あとがき

 さて、二ヶ月以上に渡ってしまった、あんたの作品を紹介させてくださいH(はいぱぁ〜)も、いよいよエンディングを迎えることとなりました。


 読ませて頂いた作品は総勢82作品にもおよび、文字数に至ってはざっと計算しただけでも900万字を超えました。


 皆さまご参加頂き、本当にありがとうございました(開眼)


 あとがきということで、今回高評価をさせて頂いた作品の素晴らしいと思ったことを、一言二言くらい触れます。


 まああくまで、私個人の感想なので、読んでみてどのような思いを抱かれても自由なものだと、理解しております。


 順番は読んだ順なので、なんらかの含みや順位があるわけではありませんので、ご了承ください。





 まずは今回の企画の中で、最初の☆3作品、『ワイノ・ワイノ』


 文章の圧から考えると一般文芸寄りの印象ですが、特徴的なキャラクター達はとても印象に残りましたし、文章の程度がとても丁度良いのです。


 そして好きな現代ファンタジーということもありますし、人とイタチであっても心の葛藤や揺れ動きがきちんと描かれていて、読んでいて楽しかったのです。




 そして次は『雇われ医師と傲慢な求婚者〜古代ローマ身分差恋愛事情〜』


 古代ローマが舞台とあって、時代特有の建築物や装飾などの説明があり、その説明もくどくなくてとてもわかりやすいです。


 物語の雰囲気、キャラクター達が醸し出す、古代ローマ帝国ロマンスを思わせるちょっとした高貴さは新鮮で、完成度自体が高いなあと唸らされました。




 次はもふもふとした柔らかさもある『池崎さん! もふもふしてもいいですか?』


 小道具の使い方がめちゃくちゃうまく、見ている方の感情の揺れ動きを誘導するようなハラハラする展開。


 派手な物語では、最近案外おざなりにされがちなストーリー部分が、読んでいてとても心を揺さぶられる。意外性などよりも、純粋に力でやられたといった感じです。




 エターナル少年心を擽られる『亡国のプリンツェッサ』


 重厚だったり難しい言葉を羅列する文章って、読みづらかったりうっとうしく感じるリスクはあるのですが、この物語に至っては描こうとしている世界観とマッチしているので、気になりませんでした。むしろ味です。


 時止めだったり重力操ったり、チートの能力って色々あるものですが、なんといってもただ斬ることだけに特化した能力というところは、やはり熱いです。

 純粋な努力による磨き上げた剣技は、見ていて熱狂してしまいます。厨二心、大事。




 今回の第1位『元禄ぷろれす武芸譚 ケンタくん、ラリアット!』


 心情、情景、背景、神視点的解説など、あらゆる角度から描き尽くす圧巻な文圧。

 全力で語られる男の矜持には、熱狂せざるを得ません。


 そしてこの物語も、書き方的にはラノベよりも一般文芸的ですが、たまにはちょっとほっこりするようなサービスシーンもあったり。年を食うとライトノベルのあからさまなラッキースケベにはなんだか反応しなくなってのう……(老衰)

 いやでも、有名文芸にだってサービスシーン(そう表現すんな)はありますし。川端先生の『伊豆の踊り子』では、まだ若い少女が生まれたままの姿で、露天風呂から手を振ってくるシーンとかありますし。三島先生の『潮騒』なんて、雨に濡れた灯台で裸になってヒロインと向き合うシーンとか超萌えますからね(表現)。


 話が大脱線ですが、圧倒的なヒーローとしての理想像が詰め込まれているように感じました。下手に悪人にドラマを持たせるというよりも、わかりやすい勧善懲悪に、全てがすっきりとするハッピーエンド。最高ですね。




 そして案外自分でも以外なところで、『英雄たちの舞台裏』


 ヒーローにも色々あるよといった舞台裏の物語です。設定はあるのでしょうが、語り過ぎないところが好みです。


 ヒーローとして生きるものたちの鬱屈や葛藤。ヒーローというもののイメージを覆す実情など、やるせない思いを感想として抱きます。


 けれど、特に好きなラストシーンでは、今の生活にある細やかな幸せを感じられます。大きな感動というよりは、胸に落ちる小さな灯火の味を感じられました。




 現代における王道的な物語『囚われの魔王』


 テーマが最初から最後まで貫かれていて、適度に伏線も張られている、とても優等生的な物語だと感じました。


 勇者と魔王という関係性って、結構好きだったりすることもありますし、共に願う場所は一緒のところだというところ。

 そしてラストに向かうに連れての盛り上がりが心地よく、素直に感動させられました。




 ぶっちゃけもう出ないだろうと思っててやられた『千年王国978年目、崩壊の前兆と逢いについて』


 文章の力にグイグイと引き込まれます。曖昧にされた世界観は、わからないから読むのをやめてしまうリスクもある書き方のように思います。視点も一話ごとに変わるので情報は分散的です。


 けれども、どこか退廃的で灰色な世界観は引き込まれます。読み進めるごとに謎が繋がっていって、読めば読むほどディープに引きずり込まれていく。

 意外な展開もあり、なんだかんだで愛についての一つの結論が出る構成に、読後感はとても良かったです。













 色々と語ってきました。


 いいことも


 悪いことも


 そして全く関係のないことも。


 この公平さとは程遠い、感情に任せたアホらしい作品紹介は、だからこその味があるのだと自分で勝手に思っています。


 私がこんな文を書けたのは、皆様方の作品に触れられたからです。


 作品を読ませていただいて、もしかしたら出会うことのなかった出会いがあったからです。


 合縁奇縁。


 一期一会。


 いいか悪いかはともかく、全ての出会いが何らかの相互作用がもたらされたのです。


 それはきっと、私にとっての宝物です。


 紡がれる文章の力に、正直しんどいと思うことはありました。


 それでも、決して辞めてしまおうとなんて思えないほど、楽しませて頂いたのです。


 このふざけきった感想文に、何かしらを感じる必要なんてないですし、このまま忘れ去ってしまっても、あなたの人生になんの意味ももたらさないかもしれない。


 でも、ここで出会った奇跡、間接的とはいえ感想文から触れた作品との出逢い。


 どこかできっと、影響しているのかもしれないです。


 それはとても、うれしいですね。


 どこかの誰かが、どこかの誰かに何かを与えられたかもしれない。


 反対に、知らないうちに何かをもらっているのかもしれない。


 そんなやりとりはきっと大きな渦となって、世界を揺るがすような大いなる風を吹かせるのかもしれないのです。


 ここまでお付き合い頂き、まことにありがとうございました。


 またどこかで、お会い致しましょう。


 ふとした瞬間、どこかで名前をお見かけした時


 もしかしたら笑顔になってしまうかもしれない。


 そんな素敵な出会いに、これからがもっと楽しくなりますね。










 あなたの作品を紹介させてくださいH(はいぱぁ〜)




 〜Fin〜



















(さて)

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