教育社会学とは何なのか
「教育社会学」とはいうものの、そもそも「教育」と「社会学」という二つの語からなる合成語である。教育学はもちろん、子供の学習や子供たちに対する周囲の大人の態度についての学問であるが、曲者なのが社会学だ。
一般に社会学と言うとコメンテーターとして世界情勢を解説していたり、あるいはデータなどを元に小難しいことを考えているイメージがあるに違いない。もちろんそれも間違いではないのだが、広義の「社会学」と言った場合にそのすそ野はとてつもなく広くなる。一言で言ってしまえば「当たり前を問い直す」学問である。
よく見られるのは人権問題についての研究である。どういうプロセスを経て差別などの問題が起こるか、結果としてどのような影響があるかをデータを元に考察する。実はフェミニズムなどに関係する「女性学」という学問も社会学の一部であるという(冷静に問い直しを行っていく、という趣旨から見ると、キャンペーンに即した学問である女性学は社会学の定義から漏れているような気もするが)。
その他、いわゆる「統計学」の範疇に含まれる経済方面の研究をする学者がいたり、場合によっては思想的なことさえ社会学に含まれる。
その多種多様な方面に枝分かれする社会学と教育学のあいのこなのであるから、当然定義は余計に取りにくい。試しに「日本教育社会学会」のホームページより、論文、評論のタイトルを一通り眺めてみた。中でも目立つのは「若者」という単語。若者と呼ばれる層に変化があったらば、その原因が教育にあるのではないかという推測の元での研究が多いということだろう。また、「貧困」や「少子高齢化」などの社会問題と教育の因果関係を探るものも多かった。
今挙げたようなものは全て「社会の問題を教育の視点から見る」、つまり「結果が先にあってその原因を教育に求める」ものになるわけだがその逆、「教育の問題を社会学的視点で捉え直す」研究もある。例えばいじめの問題や不登校などの問題の要因を社会に求めるもの。このような相互関係があって、初めて教育社会学は成り立っている。
基本的に社会学は「偏りなく冷静に」検証することが大切なわけだが、教育についても思想の偏りなく冷静にそれぞれの課題が議論されていくことを切に願うばかりである。
参考
授業プリント(第一回)
Wikipedia「社会学_概要_主な理論と方法論」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6)
日本教育社会学会HP(http://www.gakkai.ne.jp/jses/publication/memoir/)
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