毎回ガバるわけではない。繰り返す毎回ガバるわけではない

 人外の領域を観察するRTAはーじまーるよー。今回はアジュのクエストに同行しましょう。初心者用の私設で、三人から五人でモンスターを討伐。残りは見学というのを何回か繰り返します。先にもうアジュチームが来ていますね。


「おっ、来たな。時間通りとは律儀なやつ」


 オッスオッス。RTAだからね。アジュチーム四人にこっち三人。さらにホノリとももっちで結構な大所帯です。まずはアジュ達がデュエル開始いいいいい!!


「サンダースマッシャー!」

「てえええりゃああ!!」


 ここはまだ見ているだけです。初心者用の敵なので、経験値もまず味ですし。今回の目的は稼ぎではない。マッサージチェアとかあるので、疲れを取りつつ見学じゃい。


「チームホルガンの力も見てみたいのう」

「そうだよ」(便乗)


 リクエストもらったので動きましょう。ここで大切なのは、アジュとホルガンくんが戦いを見ることで、魔法のアイデアを閃くことです。新テクを開発しましょう。ほらいくどー。


「援護いたします」

「よっしゃ暴れるぜ相棒!!」


 今回は二人にアシストしてもらいつつ、なるべく多くの魔法や必殺技を見せましょう。原作のチート勢が揃っているので、アドバイスもらうには最適です。


「お兄様はあらゆる魔法を使い続けて魔力が枯渇しても勝てますわね?」


 ウッス!  ガタイをパンパンにパンプさせて耐えきります。


「必殺技が思いつくまで水没ブリッジしてから敵に押し潰されても死にませんのね?」


 ウッス、手足を縛って戦車に轢かれても平気でっす。


「また強くなりましたわね、お兄様!」

「いやだから死ぬだろそれ。相棒の故郷じゃメジャーなやりとりだったりすんのか?」

「マグナムは語録使いじゃないんだな」

「……何使いだって?」

「気にしては負けじゃぞ」


 さて無事に敵を倒しましたね。けっ、甘ちゃんが。楽勝なんだよ。


「さっきの凍結魔法面白いな。それ結晶にできるか?」


 おっ、アジュがなんか思いついたみたいです。やっぱり原作キャラとの交流は……最高やな!


「空中に予めばら撒くんだよ。結晶じゃなくてもいい。魔力を込めた冷気として分散させて、固めたい場所だけ即座に凍結させるんだ」


 魔法の細分化ですね。いいゾーこれ。サンダースプラッシュの応用ですねえ。そういうのもっとちょうだい。オナシャス!


「全体を大雑把に凍らせたり、接近戦の最中に関節だけいきなり凍結させてラグを作るんだよ。一瞬でも速ければそれで有利になる」


 先制凍結が魔法として登録されました。やったぜ。これは任意のタイミング、もしくはばら撒いておけば、敵がランダムで凍ってくれるという便利な技です。

 ただし敵が強すぎたり、フィジカルでゴリ押しされたら無意味です。炎を身に纏っているタイプにも無駄。距離が遠すぎても凍る空間にいないからダメ。つまりマグナムみたいなタイプは天敵です。ザコ狩り専用だと思っておきましょうね。


「アジュを参考にすると、小細工ばかり覚えるのじゃ」

「そうだな。俺だけじゃなく、ちゃんとした人にも習っとけ」


 ウッス。けど魔法、お好きなんでしょう? また相談したい……したくない?


「したくないと言えば嘘になる」

「アジュの教育にもいいようだし、たまには遊びにいってらっしゃい」

「いいのか?」

「いいけど、ちゃんとわたしたちにも構うんだよ。アジュはすぐどっか行くから」

「わかったよ。気をつける」


 アジュのギルメンから、ホルガンと遊びに行くことが許可されましたね。これでまあ突然遊ぼうぜー! とか言っても不審者扱いはされないはず。


「相棒の成長速度やべえな。こりゃうかうかしてらんねえぞ」

「ええ、お兄様を最後までサポートしたいですね」


 こっちのメンバーが焦ってますね。気持ちは嬉しいですけど、よっぽどの天才じゃないと神の血が入った連中には勝てません。サーニャちゃんもマグナムも神の血筋じゃないでしょうし、途中で戦力外になりそうですが、みんなと仲良くなって欲しいですね。愛だよ愛。ラブアンドピース。


「よし、次は俺か。なんとかクリアできそうでよかったぜ」


 アジュとリリアが出てきましたね。はい黒狐イベントです。全員待機場所まで戻りましょう。中にいると死ぬぞ。


「んん? なんじゃこれ?」

「どうした?」

「いやなんというか……壁が開かんのじゃ」


 透明な魔法障壁に阻まれて、アジュとリリアが取り残されています。これでよし、あとは一応警戒だけしておけば、勝手にイベントが進むはずです。


「はあぁ? 通れなくなってるな……なんだこれ?」

「お三方、どうぞこちらへ。講習を始めます」


 部屋の中央に立つ黒髪色黒の女が敵です。ちなみにメンバーに入ってリリアの被害を止めようとするのはNGです。リリア覚醒が遅れますし、黒狐自体が光速突破勢なので、育っていないキャラで立ち向かうと死にます。


「それではまず、援護担当はこちらの装置の前へ。この水晶に手を」

「こうかの?」


 台座にはでかい水晶が一つ。リリアが手を触れたら九尾の力が吸引されていきます。黙って見ていましょう。うわーどうすることもできないなー。


「うああああぁぁ!?」


 リリアがピンチっぽいですね。すぐさまアジュが鎧のパワーで助けます。


「邪魔なんだよクソが!!」


 ガラスが割れるような音がして、壁と魔法陣が砕け散ったら、あとはぼーっとしていましょう。やることねえなー、暇だなー。ステータスでも確認すっか。


「しっかりしろリリア!!」

「わしは無事……でもないかの。これは……封印が開きかけておる? やつの力が吸われた!?」

「ふふふふ……遅かったようね。ようやく……ようやく我らが手に……お久しゅうございます、九尾様」

「てめえは生きて返さねえ。ここで……徹底的に、生まれてきたことを後悔させてから、地獄の底まで叩きこむ」


 原作のやり取りが続いていますが、見たい人はゲーム買うか小説読んでください。さてホルガンくんもサーニャちゃんもマグナムもステータス高いですね。これは嬉しい誤算ですよ。神の血覚醒イベント一回挟んだホルガンくんと、どうして同じくらいステ高いんでしかね? ステロイドでもやってんのか。


「おい、ありゃなんだ?」


 前後左右の区別がない、真っ白なマネキンが空から降りてきます。

 指や爪先、かかとすらない。真っ白で起伏がないため腹と背中も区別できない真っ白なやつ。あれが下級天使です。ここではあれを使ってレベル上げと魔法の確認を済ませましょう。


「なんだこの気味が悪いのは。知ってるかサカガミ?」

「いんや、初めて見る。リリア、ありゃなんだ?」

「天使じゃ」

「天使ぃ? うちらが本とかで見た天使ってのは羽の生えた人間だったぞ」


 天使には下級・中級・上級といますが、人間と同じ形になるのは中級からです。上級は逆に化け物になったりもしますけど。


「天使は主の命令で動く低級兵じゃ。ただ任務を遂行するだけなら、全方位見えるようにすれば表裏の必要な顔などいらぬ。飛ぶ機能をつければ、かさばる羽も不要。左右の区別も不要じゃ。徹底して効率を重視した、使い捨ての天よりの使い。というわけじゃな」

「なんとも夢のない存在ね」


 リリアはほんま解説役として……最高やな! けど私が右枠で解説することなくなっちゃーう。右枠ガバガバどころかスカスカ。投稿者の末路。哀れ。


「どうすんだホルガン」


 ボスはアジュくんに任せて、なるべく連携して天使を倒しましょう。アジュくんのガチバトルに巻き込まれると死ぬぞ。


「では離れて戦いましょう」

「悪いなお前ら。責任持ってあいつは潰す」


 あいいっすよ。あのプリケツをラケットで叩いてあげてください。それじゃあ戦闘開始です。いざ鎌倉!


「いくぜ相棒!」

「よくわかんないけど、ほーくんと一緒にいる方が生き残れる気がするぜい」


 ももっちにあだ名つけられましたね。これはある程度好感度が上がった印です。気分良く戦闘開始じゃい。まずはマグナムに飛び回る下級天使を撃ち落としてもらいます。


「ウオオオォォォォ!!」


 男臭い雄叫びだあ……このゲーム女キャラ多いので、貴重な瞬間です。

 さて落ちてくる天使を片っ端から強化魔法かけて切り刻みます。ホラホラホラホラホラホラ。ちょっと刃ぁあたんよー。


「お兄様と並んで天使と戯れる。これも貴重な青春ですわ」


 ウッス、家族の絆の見せ所さんですねえ!


「なかなかに特殊な兄弟だねあんたら」

「楽しそうな家庭だねん」


 ここで先程手に入れた自動氷結をフルに使っていきましょう。天使は一定時間まで無限湧きなので、技と魔法の熟練度をガン上げするのに便利です。経験値はしょっぺえので、魔法のためと割り切りましょう。


「あっちのギルドも強いみたいだよ」

「私達が守る必要はなさそうね」


 シルフィとイロハからの評価も上がっているようです。いずれ仲良くなって試合をしてもらわないといけないので、ポイント稼いでおこうね。


「さあ二回戦といこうか! 葛ノ葉の下僕よ!!」


 黒狐が第二形態になりましたね。もうすぐバトルが終わる合図です。同時に天使が九尾の力でドス黒くなってパワーアップします。こいつらは経験値はそこそこ。無駄に強いという人間の屑です。帰って、どうぞ。


「これは……少々厳しいものがありますね」

「勝てねえわけじゃねえが、こうひっきりなしに来るのはきついぜ」


 一定時間で終わるはずなので、敵の攻撃を弾く練習もしておきましょう。弾いてカウンター決められるようになれば、ここから先もまあまあやっていけます。味方がピンチなら助けて好感度を稼ぐことも忘れずに。


「援護します。冷風で気温を下げますので」


 サーニャちゃんの援護により、冷気の飛ばせる範囲と密度が上がりました。ほんまええ子やな……これからもH(ホルガン)な介護してください!

 

『合体魔法・氷結怒涛を習得しました』


 やったぜ。これはサーニャちゃんがいる時に発動できるみたいです。広範囲に氷をばらまき、敵を凍らせたり、氷の槍が飛んだり氷塊がぶつかったりと怒涛のアイス・ラッシュが続くらしいです。広域継続ダメージと状態異常のばらまきなので、こういう大人数を相手するなら最高です。


『シャイニングブラスター!』


 鎧の必殺技音声が出ました。アジュが勝ったみたいです。おっせえんだよ。これRTAだからぱぱっとやって、おわり! ってかんじで頼むよー。


「アジュ様、ご無事ですか!!」


 ヒメノとやた子が来たので、あとはなんとなく仲間ですよーみたいな距離感で立っていましょう。


「ヒメノか。一応全員生きてるぜ」

「よかった……わたくしのアジュ様になにかあったらと思うと、もう心臓が張り裂けそうでしたわ。ちょっと触っていただけませんこと?」

「お前は相変わらずアホだな」

「事情の説明を致します。皆様お時間ありまして?」


 今回はここまでです。次回はアジュの家からお届けします。

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