Ep5 英雄、ケモミミ娘たちと遭遇

イノシシの肉をGETした後、俺たちは先を歩を進めていた。強化した足で、かなりのスピードを出している。足は疲れることはほぼない。なので思いっきり走ったりもできる。


「大丈夫かー?」

「大丈夫。かなり楽に進めてる」

「ならいいんだけど」


あれから何回か魔獣に遭遇したが、みんな仲良く俺たちの食料になってくれた。これは料理するのが楽しみだ。レパートリーも増える。


もうかれこれ1時間以上歩いたり走ったりを繰り返している。そろそろ目的の場所までついてもいい頃だと思うのだが・・・。


「ねえ、村って本当にあるの?」

「馬鹿言うなよ。ここまできたんだ。あると信じている」

「信じてるだけじゃ村は見つからないんじゃ?」


ごもっともなことをリアに言われる。だが、俺はそれでも信じている。理想の村があることを!


「俺ののんびりスローライフの拠点だ。絶対にあるはず・・・」


もはや気持ち悪いくらいになってきた。俺はそんなこと気にしないけど。


「・・・ん?」


と、俺は歩いていると何かを見つけた。あれは・・・人?


「って襲われてるのか!?」

「え!うそ!早く助けなきゃ!!」


俺たちはその人が襲われている現場に直行した。



「っく!!なんなのこいつら!!」

「お、お姉ちゃん!!後ろからも!」



その現場では2人の少女が、狼の魔獣に襲われていた。この2人の少女の頭部には少し大きめな耳が付いている。少女たちは獣人族なのだろう。狼たちの数は10頭。2人では到底勝てない戦力差である。


「このままじゃ・・・」

「た、食べられる・・・」


2人の体力はもはや限界。だが、狼たちはその隙を逃すまいと距離を詰めてくる。


「最初の3頭に力を使いすぎたわね」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ!!」


姉の方が自分の失態を分析しているところで、妹の方からツッコミが入る。食べられる寸前の状態で、そんなことを言っている場合ではないな。


”グオオオオオオ!!”


「「きゃあああああああ!!」」


1匹の狼が2人の少女に飛びかかった。2人は恐怖心を掻き立てられ、思わず目を瞑る。

すぐに襲いくるであろう痛みに耐えろうとするが、痛みはいつまでたっても来なかった。


「なんか、危なかったな」


目を開けると、1人の少年が立っていた。その周囲には意識を失った狼たちが寝転がっている。


「あ、あの・・・あなたは?」


妹の方の少女がおずおずと声をかける。


「俺?俺は如月零人。零人って呼んでくれ」

「「零人・・・」」


2人の少女と零人の出会いはこんな感じだった。





とりあえず、このケモミミ美少女たちを助けたけど・・・俺女の子に会いすぎじゃね?

6時間くらいで3人と会うってどんな確率だよ。ま、別にいいんだけどね。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」

「は、はい!」


なんか腰を抜かしているが、まあいいだろう。


「この辺りに村があるって聞いたんだけど、知らないかな?」


こんなところにいるケモミミっ娘だ。近くに村があり、そこに住んでいるとかだといいんだけど。


「は、はい。村なら私たちが住んでいるところがありますよ」

「はいキタ」


ビンゴだ。2人を助けて正解だった。まさかこんなに早く村が見つかるとは!!ありがとう女神様!!!


「俺、そこで暮らしたいんだけど、人間って受け入れてもらえる?」

「わかりませんが、私たちの村は色んな種族がいる村なので、多分大丈夫かと」


それは嬉しい情報だ。多種族がいるなら受け入れてもらえる可能性が高い。


「あ、あなた、零人って言ったわよね?」

「ん?ああそうだけど」


先程からずっと黙っていた姉の少女が話しかけてきた。


「どうした?」

「ここの狼たちをどうするの?」


あ、忘れていた。でもどうしようか。殺すのはなんだかもったいないし・・・そうだ。


「こいつらは俺のペットにする。今日から一緒に暮らすわ」

「む、村に狼たちを連れて行く気なの!?」


ああ、そうか。この娘達はいまさっきこの狼達に食べられそうになったんだったな。それはトラウマにもなるか。


「大丈夫だよ。ちゃんと躾するし、村に被害出したらすぐに叱るから」

「なにその自信・・・」

「不思議な人ですね」


ケモミミ少女達に呆れられていると、後ろから遅れて到着したリアが声をかけてきた。


「やっと追いついた・・・って零人。その娘達は?」


俺と一緒にいる少女達に気がつき質問してくる。


「いまさっき狼達に襲われれいたところを俺が助けた娘達です」

「狼って・・・この寝てる奴ら?また食材にでもするの?」

「いや、今回はペットにすることにした。狩とかで役立ちそうだし」

「なるほどね」


軽く話したところで、俺はリアに村があることを告げた。


「本当に?この娘達が住んでいる場所があるの?」

「ああ。これから案内してもらう」


村にこれだけ早くつけるとは思っていなかった。まだ昼過ぎくらい。これなら色々な準備をすることができる。


「じゃ、改めて自己紹介をしようか。俺は如月零人。人間族だ」

「私はリア。ちょっと前に零人に助けてもらった者よ。種族はエルフ」


俺たちの簡単な自己紹介を終えケモミミ娘達の自己紹介に入る。


「私はエマ、狐人族こじんぞくよ。こっちは妹のカナ」

「よろしくお願いします・・・」


姉の方は活発そうで、妹の方はおとなしそうな性格をしている。自己紹介はこれくらいでいいだろう。


「じゃ、早速村に案内してもらえるかな?」

「了解よ!」

「わかりました・・」


2人の少女達に案内され、俺たちは村に向かって歩き出した。





狼達を縄で引きずって・・・。

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