自分にできることとは
楽しい食事が終わるとルルは仕事に戻り、男性陣はそれぞれの部屋へと戻っていく。
途中でカズチとも別れて、ユウキとは部屋の前で別れた。
ガーレッドはフルムと遊びたがっていたのだが、ユウキには荷物の片付けがあったので諦めさせた。
「ビギャー……」
「忙しいんだから仕方ないだろ。ガーレッドは僕が忙しかったら、一人で遊びに行くの?」
「……ビギャ」
「行かないの? どうして?」
「……ピギュギューギュ」
「離れたくないんだね。それだったら、フルムもユウキから離れたくないと思うよ。フルムだけを連れてくるわけにもいかないよね?」
「……ピピー」
うん、納得してくれたみたいでよかった。
「ユウキの時間が作れたら、みんなで遊びに行こうね」
「ピキャン!」
「カズチやルルも一緒だと嬉しいよねー」
「ピキャキャーン!」
両手をパタパタさせる動きは何度見ても可愛い。
ただ、
そろそろ可愛いだけでは喜んでくれなくなるかもしれないなぁ。
「成長したガーレッドも見たいけど、今の可愛いガーレッドも捨てがたい……」
「ビギャー!」
「あはは、やっぱり怒った?」
「ビギギー!」
ガーレッドは前々から僕を助けたいのだと言っている。今のままだと助けることができないと思っているのだろう、僕の悩みに対して怒りを露にした。
「早く大きくなりたいの?」
「ピキャン!」
「僕は……極力危険なことに首を突っ込まないよ?」
断言できないのが残念である。
「ピピキャーピキャー!」
「関係ないの?」
「ピキャン!」
「……そっか、そうだよね」
早く大きくなりたい、大人になりたい。
子供の頃の僕もそう思ったことはあったはずだ。……まあ、今は子供の姿なんだけどね。
ガーレッドだって早く大きくなりたいだろう。特に空を飛べる霊獣なのだから自由に飛び回りたいと思っているかもしれない。
「……よくよく考えたら、僕もガーレッドの背中に乗って飛んでみたいかも」
「ピーピピキュー!」
再びの手をパタパタ……うん、安定の可愛さである。
「でも! 炎晶石を食べるのはちょっとずつだよ」
「ピ、ピピー?」
「食べ過ぎは体に良くないんだ。霊獣はどうか分からないけど、きっとそうだと思うから少しずつだよ」
「……ピー」
たくさん食べて早く大きくなりたかったのだろう、手を下ろして顔もうつむかせて見た目に分かるくらい落ち込んでしまった。
「……それじゃあ今日の分、食べる?」
「ピキャーキャー! ピピー!」
そして炎晶石を出した途端に元気になるのだから、ガーレッドも現金だと思ってしまった。
「ほら、お食べ」
「ビギュー! ビーギュー!」
バリバリと音を立てて食べる姿を見ると、本当に炎晶石が好きなんだと実感する。
「元気出た?」
「ピキャーキャーン!」
以前あげた炎晶石よりも少し大きい物をあげたので満足感はあるはずだ。……ガーレッドの落ち込む姿を見せられると少しくらい贅沢させてもいいかなって思ってしまうのだ。
「今日はもう寝る?」
「ピー……ピピ」
寝る、と言ってきたのでベッドに横になり添い寝をする。
普段のガーレッドならうつらうつらしてくるのだが、今日は目がぱっちりと開いている。
本当に寝るのかなと思っていたのだが、横になり胸をポンポンと叩いていると瞼が重くなってきたようで半開き状態になってきた。
「……お休み、ガーレッド」
「……ピピーピー」
返事を聞いてから数秒後、ガーレッドから可愛い寝息が聞こえてきた。
深く寝入るまでポンポンと胸を叩き、僕はゆっくりと体を起こして椅子に腰掛ける。
「……今日も楽しかったなぁ」
まだ眠くなっていない僕は、カマドに戻ってきてから今日までのことを振り替えることにした。
鍛冶スキル、魔素分解スキル、鑑定スキルを習得していたことに驚き、魔導スキルと合わせると固有スキルを四つも手に入れることができた。
次は錬成スキルだけど……もしかして、もう習得してるなんてことはないよね。だって、ミスリルとアスクードの錬成で一級品と超一級品を錬成できたんだよ? 可能性はあるんじゃないかな。
「……今度、ゾラさんにお願いしてみようかな」
頻繁にやることではないと思うけど、固有スキルを確認するには鑑定水晶に頼るしかないのでお願いするしかない。
「なんだったら、僕も鑑定水晶を手に入れられたらいいんだけどなぁ」
そうしたら好きな時にスキルの確認ができるし、他の人のスキルも確認できる。
今の僕には他に鑑定する人なんていないのだが、この先何があるかなんて分からないもんね。
「……なんだか最近、将来のことばかり気にしてる気がするなぁ」
これもカマドに戻ってきてからだ。……いや、違うか。これはゾラさんとソニンさんが巻き込まれてから、だったかな。
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