あんなにガバらなかったのに

 原作キャラとの絡みが増えていくRTAはーじまーるよー。

 前回は見事Eランク試験に合格しました。今回はまたクエを受けてランク上げの準備です。そればっかじゃねえかお前の動画ぁ!


「お兄様、簡単そうなクエストを見繕っておきました」


 アリシャス! 試験突破してからクエの難易度も上がりましたが、まだ骸骨のレベリングとマッハ1000を突破した貯金で楽勝です。三人でクエストを見ていきましょう。


「なるほど、ちと遠出の依頼も混ざるんだな」

「お兄様は学園でやりたいことがあるみたいですね」


 そろそろ魔王科で試験があるはずなので、うまいこと潜り込めればいいのですが……あと魔王マコのクエストは原作でアジュが受けるため却下です。原作イベントをなるべく潰さないように、それでいて参加するイベントはきっちり選びましょう。


「もうすぐお兄様は勇者科の試験ですね。対策はできていますか?」


 問題ないです。最初の試験なので、かなり簡単に設定されています。多くのキャラに会って好感度上げるチャートがあるので、状況で選択していきましょう。ここは走者の経験と知識が試される場所です。


「勇者科の試験ってわけわかんねえらしいからな。気を抜くなよ相棒」


 ウッス。きっちりクリアしまっす。決意を新たに地味なクエストを五倍速で消化していきます。敵もザコばっかりなので、技と魔法を多めに使っていきますよーイクイク、ヌッ!! なんも技覚えねえなこいつ。閃きと技能が足りないなこれ。


「では今日もセーレさんのお店でおやつにしましょうか」

「あの移動屋台か? そう都合よく見つかるもんかね?」


 とりあえず外出しましょう。お店の場所はある程度予測して動けますがどうなるか…………はい見つかりませんでしたね。しょうがないね。毎回運良くいたりはしません。そんなことでリセってたら終わんねえぞ。


「では訓練をして終わりにしましょう。メニューを選んでくださいね」


 練習メニューの選択肢が出ましたね。これは一定確率で仲間の誰かが提案してくれたりするのですが、一緒に訓練すると得意分野のステが上がりやすくなります。今回は魔力量を増やす訓練を三人でやりましょう。


「ではお兄様、魔力を放出しながら私を乗せて腕立てできますわね」


 ウッス。腕立て100回できまっす。基礎は大事。はっきりわかんだね。


「次は私を乗せて水中ブリッジ5分間、できますわね?」


 ウッス。未完成のギリシャ彫刻みたいなガタイをパンパンにパンプさせながら、水中訓練を行いましょう。加減を失敗するとホルガンくん壊れちゃーうので、ギリギリを見極める目も必要です。


「次は水没訓練10分間ですわね」

「いや水没訓練てなんだよ。10分できるもんなのか?」


 ウッス。サーニャちゃんによる苛烈な攻めは、的確にホルガンくんのガタイを痛めつけていく。チクショー、ハメられたぜ。妹ちゃんはホルガンくんを成長させるプロ級トレーナーだ。生かさず殺さずの訓練をどんどん追加してくる妹ちゃんは、チョーSだよな。


「これで試験対策もバッチリですね。マグナムさんもしますか?」

「やめとく。まだ死にたくねえ」


 そして勇者科の定期試験の日がやってきました。会場は今度学園内にオープンするプール施設です。流れるプールからウォータースライダーまで完備しているレジャースポットで、耐久テストも兼ねて試験があります。


「監督官のドーガだ。早速説明を始める」


 試験会場は水着着用です。お気に入りキャラが勇者科にいる場合自動的に水着が見られるイベントです。おおー、ええやん。見たい人はゲーム買って、どうぞ。


「全員に腕輪を配る。これに各地に散らばっている魔力のこもった石をくっつけろ。腕輪に吸収される。腕輪が虹色になれば合格だ。昼食は売店エリアで好きに取れ。赤い星マークの場所は危険だが石も多い。黄色は普通。青は簡単だが石も少ない」


 説明はドゥンドゥン飛ばそうじゃねえか。さてここでの行動ですが、誰がどこにいるかは決まっています。好感度を上げたいメンバーが居る場所を調べたら、全速前進だ。ほらいくどー。まずは波の出るプールから。


「おっ、ホルガンもここか」

「確か四人目の男子の、モザイクローム殿だったな」


 ヴァンとマオリ・ファーレンスがいましたね。マオリは槍と腕につけた小型クロスボウを使う、ピンクに近い髪色の女の子です。実家が武術道場なので、一緒に行動すると技を見られる機会が増えます。


「君も槍使いか」


 ウッス。同じ槍使いとして勉強させてもらいまっす。


「それはこちらも同じだ。お互い未熟な身、よろしく頼む」


 ここは波の出るプール。そして赤い星。つまり結構危険です。ですがホルガンくんは水属性。しかも水没プレイで鍛えています。余裕なんだよ!


「来るぜ!」


 波が大きく強くなります。下手すると足元ががっさー持っていかれるのですが、そこは水属性と体幹で耐えましょう。水の深さが膝下くらいまでの位置で待機していると、大きなヒトデモンスターが出ます。これは教師が作ったロボとゴーレムの中間みたいな敵です。耐久力の高い敵なので気をつけよう。


「なるほど、少しは楽しめそうだな」


 簡単にホルガンくんの技を見せながら戦います。連続攻撃と貫通性能の高い突きですね。ガン堀りして敵モンスターをマジ狂いさせてやるのさ。


「速攻型か。正確で淀みない突きだからこそ完成する型だな。ならば私も参ろう」


 こうして槍で戦っていると、マオリも技を見せてくれます。炎のついた槍を体全体を使って振り回すスタイルですね。広域殲滅技はザコ散らしに最適なので、ここで見ておきましょう。自主練で試す事ができます。


「なんだありゃ。でっけえカニか?」


 ボスが出……出ますよ。青くて水に紛れて襲ってくるタイプですが、このメンバーの敵ではありません。


「この敵は硬い甲羅をどう突破するかが鍵だ」

「んなもんぶった切ればいいんだよ!」


 ヴァンが甲羅とか関係なく切ってくれるので、露出した部分を重点的に攻めましょう。マオリが乗ってくれたら内部に炎を打ち込んでくれるぜえ!! はい工事完了です。石が出てくるので山分けして終わり、閉廷! みんな帰っていいよ! これRTAだからね。


「うっし、じゃあ次はどこに……もう行っちまうのか。忙しいやつだな」


 今回は忙しく動き回っていきます。好感度は試練ごとに遭遇すれば上がるので、別行動しても問題なし。最速で次へ。次は滝のある場所です。


「あれホルガンじゃん」


 ルーミィオッスオッス。プールで体温が冷えてるか~。こっちはバッチェ冷えてますよー。


「冷えたらまずいでしょ」


 一緒にランがいますね。ランはオレンジのサイドテールで、赤く長いリボンと金属的なブーツが特徴です。ふっとい刃が出たりする仕込みブーツだゾ。

 ホルガン・モザイクロームです。オッスお願いしまーす!


「よろしく。ファンランよ。ランでいいわ」


 オナシャス。ここは滝を登ろうとすることを諦めたでかい鯉が敵ですね。全部作中で実在する敵キャラの模型みたいなやつだったはず。なぜか海産物の敵が多いんですよね。作者の趣味かな。


「二人ともこれ飲んで。ボクの新作だよ」

「ありがと。使うわね」


 アリシャス! センセンシャル! ルーミィのポーションは火力アップが多めなので、RTAではたいへんうま味です。


「ドリルスピンキーック!!」


 ランが戦ってくれるので、ここは援護に回ります。すると役に立つやつと認識されます。好感度が上がるので主役を務めてもらいましょう。ルーミィも多少は戦えるようになってますねえ。けどまだまだ危なっかしいので守ってあげます。


「よっしクリア! まあ楽勝よね!」

「ありがとう、ボク一人じゃクリアできなかったよ」


 気にすんなって、クラスメイトだから協力するのは当たり前だよなあ。

 こんなかんじでルナとホノリとミリーのいる場所にも行き、もう少しで試験クリアーという状態にしておきます。次は昼飯を探してカレー屋に行きましょう。少し遅れて行くと、アジュメンバーの会話が終わった頃に乱入できてお得です。


「おっ、ホルガンか。最近よく会うな」


 こいつらほぼプールデート気分ですね。まあ強いから余裕ぶっこきまくりなわけですよ。これからヴァルキリー出るとも知らずに。適当に雑談飛ばしながらカレー食っとけばええねん。


「魔王科に知り合いできたから、そっち経由で誰か紹介できるかもしれん」


 アリシャス! アジュくんはええ子やなほんま。恩を売っておくと、最低でもここで多少魔王に縁ができます。保険はかけておくことが大切じゃぞ。


「俺達は水の迷宮ってアトラクションに行く予定だ。被ったらよろしくな」


 ウッス。そっちのお邪魔はしないから安心してくれよなー。


「配慮が行き届いておる」

「そこまで気を遣わなくてもいいぞ」


 ここまで都合よく進みすぎじゃね? と思う視聴者兄貴もいると思いますが、そうなるように先駆者様が研究され、攻略サイトができ、n敗し続けるくらいの試走があっての今でございます。っていうか失敗してリカバリーできなかったらリセだから動画化できてないんだよなあ。


「じゃあまたな。連絡は後でする」


 あ、ゆっくりでいいっすよ。あせんなってへーきへーき。へーきだから。

 では飯食い終わったらラスト、海を模したビーチっぽい場所へ行きましょう。

 ここにはクレア・エスティードとメルフィア・ファイランドがいるので、適当に知り合いになっておこう。


「男? そういえば何人かいたわね」


 クレアは薄紫色の髪と目の、お嬢様です。チョーSなので、ケツ受けできるM奴隷じゃなければ仲良くなるのは難しいぜ。


「あたし知ってるぜ。ホルガンだ。なあお前ホルガンだよな」


 そうだよ(肯定)二人のことはクラスメイトなんで覚えてるゾ。名簿チラチラ見てたからな。

 メルフィアは淡いオレンジの髪と赤い目で、活発な子です。特殊グローブでの格闘戦と剣術の純粋な前衛タイプですね。この二人は前衛後衛がはっきりしているので、なかなかに強いです。


「見つけたぞ勇者科」


 誰だよ。知らん女が来たけど勇者科じゃないな。ここで出る敵じゃないのに。まあ味方じゃなくても、よっぽど強いやつじゃなきゃタイム伸びません。こっちゃマッハ1000だぞ。ヴァンはこの時点で14万と3000くらいありそうだけど。


「水の迷宮には行ったか? スケグルという女には会ったか?」

「どちら様か知らないけれど、どっちもノーよ」

「水の迷宮ってなんかトラブって休止したらしいぜ。あたし聞いた」

「そうか。やはりスケグルは失敗したか。使えんやつだ。ならば我が槍にて裁きを下さねば」


 スケグルって確かアジュに負けるヴァルキリーですねえ。どうして槍をこっちに向けてるんですか?


「ヴァルキリー、ゲイレルル。お前達を試す者の名だ」


 アリェ? こんなん試験にないぞ。


「強さを示せぬならば、もはや救い難し。我が槍にて召されよ」


 次回に続きます。

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