元禄ぷろれす武芸譚 ケンタくん、ラリアット! 石田 昌行様 紹介文

 三重県について調べてみると、案外面白いものです。


 県民性で調べてみると、三重県の男性は真面目で嘘が嫌いで穏やかなのんびりやという傾向があるそうです。


 心当たりがあるようで、なんか恥ずかしいとも感じます。


 そして、恋愛には奥手でシャイだとか。














 うん、何も見えないけど?(目隠し)



 そして、データーでみると他にも面白い事実が。




 自然公園面積の割合:3位

 イオン店舗数:1位

 ミニストップ店舗数:1位

 ごみのリサイクル率:1位

 犬の登録頭数:1位

 工業生産額:1位

 園芸用品購入量:1位

 ゴルフ場数:3位

 在日外国人:3位

 もち消費量:9位

 洋食外食費用:43位

 超過労働時間数:1位

 ケーキ消費量:43位

 炭酸飲料消費量:47位

 麻酔科医師比率:47位





 何年前のデータかはわかりませんが、実は、犬の登録数が全国1位です。

 確かに近所にめっちゃ犬います。


 ていうか超過労働時間数1位はいかんでしょ……残業王国だということやんか。


(でもこれはあくまで公式記録なので、サービス残業はカウントされてないはず。きっと全国的にはサビ残含めたら1位のところがあるでしょ)


 で、炭酸消費が全国最下位なのは意外でしたが、実はもう一つ最下位があります。













 アルコール消費量も全国最下位らしいです。


 特に津の方の人間はどうやら下戸が多いみたいです。父親はここらの出身ですが下戸です。


 ↑でもこいついっつも飲み会とか言ってるやんか














 ……












 何も聞こえないです(耳栓)。



















 一昨日も飲み会、昨日も飲み会。


 その反動で、朝食はサラダ。昼食もサラダ。そしてきっと、夕食もサラダ。


 リアル草食系男子、どうも遠藤です。


 そんなわけでラスト。


 非常にお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。


 ケンタくん、ラリアット! をご紹介させて頂きます。


 熱き魂、男! 男! 男! の力強さを感じる物語です。

















 プロレス団体『アーク方舟』のエース、古橋こばしケンタ。


 190に迫る身長に屈強な肉体。丸太の様に太い腕を振り回し、対戦相手とは愚直なまでに真っ直ぐぶつかりあうスタイルを持つ。


 名勝負作成マシンと称されるほど、プロレスに対して真っ直ぐであり、言葉よりも肉体で語る。寡黙な性格も相まって、果たして結婚ができるのかと、周囲に心配されるほどの人物だ。


 プロレスの女神と結婚したと冷やかされるほど、プロレスを愛した男は、


 気がつけば、鬱蒼とした竹林にて目を覚ました。


 何が何やらわからぬままに、さらに事態はややこしくなる。


 突如少女が駆けてくる。艶のある黒髪を携えて、まだ幼い体を必死に振り乱して助けを求めてきたのだった。


「ならず者に追われています。どなたか存じませんが、何卒お助けくださいまし!」













 暴漢と対峙し、なんとか撃退した古橋ケンタ。


 決して格闘技ではない、命のやり取りを前提とした戦いに、鼓動は激しく乱れていた。


 少女は、ケンタにお礼を言った。


「高山藩にて剣術指南役を務めております秋山弥兵衛の娘、葵でございます」


 丁寧に名乗る葵に、ケンタは疑問を伝えた。


「ここはどこなんでしょうか?」














 時は元禄三年。仲夏、皐月の頃。

 ところは飛騨高山藩、三万八千石の城下。

 藩主は、六代・金森出雲守頼時。


 理由も何もわからないが、三百年以上に渡るタイムスリップに巻き込まれてしまった、らしい。



















 秋山家の道場に居候することとなり、門下生に対しても、プロレスの技と美学をケンタは存分に見せつけた。


 プロレスの戦いは、技と力のぶつかり合いだ。


 一方的に攻撃をするのではない。圧倒的な力でねじ伏せるわけではない。


 相手の力を引き出し、しっかりと己の身で技をくらってみせる受けの美学。


 どれだけの暴虐に晒されようとも、相手の力には屈しない。意地と意地とのぶつかり合い。


 木刀による刀打に耐え、痛みを決して顔には出さず、門下生を迎え撃った。


 葵の父、秋山弥兵衛はケンタを認め、ある願いを託した。


「我が娘、葵の身を守ってやってはいただけぬか」















 元禄時代にやってきてから、三月ほどの時間が経過し、ケンタはこの時代の生活に馴染みつつあった。


 そんな時、弥兵衛より唐突な依頼を申しつけられた。


「すまぬが、明日、私の名代として旅に出てもらいたい」


 行き先は尾張名古屋。とある手紙を、柳生喜十郎のもとへ届けて欲しいとのことだった。


 ケンタと葵の二人旅が始まる。


 まだ十五を目前にした若い娘との二人旅を、弥兵衛は決意を秘めた胸中を隠し、送り届けた。




 葵


 これが今生の別れぞ

















 二人旅は決して楽なものではなく、ハプニングの連続であった。


 悪漢に絡まれた少年を助け、白髪の僧侶と武について熱く語り、悪侍を退けた。


 ケンタは、一つの決意を握った。


 もしかしたらもう、元いた時代に帰れないかもしれない。


 この時代を本気で生きていく、覚悟をしなければいけない。


 ケンタは、葵に一つのお願いごとをした。



 もし良かったら、俺の『ファン』になってくれませんか?


 え? 『ふぁん』とはいったい


 応援してくれる人って意味です




 プロレスラーは、ファンのために戦います。ファンのいないプロレスなんて、具のない味噌汁と同じです。

 葵さんが俺のファンになってくれたら、葵さんのためにがんばります。


 葵さんのためのプロレスラーになります




 葵は、一瞬思案する素振りを見せ




 それが古橋さまにとって必要なことなのでしたら、葵は喜んでその『ふぁん』とやらになりましょう



















 しかし、彼らを飲み込む策謀のうねりは、確かに侵攻していた。


 かつて、己が強さのみを追い求めた羅刹は、敵の軍門にくだり


 葵の父、弥兵衛のもとへ、襲撃が訪れる。


 その狙いは、







 一人娘の葵。














 プロレスラーは諦めちゃいけない。


 それがどんなに困難な道であっても、常に前向きでいなくちゃいけない。


 見てくれている人に大きな『夢』を与えるから。


 どれだけ強かろうとも、お客さんに夢を与えられない者、その夢を背負えない者はプロレスラーとして失格だから。




 古橋ケンタは諦めない。


 どれだけの猛襲にその身を削ろうとも。


 どれだけ体が悲鳴を上げようとも。


 諦めない。


 刃物で切られて、足には穴も空くほどの大怪我を背負っても、それでもケンタは進み続ける。


 ただひたすら、真っ直ぐに。


 ただただ、愚直に。


 歪みもひずみもない闘志に燃えたその瞳。


 たった一人の、大切な『ファン』を守るため。


 夢を与えるために、現実には真っ向から立ち向かわなければならない。



















 権力への妄執に囚われた、哀れな悪代官に、ケンタは戦いを挑んだ。


 身の程を知らない非礼。疲弊した体を引きずる姿は、冷静な判断もできない阿呆に見えたことだろう。


 けれど、ケンタは立ち上がる。


 何度だって、立ち上がる。


 整えられたリングは、最高の舞台だ。


 最初から最後まで、古橋ケンタはプロレスラーだ。


 その振る舞いはファンのため。


 しかし、ケンタの胸に宿る思いは、確かにもう一つあった。




 武を極めんとする本物の達人と、血の滾る大勝負をしてみたい。




 野蛮と言われても仕方がないのかもしれない。


 暴力的だと罵られることもあるのかもしれない。


 それでも、男として生まれた魂があるから


 ケンタは戦う。


 誰よりも気高く、


 誰よりも、楽しみながら










 俺が危機に陥った時、魔法の言葉を叫んでください


 魔法の言葉で、ありますか?


『ファン』として俺の名前を大声で連呼してください。


 その声が、声に載せた思いが、俺たちプロレスラーにとっては何よりの活力になるんです



















 一つの国を傾ける、それほどまでに重い勝負であったはずだ。


 しかし、誰もがそんな意義など忘れ、二人の男に見蕩れていた。


 戦う姿に、熱狂を感じていた。


 飛び散る汗は試合の軌跡。


 技と技とがぶつかり合う、鋭い轟音は男たちの咆哮だ。


 会場が湧き上がる。全てが溶け出しそうな熱気の中。


 プロレスラーは、何度でも立ち上がって見せた。



















 愚直たる突撃。


 狂いそうなほどの熱狂。


 男の矜持と夢の詰まった。


 元禄に轟くぷろれす武芸譚



















 元禄ぷろれす武芸譚 ケンタくん、ラリアット!


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880296174





 プロレスラーは、『夢』を見せる。


 夢は、現実に負けない。





















 魂のこもった熱さを、ぜひとも読んでいただきたいものです。


 どうしても語るのには限界がありますし、感じ方は人それぞれだと思うので。


 男としての熱い気持ちを想起させられた、素敵な物語に出会わせてくださり、本当にありがとうございました。







 それでは遅くなりましたが、いよいよエンディングです。

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