初クエストと1人目のギルメン加入まで

 ようやく自由に動けるRTAはーじまーるよー。

 前回はホルガンくんが自宅に入ったところさんまでです。夜ふかしはお肌の大敵なので、お風呂に入って寝ます。徹夜とかさせるとデバフかかるからね。

 そして朝。起床、起きろ朝だぞー。


「ぬわああああぁぁぁんまだ眠いもおおぉぉぉん!!」


 うっせえ。気にせず今日の行動をぱぱぱっと決めます。

 勇者科の授業には絶対に出ることになりますので、それ以外の時間を行動範囲の拡張に使います。これが序盤の基本ムーブです。

 最初は特定の行動を取ると必ず新規キャラが出ます。これを利用して、強いキャラを引ければうん、おいしい! フリーのキャラ来てくれよなー頼むよー。


「授業に出、出ますよ……」


 午前中は勇者科で座学。ついでに今後の予定は仲間集めです。強いやついいよ、来いよ! なるべく早く知り合いを三人ほど作りましょう。

 近々アジュとヴァンが揃うイベントが発生するため、ホルガンくんもイベント参加条件を満たす必要があるからです。


「はいじゃあ今日はここまで。お昼からは自由行動よ。各自長所を伸ばすも短所を補うも自由。がんばって」


 チャイムが鳴り、先生が終了を告げたので、お昼からはクエストを探しにクエストカウンターへほらいくどー。ここで簡単にランクの説明をします。

 学園にはギルドランクと個人ランクというものがあり、一番下がFで、頂点がAです。新入生のホルガンくんはギルドも個人もFランク。受けられる依頼も少なめです。お金もないです。だから、地味な依頼でランクを上げる必要があったんですね。

 説明終わり。クエストボードの依頼を見てみましょう。


「依頼は1か……2くらいですかね」


 Fの依頼は『森林の魔物討伐』『川の魔物討伐』『魔石回収と魔力補給』『ライブ会場予定地の整備』最初にしては多めに選択肢がありますね。討伐依頼は戦闘経験が積めるのでうまあじです。


「森にいきますよーイクイク……」


 森の依頼は定員二十人で、ぼっちは依頼者側で二人一組に割り当ててくれるそうです。親切だなあ。じゃけん、受けましょうね。

 初めての依頼を受ける場合、それがどんな依頼でもゲーム側で仲間キャラが一名必ず登場します。戦闘系の依頼なら戦闘系の人物が来ると思うので、強そうなら自分のギルドにスカウトしましょう。


「ここにパートナーがいるのか……探すぞー……」


 はいクエ受けて森まで来ました。出口付近で待機です。さて相棒は誰になるかな。


「ヘイ、オレのパートナーは君かい? オレの名はマグナム・マキシマム。高等部一年だ。よろしく頼むぜ」


 二十歳ジャストくらいの若さで、赤髪モヒカングラサンのマッチョ……こんなやついたっけ? 少なくとも勇者科じゃないですねこれは。これは目立ちますよ……目立つ目立つ。


「ホルガン・モザイクロームです。おっすお願いしまーす!」

「歪みねえ目だ! 元気があっていいじゃないか!」


 身長180後半で、でかすぎず、それでいて自己主張の激しい、戦闘用のがっしりしたガタイです。多分Fランクじゃないと思うんですけど(名推理)


「さあ行こうぜ。せっかくのチャンスが消えちまう。すべてはチャンス! イクぞおらぁ!」

「ハイ、ヨロシクゥ!」


 キラリと歯を光らせ、親指を立てているマグナムは、もうベテランの雰囲気です。だからFランクに見えねえっつってんじゃねえか。

 まったく覚えがないキャラ来ましたね。ファンタジー世界なのに重火器っぽいの背負ってるんですがそれは……。


「ホルガンは近距離タイプか。オレは見ての通り遠距離射撃タイプさ」


 うそだよ(疑心暗鬼)多分近距離タイプだと思うんですけど。筋肉がお太い!

 この世界は銃があまり発達しておらず、マシンガンとか存在しません。単発式のもの以外は、魔力を射出する魔道具がメインです。ホルガンくんの苦手分野を補ってくれるので、これはありがたいですね。


「こいつはオレのでかすぎる魔力を撃ち出す相棒だ。ザコなんざズドン! ってな」

「じゃあ、さっそくその凄い威力を見せてお」

「すぐ見せてやるぜ。おっと、開始の合図だ。カモン! カオスボーイ!」


 信号弾が上がりました。今回のクエストは先輩方が討ち漏らしたザコが逃げてくるので、森の外に出さないように倒すことです。


「お出ましだぜ。盛大に出迎えてやろうじゃねえか」


 ものっすごい渋いおっさんボイスなんですが、今何か……大御所声優とか使ってるの? 間違いなく洋画の強い主人公ボイスですね。脇役にいていい声じゃないです。


「ちょっと刃あたんよー」


 敵は角の生えた狼みたいなやつです。それほどのサイズでもなく、先輩方に追い込まれたため、気力が萎えています。ダッシュで近づいて槍を突うずるっ込んでやりましょう。はい楽勝。黒い霧になって消えました。今回の敵は瘴気が形になったタイプみたいです。


「フン、ザコカ!」

「歪みねえな!」


 一匹やられたのを見て、今度は複数で出てきましたね。まあ低ランククエなんで武器振り回しているだけで勝てますけど。


「あぁん!? 数に頼るたあ、だらしねぇな! くらいやがれ!!」


 マグナムの背負っていたライフルがどんどん太くなっていき、バズーカサイズになっています。卑猥だあ。動画が消される! 消される!


「マッスルランチャー!!」


 まっすぐ火球が飛んでいき、着弾して爆発しました。火力高いなあ、結構当たりキャラなのかこいつ。


「Foo気持ちぃ~」


 爆発音を聞きつけて、さらに敵が来ます。しっかり経験値を稼ぎましょう。


「野郎ぶっ殺してやらああああぁぁ! ウオオオオオォォォ!!」

「オォン! アオン! フウン! ホオン!!」


 こいつらうるせえ。気にせずせっせと槍を前後にしごきながら、マグナムの戦闘スタイルを見てみましょう。どうやら魔道具の銃を形状変化させて戦うタイプみたいですね。


「あ待ってくださいよー、遠くのやつが逃げようとしてるゾ」

「植え付けを行う!」


 魔力を高威力の弾丸にする、長距離射撃のスナイパースタイル。


「散らばるな……散らばるなよ、対処できないダルルオ!!」

「へい、構わん、殺すぞ」


 中・近距離に拡散させるショットガンスタイル。


「やりますねえ!」

「キャノン砲~!」


 巨大な魔力の塊を打ち出して爆発させるバズーカスタイルとかなり多彩ですね。通常状態は連射の効くライフルになっているみたいです。

 ここまでマグナムの活躍を見てきたので、ホルガンくんも見せ場を作ってアピールしましょう。


「こっちの事情も考えてよ」


 ここで必殺技を使いましょう。

 水魔法を敵にドバーっとかけて、一気に凍結させたら、槍と剣でTの字に切り裂きます。あとは斬撃とその衝撃波が、冷えた敵をバラ撒くぞこの野郎。


「必殺剣アイスT。冷えてるかー?」

「ナイスでーす!!」


 これでクエストクリアです。監督官が来て終了を告げてくるので、リザルト画面を見てみましょう。序盤のくせになかなか……稼げるじゃねえか。そういえばなんか敵多かった気がしますね。珍しいけどままええやろ。

 最後にマグナムを勧誘してみましょう。


「あっ、お前さマグナムさ、さっきなかなかいいフォローしてたよな。気配りできてるって、はっきりわかんだね」

「よせやい照れるじゃねえか」


 ここから交渉フェイズです。フォローのお礼と、戦闘スタイルも褒める選択肢を選んでいきましょう。ここで勧誘できるとかなり楽になります。畳み掛けましょう。


『やっぱり戦場を客観的に見られる男は違うなー憧れちゃうなー』と『マグナムくんもうまそうやなほんま。いやもうマグナムくんはファミリーみたいなもんやし』を選択します。


「いやいや、お前さんだって大したもんさ」


 上機嫌ですね。やっぱり一緒に戦ったという結束が雰囲気を良くしているのでしょう。H(ホルガン)の看護してください!


「ギルドとか……入ってらっしゃらないんですか?」

「オレはこのナリだからな。怖がられるか、Fランクで実力と見た目のバランスがおかしいってんで敬遠されがちなんだよ。だからフリーさ」


 やったぜ。ここで『勧誘する』を選択します。気持ちよく、inして下さい。


「この辺にい、俺の作った新設ギルドあるんだけど……入ってかない?」

「……いいのか?」

「当たり前だよなあ? こっちが誘ってるんだぜ。まあ貧乏Fランクだけどさ、一年最強目指してるから。損はさせないぜ。来年にはBランクくらいいってるかもよ」


 結構好感触だと思うんですが、なんかためらっていますね。特殊な事情があるタイプなのかも。まあ多かれ少なかれ個人のイベントというものは存在します。それ経由で絆が深まったりするので、個別イベントゼロなんてありえないしへーきへーき。


「オレは体温が高い方でな。意識してバカでかい魔力と火属性を制御している」


 なんか握手求められてる? ギルド加入の握手じゃなさそうですけど、まあ握っちゃいましょう。


「熱いだろ? 熱を放出・制御する技術はある。だが不意にこうなっちまうかもしれんぜ」


 どうやら人より熱を溜め込んだりしやすいっぽいですね。まあホルガンくん水属性なんで、手の内側に薄く氷張っちゃえばなんともないんですけどね。


「大丈夫ですよ。バッチェ冷えてますねえ! 問題ないってはっきりわかんだね」

「お前……」


 このくらいは想定内です。マグナムは優秀なので、このまま勧誘して仲間にしましょう。


「こいつ学園の技術とかなめだしましたよ。やっぱ一年生なんすねえ」

「お前もそうだろうが」

「んまあそうですけど。学園は天才とか超人が集まってるから、お前の熱くらいじゃダメージ入らないやつもいっぱいいるんだよなあ。それに制御技術とか発明くらいあるに決まってんだよね。探せば見つかる可能性が濃いすか?」


 この世界の超人は水爆口にねじ込まれて起爆されても火傷すらしない連中なんだよなあ。オルインなめすぎい! ぬるいぜ。


「オレの力は自分でも底がわからねえ。いつか暴走するかもしれねえんだぞ」

「一年生で最強になりたいから入学したの! そのくらいの力が無いと困るのはこっちなんだよね。それ一番言われてるから。ごちゃごちゃ言わずに来いホイ!」

「………………HAHAHAHA!! そいつはいい! 夢はでっかい方が気持ちがいいからな! 乗ったぜ! よろしくなホルガン!!」

「オッスオッス!! アリシャス、マグナム!!」


 ああ~たまらねえぜ。やはり、テンポ良く仲間が加入すると、気持ちがいい。強そうなら最高や。至急、歓迎会くれや。


「そういやギルド名はなんつうんだ?」

「RTAなんだけどどう?」

「どうって何だ仮登録か? 決めろ。困るだろうが。入団届出せねえぞ」

「RTAでいきます。じゃあ俺、ギャラ貰って帰るから」


 RTAって何の略って聞かれたら困りますね。ロード・トゥ・アニマとかそれっぽい感じにするかも。意味なんて適当でいいんだよ上等だろ。まずけりゃ後で変更できるから、RTAとだけ書いておきましょうね。

 クエスト達成の報酬をもらったら、早速ギルドハウスへと案内しましょう。


「こ↑こ↓。悔い改めて」

「何をだよ。悪くない家だな」

「四部屋余ってるんで好きな部屋選んで、どうぞ」


 部屋決めすると家具が運び込まれます。内装に凝ったりもできますがパス。RTAなんだよなあ。


「後三部屋か。にしては家が広いようだが」

「風呂がでかいんすよね」

「そいつは嬉しい。気に入った」


 もう一人くらい勧誘したいですねえ! 必要なのは回復役かサポート役。もしくは軍師ですね。こればかりは運ゲーです。下手に原作キャラを引っこ抜くと、クソ長イベントに巻き込まれたり、神話生物とエンカウントして死んだりするからしょうがないね。


「ああ~うめえな~」

「フライドチキンは最高だぜ!」


 画面はお食事タイムですね。マグナムはアメリカンな食事を好むようです。なのでフライドチキンとピザが食卓に並んでいます。太るぞ。


「さっき今後のことチラチラ考えたんだけどさ」

「何の問題ですか?」

「サポートか回復できる仲間、欲しくないっすか」


 ここで知り合いがいないかと相談してみましょう。

 ゲーム側でホルガンくんに幼馴染が設定される場合もありますが、オープニングで登場しない場合は新キャラが優先されます。なので考慮しないものとします。というか家族構成とかランダムで作られたりするので、嫌い合っていると無駄なイベントでロスします。出るな。


「難しい問題だな。知り合いはギルドに入っちまっている。地道に依頼受けて、フリーのやつでも勧誘するか」

「そうだよ(便乗)俺も勇者科で探してみるからさ」

「戦士科とレンジャー科は任せろ」


 レンジャー科は別ゲーで言えば盗賊です。宝箱開けたりマッピングしたり罠に気づいたり、サバイバル技術のスキルもあります。パーティーにいるととても安全に進むのでほんま……マグナムくんはええ子やな。そのプリケツをラケットで叩いてあげたいわ。


「そういや勇者科って女ばっかりじゃねえのか? 男ばっかの家に来てくれるもんかね?」

「クゥーン…………」


 次のイベントまでにまだまだ依頼を受けられますし、大丈夫だってへーきへーき安心しろよ。別に絶対同居とかルールにないし、一人くらい余裕で勧誘できるから。タアイム欲しいだろ?

 と決意を新たにして今回はここまでです。いやあガバりませんね。まだ序盤もいいとこだからね。チャートと試走はだいじ。はっきりわかんだね。それではまた次回。

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