第71話 魔法の適正とアンデッド

 冒険者ギルドに行き、魔石を売却し、資料室に入って一一階から二〇階までの地図を写す。

 今まで通ってきた一階から五階まではFランクモンスター。六階から一〇階まではEランクモンスターと来て、今度の一一階から二〇階まではDランクモンスターが出る。

 僕が今まで戦った事があるDランクモンスターはエルシープだけだけど、その感触から言って今の僕の適正ランクはこの辺りではないかと考えている。なので当面は一一階から二〇階の中からレベル上げに適した階を見付けて通い続けるつもりだ。

 しかし……。

「一一階から出てくるデザートカウと一二階から出てくるオークはいいとして。一六階から出てくるスケルトンと一九階から出てくるゴーストは……これはどうなんだろう?」

 アンデッド系……というやつなのだろうか?

 ゲームなんかではお馴染みのモンスターだけど、こうやって実際に出てきますよ! と言われると身構えてしまうと言うか……。

 何だか不安になってきたので、ここのモンスターについて調べていく。


「えぇっと……スケルトンは骸骨型のモンスターで、胸の魔石を砕くか抜き取ると倒せる。それ以外では、一定以上その体を破壊し続ける事でも倒せる……か」

 うぅむ、なるほど……。魔石を抜き取るって、戦闘中にスケルトンの胸に手を突っ込んで引き抜くって事だよね? それってちょっと難易度高いよね。なら槍で魔石を突き壊す事になるんだろうけど、それもピンポイントで魔石を狙うって難しそうだし、それをしてしまうと貴重な収入源である魔石が手に入らない気がする。

 鈍器か何かで頭から叩き潰すのが正解なのだろうか?

 うーん、これは現地で試行錯誤してみるしかないか。


「次はゴースト……。名前からしてあんまり戦いたくない感じなんだけどなぁ……。えぇっと、ゴーストは半透明の体で、浮遊している。物理攻撃無効。魔法か魔法効果のある武器でしか攻撃出来ない。光属性の魔法に弱い、か」

 これは戦いにくいモンスターな予感が凄くする。魔法しか効かないってのがヤバそうだ。


 この世界には属性ごとに魔法の適正というものがあるけど、魔法の適正がなくてもレベル――女神の祝福――を上げれば誰でも魔法が使えるようになる。そして適正がある人でも高ランクの魔法を覚えるにはレベルを上げる必要がある。

 あの白い場所で得た知識と合わせて考えてみると、魔法の適正は〇から五までの六段階で、適正が高いほど魔法を覚えられるようになるまでに必要なレベルが少ないのではないか、と思う。


 この世界でそれなりに余裕のある家では、子供がある程度大きくなって会話が成り立つようになると、一番覚えやすいと言われている生活魔法の魔法書を六種類全て揃え、それを子供に触らせる事で魔法の適正の有無を判別する。これを生活魔法適正判別法と呼ぶ。

 その時点で何かの生活魔法を覚えられたら、その属性の適正が凄く高いという事になるけど、子供の頃から適正を発現する事はかなり稀らしい。なので普通は適度に期間を置いて何度も確かめるのだとか。

 しかし、魔法の適正があったとしても、それで魔法使いとしての将来が約束されるわけではなかったりする。魔法の適正が高くても魔法の威力が出ない人や、魔法を使える回数が少ない人がいるからだ。

 この事も例の白い場所で得た知識を合わせて考えると、威力不足はINTが低い事が問題で、使える回数が少ないのは魔力量が少ない事が問題なのだと予想出来る。

 ダンから聞いた話によると、通常は小さな火の玉が出るはずの火種の生活魔法を、魔法の威力が出ない人が使った場合、火花が飛び散るだけになってしまうらしい。

 なので一番簡単な攻撃魔法と言われているボール系の魔法であっても、まともに使える人はかなり限られてしまう。


 さて、話を戻そう。

 魔法――特に攻撃魔法を実用レベルで使える人はそれだけ少ない。そして魔法効果のある武器に関しても、Dランク帯にいるような冒険者に揃えられるような物ではないはず。

 つまり、このゴーストと言うモンスターは普通の冒険者にはかなり面倒な相手になるはずなのだ。


「……そう言えば、酒場でもオークの次はアレだとか何とか言ってる人がいたような……。やっぱり冒険者の間でも敬遠されてるのだろうか?」

 うーん……冷静に考えたら……。いや、考えなくても避けられるなら避けたい相手だよね。

 僕は一応ライトボールの魔法が使えるけど、真っ暗で光源の範囲しか目視出来ないダンジョンで使うのは厳しい気がする。仲間がいればともかく、ソロだとちょっとね……。だからこそ、これまでも槍だけでモンスターを倒して来たんだし。

 まぁ、とりあえず行ってみて、実際に確認してみて、それからかな。


 一抹の不安を感じつつ、ギルドを出て、ダンジョンの近場の裏通りで宿を取り、この日はすぐに眠りに落ちた。

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