(Two)

「なあ、塔の上の姫の話、知ってるか」

「そりゃあもちろん、知っているが。そんなおとぎ話が、何だっていうんだ?」

「あの話には、続きがあるんだと」

「へえ? 王子でも現れるのか?」

「いや、その類の後日談ってわけじゃない。続き、と言っていいものか……裏話、みたいなもんだ」

「で、それがどうしたって?」

「ああ。その姫が『時』を守るのをやめるとだな――」


「へえ」

「だから、もしこのおとぎ話が本当だとすると、今でも北の森には塔があって、そこには当時の姿のまま『時』を守りつづけている姫がいるはずなんだ」

「おい……お前、本気で言っているのか?」

「実際、北の森の奥には、古い塔が建ってるんだよ」

「嘘だろ?」

「本当さ。今度、上ってみようと思ってる。もしこの話が本当なら、塔の上にいる限りは年も取らず、死ぬこともない」

「は。なら相当籠っていないとな。次に会った時にもお前がその顔のままだったら、信じてやってもいいさ」

「そうか、本当だな? 本当に信じるな?」

「冗談はよせ」

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