと。

 そう思いながら、先にある×印を目指して歩き続ける。

 罠があるのは分かったけど、その罠とやらに興味が湧いた。即死級の凶悪な罠が出てくる前に、罠とはどんな物なのか、とりあえず見ておきたかったんだ。


 そのまま歩き続けていると十字路が見えてきた。

 地図を見てみると、丁度この十字路の手前に×印が書いてあった。でも、この地図は僕が定規も使わずフリーハンドで簡単に書き写した物であって、細かい位置関係だとか距離だとか、正確であるとは言えない。なので一応、安全のために、かなり手前から慎重に近づいていく。

 ある程度、近づいてから、よつん這いになって地面を隅から隅まで調べながら進む。

 資料によると、ここは毒針の罠があるとだけ書いてあった。毒針がどういう物なのかよく分からないけど、罠が発動するトリガーとなる何かは地面にあるだろうと考えたのだ。


 よつん這いで地面を調べ続け、十字路の手前まで来た時、やっと不自然な物を見付ける事が出来た。

 このダンジョンは、長い面が一メートル、短い面が五〇センチほどの大きさの石のブロックを組み合わせて作られているのだけど、その場所だけ、その一枚のブロックのところだけ、ブロックの一部が切り取られて別のブロックをはめ込んだかのように小さなブロックが存在していた。どう考えてもこれが怪しい。

「これ……だよね?」

 そうは思うけど、確証がない。確かめるには発動させてみるしかないけど……。

「即死するような罠じゃないし、わざと踏んでみる?」

 ……いや、それはない。それは嫌だ。しかしこれが罠だと確かめておきたい。罠がどんな物なのか、見ておきたい。

 うーん……どうしようか?


 色々と考えた結果、離れたところから罠を発動させてみる事にした。

 罠から出来るだけ離れ、適当な場所にうつ伏せで寝転んで槍の先っぽで罠を押してみる。が、うつ伏せの体勢が悪いのか、上手く押せない。

 暫く槍でグリグリとやってみるも、上手く発動せず。もしかして、これじゃなかった? と思い始めた瞬間、カコッという音と共にブロックが少し沈み込み、その次の瞬間、ヒュッという小さな風切り音と同時にカッという音がして、罠の近くの壁に何かが突き刺さった。


「えぇ……」

 突っ込みどころが多すぎる。

 毒針の罠? 即死しない罠? 長さ二〇センチ、太さ五ミリはあるアレは針と言うよりむしろ釘とか杭とかと言うべきじゃないの!? しかも壁にぶっ刺さってるよ! 殺傷力十分でしょこれ!

 即死しない? まぁ確かに即死はしないかもね! 即死はね!


「やっぱりダンジョン怖すぎ……」

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