どうして勉強するのか
「どうして勉強しなきゃいけないの?」
大人ならば子供から一度は聞かれたことがあるはず。皆さんはどう答えますか?
「しなきゃいけないことになってるから」「入試に受かるため/いい会社に就職するため」「日常生活で役に立つかもしれないから」
色々説明の仕方はあると思います。そこで、今回は僕なりの「勉強をしなきゃいけない理由」を記してみたいと思うのでご参考までに読んでみてください。
まず前提として、勉強には二種類があると思います。一つが国語や数学などの教科の勉強、もう一つは自分で考えるタイプの勉強です。
自分で考えるタイプの勉強というのは、そもそも「しなきゃいけないもの」ではないし皆さんは無意識にやっているはずです。例えばゲームをするとして「どうやったら強くなれるんだろう」とゲームの知識を「勉強」して色々と試行錯誤してうまくいく方法を「勉強」しているわけですよね。「人間は生涯学ぶ生き物である」とどっかの偉い人が言ってましたけど、そこでいう学ぶというのはすなわちこれのことです。
多分子供たちが言いたいのは主に教科の勉強の方だと思います。つまり高校までのいわゆるお勉強ということになるわけですが……。実はこっちも考えるタイプの勉強と無関係なわけではありません。
例えば「ゲームが作りたい」となった場合、当然プログラミングの技術が必要になります。プログラミングには当然数学などの知識が関わってきます。数学って四則計算以外はほとんど日常生活で使わないんですけど、仮にゲームを作りたいならどこかで数学をちゃんと勉強しなきゃいけないわけです。
これも偉い人の言葉で「勉強は未来の可能性を広げるためにするものだ」という言葉がありますが、それの真意はこれです。自分のやりたい勉強、自分で考えてやる勉強の基礎として教科の勉強が役に立つかもしれないということです。自分のやりたいことに繋がるんならしょうがないか……と思って素直にやってくれる子がいればいいんですけどね。
実際問題、役立つ「かもしれない」とか言われたらむしろやる気なくします。僕もそうでしたし。そもそも仮に必要になったらその時に勉強し直せばいいじゃないかという意見もあって、それはそれで正しいと思います。大人になると子供より理解力が落ちてしまうこともありますが、夜間中学だとかで「学び直し」をしている大人もたくさんいるわけですからね。やるのに遅いということはない、それは事実です。
なのでもう一つ、とっておきの説明をご紹介します。ずばり「教科の勉強をしていないと悪いヤツに騙される」ということ。ゲゲゲの幾多郎の目玉おやじも同じようなこと言ってましたね。
一時期「血液クレンジング」なるものが流行りました。「黒く汚くなった血液もこの機械を通すと元通りの綺麗な赤に!!」……という話。中学の理科の知識さえあれば明らかにおかしいと判別することができます。また、それよりも流行ったのが「水素水」。水素はそもそもほとんど水に溶けませんから水素が入っているということ自体が嘘ですし、水素は火気に触れると爆発しますから水素が入っていたら入っていたで大変な危険物です。これも中学理科の知識で明らかな嘘だと分かります。
でもそれに多くの有名人が騙されて、一般人も多くの人が騙されました。それは何故か。これはいわゆる「洗脳」というやつです。洗脳でママ友の子供を餓死させるとかいう事件も最近ありましたね。
水素水については一部マスコミが健康商品として祀り上げたことで「これはいい商品なんだ」と勘違いされ、また有名人などが宣伝することでそのイメージがさらに拡散されてしまったのです。今挙げたのはとても顕著な例ですが、もっと微妙なラインの話なら無数にあると思います。
それで最初の話に戻りますが、そんな洗脳から身を守るのがずばり知識なわけです。周りのみんなが「これは本当にいいものなんだよ」と言っていたとしてもしっかりとした知識があれば「これは違うんじゃないか」と疑うことができます。
さっき出したのは理科の例でしたが、例えばマスコミが「合計感染者数」グラフを見て「全然減りませんねえ」とか言ってた場合は数学の知識があれば「このグラフの縦軸って合計じゃん」と気付くことができますし、詐欺師の口車も大抵は論理的に破綻していることを無理矢理「それっぽく」きかせてくるものなので「論理的に破綻してますよ」ということが分かれば対処が可能になるわけです。
もちろん知識があるからといって引っかからないわけではない(オウム真理教とかも高学歴な人の集まりでしたしね)ですが、少なくとも対処できる幅は広がると思います。残念ながら洗脳から身を守れるのは自分しかいません。マスコミも親も先生も場合によっては信用できないですし、万が一洗脳状態になったらもう他の人が説得しても聞き入れられなくなっています。洗脳とはそういうものです。
……これが僕なりの教科の勉強をしなきゃいけない理由です。真面目な話、最近アヤシイものにハマる人が増えてしまっていますから、それを抑制するためにもこの説明は使えるんじゃないかなと思っています。
前花しずくの教育論 前花しずく @shizuku_maehana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。前花しずくの教育論の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます