Ep29 英雄、目的達成

骸骨たちを倒し、先に進んだ俺たち一向は、以前のように最深部へと到着した。


「・・・また何かあるな」


以前のような宝箱ではないが、今回は少し大きめな木箱、といったところか。なにが入っているのか、あらかたの予想はついている。おそらく、あの骸骨たちを呼び出した原因になるものだろう。


「とりあえず開けてみたら?」

「そうだな・・・まて、なんで離れる」


まさか俺だけで開けろということではなかろうか?


「だってほら。あんた一応男の子だし」

「女の子を守るのは、零人の仕事」

「が、頑張ってください」


無責任になりおって・・・。いいぜ、やってやるよ。開ければいいんだろう?

俺は半分ヤケになって、木箱を開ける。


「・・・」

「な、なにが入ってたの?」


エマが不安そうに質問してくる。これ何かって言われたら・・・答えれんな。


(あ、手紙)


木箱の中、今入っているものの下に、手紙が入っていた。それは前回と同じような紙質をしている、折り曲げられた紙だ。


「今回はなにが書いてあるのか・・・」


俺は意を決して、紙に書かれている文章に目を通す。


『ごめん。いや本当ごめん』

「は?」


いきなりわけわからんことが書かれていたので、俺はつい声を漏らす。幸い、少し離れたところにいる少女たちには聞こえていないようだ。


『多分これ読んでるの、変身マントを手に入れた子だと思うんだけどね。多分、骸骨の群れにあったと思う』


な、なんでそれを・・・。いや、この木箱に入ってるアイテム作った張本人なんだから、わかるのか。


『それ、つい出来心でさ。調子に乗ってたら、気持ちが高ぶっちゃって・・・できちゃったんだよね』


なんで浮気の末に妊娠しちゃったみたいな感じで言うんだよ。こいつ前の文から思ってたけど、結構頭いかれてる野郎だな。


『この、アンデッドクリエイトって言うんだけど、昔こういうのに憧れた時期があってね。その時に作っちゃったんだよ』


クッソ!わからないでもない自分がいることがすっげぇ嫌だ!!


『んで、なんかこじらせた少年にさらに変な要素が追加されちゃって・・・』


変な要素?


『ま、身体に興味持ち始める年ですわ!』


それでこんな形か!!もっとマシな形に作れよ!いやこんなの作らんでもいいけど!


『とりあえず、ゴメンとだけ言わせて欲しかった。ゴメンナサイ』


なんだろ。この文面からは誠意もなにも感じないようだ。いっそ燃やすか?この木箱は確実に処分しよう。


「ねえ。さっきから黙り込んでどうしたの?」


ずっと黙っている俺を心配したのか、リアが話しかけてきた。結構手紙に集中していたようだ。


「なんでもない。とりあえず、この木箱の中身は箱ごと消滅させることにした。安心しろ」

「それはいいんだけどさ。なにが入ってたのよ」


エマさん。やめてください。俺そういうことバンバン言える性格じゃないからさ・・・。


「アンデッドを作り出す魔導具だ。こんなものはないほうがいいだろ?」

「ふーん。本当に?」

「ほ、本当だ・・・」


間違っていない。だけど、形は言わない。言いたくないから・・・。あの手紙の野郎・・・もう変態発明家でいいか。なに考えてんだよ・・・。


「・・・ん?手紙がもう一枚?」


手に持っていた手紙が、2枚あることに気がついた。なんで気づかなかったんだ?挟まっていたからか?


『さ、アンデッドクリエイトをどうするかは君に委ねるけど、1つだけいい情報を教えてあげよう』

「いい情報?」


なんだろ?どっちみちこれは壊すからあんまりいい情報とか想像できないんだけど・・・。俺は手紙の続きを読む。


『私の残した遺産がまだもう一つ、あの森の中に眠っている。変身マントを持っているものしか入れないから、誰かに盗られたりはしていないはずだよ。頑張って探してくれ』


ええ・・・。正直もう一杯一杯なんだけど・・・。でも、変身マントとか結構重宝してるし、それなりに使えるアイテムだったら惜しいなぁ。


「まあ、今すぐ必要になるものでもないだろうし、今度にしよう」


とにかく今は疲れた。まさかこんな舐めた手紙が入っているとは思ってなかったし。


「読み終わったの?」

「ああ。とりあえずこいつは壊したほうがいいようだ」


リアに尋ねられ、俺は問いかけに答える。アンデッドを生み出すとかどんなふざけた魔導具だって話だ。しかも昔の黒歴史の塊じゃねーか。よくこんなものを放置しておく・・・ん?


「なんですぐに自分で壊さなかったんだよ・・・」


黒歴史の塊なら、自分で消滅させとけよ。なんで残してあるんだ?あれか?自分で作ったものは壊せないとかいう感じか?


「で?目的はこれで終わり?」

「ああ。あとはこいつを・・・よっと」


俺は木箱を宙に放り投げ、そのまま【強化】した拳で殴りつけた。箱はあっさりと砕け散るが、肝心の中身が壊れなかった。


「あ」


その時俺は猛烈に焦った。見られたくない中身が見られてしまったのだ。あの不遜極まりない形のものが!


「なにこれ?」

「これが魔導具の本た・・・」

「う、うわぁ・・・」


みんな微妙な反応。やっぱり知ってますよね。ま、知らないとは思ってなかったけど・・・。


「こんな形のだったのね・・・」

「すまん。とりあえず見せたくなかったんだが・・・」

「そ、そういうことだったのね。まぁ、確かにこれは私たちが見るようなものじゃないし・・・」

「ちょ、ちょっと恥ずかしいですけど、大丈夫です!」


強がらんでいい。結構顔赤いから。ましてや完全に玩具・・の形だろ。前の世界でもあったけど、俺は実際に見たことなかったな。ネットで見たことあるくらいだ。


「・・・せいっ!!」


とりあえず、もう一度【強化】した拳で殴りつける。【強化】をかなり強くしたところ、あっさり砕け散った。


「これで終わりだな」

「最後にあんなのがあるなんて思わなかったけど」

「ちょっと恥ずかしかったわよね」

「わ、私も・・・」


みんな顔を微妙に赤らめている。仕方なし・・・。とりあえず、当初の目的は果たしたので帰ることにする。今夜はちょっと強めの酒を開けよ・・・。そんなにたくさんは飲めないけど。













え?どんな形だったかって?簡単に言うと・・・・・男のシンボルです。










「ウルは雄だっけ?」

「ウウウゥゥ(違う)」

「え」

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