第2話

 私の思い人は無口で無表情だ。全然話しをしない。来てくれるのは週に2回ほど。そんなことを頭の片隅で思いながら上半身を浴衣の上から撫でまわされる。今日は来てくれるだろうか。甘い息を吐きながら期待をいだく。そして、羽織の紐を解かれた時襖障子が開いた。一瞬夢か幻かと思った。そこに立っていたのは愛してやまないこの世でたった1人の思い人だったから。急いで原崎を泊まる部屋に案内する。客間に戻り私たちは抱きしめあった。けど、愛をはぐくむ暇もなく女将に呼び出された。

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