戦闘チュートリアル~ボス戦まで

 最強はまだ遠いRTAはーじめーるよー。

 前回はキャラクリとヴァン、ルナの加入までやりました。

 ここで非戦闘要員を追加したいところさんです。


「あのー、じゃあボクも入れてくれる?」


 後ろの席から声がかかりました。何急に話しかけてきてるわけ。


「ボクはルーミイ。どうかな?」


 鮮やかな水色の髪と目で、長い髪を左右で縛って前に出す、もみあげみたいな髪型のやつです。髪型の名前なんぞ知らん。ファッションとか興味ないんだよオラアアァン!!(全ギレ)

 ボクとか言ってますが普通の女の子です。ボーイッシュですらねえとかどういうことだよ。ままええわ。今回は許したる。


「オレはいいけど、何でまたオレらなんだ?」

「君たち強そうだし、ボク一人じゃ戦えないんで無理!」

「正直だなおい」

「あっ、いいっすよ!」


 こいつに戦闘力はありません。でも攻略が楽になるならOKです。


「よーし早速クリアしちゃおー! 現地にダーッシュ!」

「準備とかしなくていいのか? せっかちなやつらだな」

「せっかちなのは悪いことじゃないから」

「そうそう! いってーみよー!」


 はい場面が切り替わりまして『旅立ちの森林』です。

 静かで陽の光が差し込む明るい森ですね。


「今回はトラップも敵もいないみたいだから、一気にごーごー!」


 ルナは元気だなあ。テンションの高さがたまにうざいのですが、そこは忍耐だ。


「ここなら広いし、どんだけ動けるか軽く戦ってみるか?」


 ヴァンから提案されます。これが戦闘チュートリアルです。

 大抵の場合、そのPTで一番強いキャラが相手をしてくれます。

 経験値入らねえからパスだパス。


「んにゃぴ……しなくても大丈夫ですよ。バッチェ温まってますよー」

「そうかい。なら怪我しないように進むか」


 はい回避できました。戦闘はスキルや魔法を覚えれば選択肢が増えますし、高速のアクションは楽しいので好きなんですよね。ただこれRTAだから。さっさと全員がついてこれる速度で先へ進みましょう。


「ほらいくどー」


 青く透き通ったドーム状の結界が見えてきましたね。あれがボス戦エリアです。

 結界から入るようお声がかかったら、中に行きますよー行く行く。


「召喚科講師のチェルシー・リットです。順番に名前をお願いします」


 エルフの先生が待っています。先生は金髪でグリーンの瞳の巨乳女教師。しかも耳がとがっている。彼氏どころか男友達もなし。

 今日は膝まであるスカートと黒いタイツで、教師と魔法使いの中間っぽい形容するのが難しい服の上から薄いローブを着ています。

 そんな先生の前で戦闘準備を済ませましょう。


「ホルガン・モザイクロームです。15歳、学生です」


 四人の名乗りが終わったら、いよいよ最初のボス戦です。私はRTA的にはガチ勢を名乗れない気もしますが、アクションゲーマーとしてはガチ勢を名乗れると自負しております。このゲームも何年もやり込んでいるので、まあ戦闘で失敗することはありませんね(慢心)


「では四人のパワーを読み取り、ベストなモンスターをコールします。グッドラックです」


 はいこれがルーミイを入れた理由です。全員のパラメーターを参照してボスが出ます。原作でもPT全員がちょっと頑張れば倒せるレベルの敵が出ます。だから、非戦闘員を入れる必要があったんですね。


「みんな、よかったらこれ飲んで」


 ルーミイが細いビンに入った薬品を勧めてきます。え、何それは。


「ボクがギルドで作ってる強化ポーションだよ。ちゃんと販売許可もあるやつ!」


 おーええやん。非戦闘員の特典として、便利アイテムをくれることがあります。RTA的にも普通プレイにもうまあじです。


「ありがとナス! あぁ~うめえな~!」


 これで攻撃力が3%上がりました。うん、おいしい!

 RTAで速度と火力が上がるのはありがてえ。おお助かるタスカル。


「ありがとよ。貰った分は役に立つぜ!」

「ぱわーあーっぷ!!」

「いきますよーイクイク」


 ここで動けるようになるので、敵が召喚される前に動きの確認をしておきましょう。まだ神の血筋にしては初心者なので、あまり期待せずに見ましょうか。

 槍はぶん回しと三連突き。剣は斬撃飛ばしと軌道を変える五連撃。連撃は空中でも出せますね。地味ですが使いやすい技揃ってますよこいつは。おファッ!? 必殺技があるやん! ええやん初心者のM(モザイクローム)う!!


「ホルガン、お前の力も見せてもらうぜ!」

「見たけりゃ見せてやるよ!!」


 はいボスが召喚されました。こいつはギガントグリフォン。見ての通り頭の悪いやつだ。クチバシと翼の生えたモンスターです。RPGとかでよく出ますね。あのグリフォンでっかくして首を2個にしたら完成です。食事どうしてんの?


「クエエエエェェ!!」


 鳴き声もなんていうか普通。貧弱一般グリフォンが主人公様に勝てるわけがなーい。


「飛ばれると面倒だねー。羽から切っちゃったらどうかな? いけそう?」


 ルナが敵との戦い方を解説してくれます。参謀ポジのキャラが教えてくれるシステムなので従っときましょう。


「うっしゃぶった切ろうぜ。どっち切る?」

「右の方が若干太いんで、右じゃないすか?」

「太いんなら左切った方がいいと思うなボク」


 初手で飛ぼうとするか、炎のブレスを吐いてくるかで対応が変わります。

 今回はブレスっぽいので空いた口に槍をぶん投げましょう。しゃぶれよ。

 はい見事にヒット。もがき始めましたね。しばらく敵は攻撃できないチャンスタイムです。


「フリージングスピア!!」


 ルナの作り出す氷の槍が、どんどん翼に刺さっていきます。こいつの戦闘スタイルは魔法剣士です。育てれば両立したそこそこの強者になれますが、そこまで育てる必要はない。ないんだ。しょうがないね。


「ヴァン、左の羽オナシャス!」

「おっしゃあ! 全力ぶった斬り!!」


 パワータイプのヴァンなら、ザコの翼を両断するくらい容易いのだ。彼はこの時期でっかいバスターソードを使っているのですが、ホルガンくんより攻撃のスピードが速いです。

 現時点でも一年有数の実力者なので、今後もお世話になりましょう。


「援護するよ! ええい!!」


 ルーミイの投げた薬品が、グリフォンくんの顔にぶつかって割れましたね。どうやら痺れ薬っぽい。自分にできることをしっかりやる姿勢いいゾー。ベストを尽くせば結果は出せる。


「ホラホラホラホラホラホラホラホラ」


 ホルガンの速さと火力に物を言わせたラッシュを発動します。

 この試験が終われば回復してもらえますので、全力出していきましょう。

 連打を頑張ると威力と手数が上がる技なので必死こいて、どうぞ。


「オレも混ぜな! オラオラオラオラ!!」


 ヴァンが混ざってくれました。おっ、閃き発動ですね。


『合体技 剣戟ホラホラ祭りを閃きました』


 合体技を覚えました。幸先いいゾーこれ。これは原作でアジュが仲間と見せる即興合体奥義から来ているシステムみたいです。技の熟練度や相性、本人のセンスなんかも要求されるので運が良ければ出るくらいに思っておきましょう。


『仲間と近接攻撃をしている時のみ使用可能です』


 合体技のメリットは、味方の強さがそのままで攻撃に参加してくれて、燃費がいい点にあります。レベル1と99が使うと、99のステがそのまま攻撃に乗っかるので、うん、おいしい!!


「こいつで終わりだあぁ!!」

「はっきりわかんだね!」


 ヴァンの連撃で敵の体力が秒で溶けました。やっぱ、頼れる仲間は……最高やな!


「やったー! みんなつっよーい!」

「これは想像以上だね。君達についてきたボクの目に狂いはなかったよ」


 経験値はまあまあ、普通ですね。強すぎるやつは倒すのに時間がかかりますし、弱すぎても経験値が入らないのでNG。だから、ほどほどに強い敵を出す必要があったんですね。


「おめでとうございます。それではみなさんを校舎まで転移させます。ベリーグッドでしたよ」


 こうして転移してバトルは終了です。快調な滑り出しですね。というかここまででロスがあったら流石に……リセるやろきっと。

 さて校舎前に来ましたね。ぱぱぱっとお礼を言って去りましょう。


「みんな協力してくれてアリシャス! すっげえ助かったゾー」

「そりゃこっちも同じさ。ホルガン、お前さんセンスあるぜ。次会う時は戦ってみねえか?」

「あーいいっすねえ。そん時はオナシャス!」


 好感度高くて幸先いいですね。ヴァンは手合わせが成立するくらいこっちが強くなれば、経験値をガンガン稼げるので仲良くなりましょう。


「男の友情ってやつかな? とりあえずみんなありがとー! 無事突破できて助かっちゃった!」

「本当にありがとう。次も入れてもらえるように、薬学をもっと学んでおくよ」


 全員の好感度が上がっていますねえ。恋愛イベントが起きない程度に気をつけながら、程々に仲良くしましょう。


「じゃあな!」


 さて自分のギルドハウスに行きましょう。今回の家は一軒家ですね。小さめですが庭があって、壁は特殊な石っぽい素材です。まあコンクリとかない世界だし、不思議物質も多少はね? 学園はアホほど広いため、ほいほい家を建てても国土が余ります。簡単にハウスが建てられるんですね。


「こ↑こ↓」


 ギルドハウスがなんで安いの? と思うかも知れませんが理由があります。新築ですが、建築科の高学年が実習で建てるのです。なのでプロよりも当然クオリティは落ちます。それでも新築ですし、普通の一軒家でも広く感じますので、安く家を借りたい学生は嬉しいのです。両者にとってもとってもお得です(激ウマギャグ)


「新居に入って、どうぞ」


 ギルドに入らない理由ですが、並のギルドに入ると戦闘経験が積めず、自由度も低くなるのでキャンセルだ。種類だけは大量にありますが、ほとんどがRTA向きじゃないんですよね。雑用とかする時間を訓練に回したいし。


「のどか……喉乾いた」


 じゃあ原作キャラのギルドはどうかと言うと。

 アジュは本人が人見知りなうえ、起きるイベントがレベルカンストどころか限界突破前提なので却下。

 ヴァンはこの時期復讐の鬼で、ヴァン、ソニア、クラリスは正式にお付き合いしているカップルなのでホルガンくんの居場所がありません。

 ルシードは学園側が訳ありを集めた精鋭ギルドなので無理。


「あーうめえなー」


 そして何の実績もないホルガンくんはAランクギルドに入れないため、自分で作って制約なしの自由行動が最適解です。あと独り言多いぞホルガンくん。アイスティー飲んでる場合か。


「風呂入ってさっぱりしましょうね~」


 今回の家は風呂トイレ付きで、部屋が五部屋あるので、広くて日当たりのいい部屋を自室に設定します。家具をぱぱぱっと運び込んだら今回は終わり! 閉廷!

 次回に続きます。

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