前花しずくの教育論

積極的不登校

　先日から暫く流れてきている不登校の小学生のユーチューバーの話題。ツイッター上は「けしからん」「常識はずれだ」と反対意見ばかり目に付きました。

　そんなわけで、今回はそんな自発的な不登校(積極的不登校)について話してみます。

　まず語句の確認ですが、いじめや精神的な病気などで「学校に行きたくても行けない」ことを「消極的不登校」、自分から「学校に行けるけど行かない」ことを「積極的不登校」と言います。

　例の小学生ユーチューバーに関して言えば完全な積極的不登校です。宿題をしたくない、学校にいるとロボットになってしまう、などの理由で自分で不登校を選択しています。

　さて、ではツイッター上でこの行為がどう批判されてるのか見てみましょう。

　まず一番多かった批判が

・義務教育を受けなきゃ常識外れになる

・ロクな大人に育たない

というもの。

　これに対して最初に言いたいのは「常識、ロクな大人ってなんぞ？」ってこと。僕なんかはここまでの教育論で書いた通り学校での教え方やなんかにはほぼ全面的に反対ですし、そのやり方が絶対に正しいとは思えません。百歩譲ってそれがハマる子もいるでしょうが、少なくとも学校で優等生になっていれば常識が身につくかどうかなんて断言できないはずです。高偏差値の大学で馬鹿なことやってる奴らがいますね？つまり学校の勉強の良し悪しは常識に比例しないと思います。

　次に多く見受けられたのはこれ

・教育を受ける義務があるだろ！

・教育を受けさせる義務があるだろ！

　まず最初に言っておきますが、日本において教育を受ける義務などありません。あるのは教育を受ける権利と教育を受けさせる義務。

　だから「教育受ける義務知らねーのかww義務教育受けてねーからしょうがないなww」とか煽ってる人は自分が義務教育受け直して下さいね。あなたに彼を批判する資格などありません。

　それから、何故だか「教育を受けさせる義務」を「学校に行かせる義務」だと考えてる人がいるようですが、つまりその人たちは「親は子供に教育しない」とでも思ってるんですかね。教育は自宅でもできますし、学校に通わせない=教育を受けさせてない、という式は成立しません。人の批判する前に日本語の勉強しましょう。

　もっと言うと、こういった義務や権利を定めているのは憲法です。憲法って何のためにあるかご存知ですか？国家や公的組織の行動を制限するためにあるのですよ？個人の行動を制限するのは法律です。これ、中3の公民の範囲です。

　ですから、必死で「この親は違憲だ！馬鹿だ！」と騒いでる方いらっしゃいますが、憲法は個人の行動には関係ありません。仮に適切な教育が行われていないと判断されたなら、児童相談所などが対応するべきだ、という話です。馬鹿の一つ覚えのように違憲だ違憲だと騒いでる人は、中学校から勉強し直してください。

　それからこんな意見も見受けられました。

・宿題が嫌な程度で不登校とかwみんなはできてんだぞw

・このくらい我慢できなきゃ社会で生きていけない

　そもそも、これを書き込んでいるのが中高年の人だとするならば、あなた方の年代とは教育方針はだいぶ違うはずですから、思考停止で「勉強しろ」と言うのは無責任極まりません。

　また、発言者が仮に同じような状態を経験していたとしても、「みんなが我慢してるから」我慢しろ、などという論調ははっきり言って破綻しています。それは「勉強は我慢するものだ」と認めているようなもので、勘違いも甚だしいです。勉強ってそういうものじゃないでしょう。

　文部科学省(当時の文部省)は生徒指導について「一人一人の生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現が出来るような資質・態度を形成していくための指導・援助」と記されています。教育指導においてもこれは適用されて然るべきです。今回の件にしてもそうですが、往々にして教育者は「一人一人の生徒の個性の伸長を図」ることを疎かにしがちです。結局今回の件だって「ひたすら宿題を出す」という子供のことを考えない指導によって引き起こされているのですから、強いて言うなら教員の指導力不足です。

　もちろん全員に合う授業をするなんてことは困難を極めると思いますが、しかしひたすら問題をやらせればいいというような教育は、少なくとも後進的だと僕は思います。し、それを子供に我慢させることが常態化するのは非常に嘆かわしいです。そんなことをしないと生きていけない社会なら、僕はあぶれもので結構です。

　僕は別に学校に行かないべきだとも行くべきだとも言うつもりはありませんが、本人とご家族が選んだ道を他人が否定する理由はないと思います。もし明確に目指すものがあるのならばそういう場に積極的に飛び出していくべきだと思います。

　また、「学校がなんか嫌だ」という漠然とした気持ちでも、一旦不登校を選ぶことで見えることもあると思います。選択肢の一つとして、積極的不登校はあってもいいんじゃないですか？

ということでまとめ。

・学校行かないと常識身に付かないって誰が決めたの？

・子供に教育受ける義務はないし、親にも学校行かせる義務はない

・周りに合わせて我慢しろ、なんて抜け出せない人間の妬みでしょ

　かなり喧嘩を売ったような内容ですが、支離滅裂ではないはずです。皆さん、他人を叩く前にまず自分の知識や常識が正しいかどうか、よく考えましょうね。