第十九話 そして帰路へ

 村へ戻った後、私達は採取した素材とダインから譲り受けたプラントタートルの幼体をアルバトロスへと積み込んだ。


「どうせならもうしばらく滞在してけばいいのに」

「そうもいかないっすよ。皆向こうでの仕事とか色々あるっすから」

「ギルドの皆さんに迷惑をかけないようにな」

「大丈夫っすよ! まあ、またそのうち来るっすよ。それまで二人共元気で」


 お世話になったザックの家族との別れも済ませ、飛空艇アルバトロスはイリオスへと向けて飛び立った。


「材料は揃ったけどソニーは笛を作れるの?」

「ええまあ、道具さえあれば出来ますよ。私の故郷では子供でもそれくらい出来ましたから」

「そういうことなら知り合いの鍛冶屋に頼んでみましょうか。マチェットさんって人なんだけどよくうちに来るから」

「さすがマコ様、頼もしい限りです」

「ところで、笛が出来たらその後どうするの?」

「イリオスは居心地が良いですしお世話になった方々に自分なりに何かしら恩返しをしたいと思っておりますので、再び旅に出るとしてもその後ですかね」

「そう、まあもうしばらくしたらドラゴンスケイルももっと忙しくなるでしょうし、その方がロゼリアさんも喜ぶんじゃないかしら」

「それはどういう意味ですか?」

「そのうち分かるから内緒、でもきっと楽しいわよ」


 イリオスに到着すると兄さんが出迎えてくれた。

 飛空艇アルバトロスにはさすがの兄さんも驚いたようだった。


「まさかこんな物を買っていたとは……」

「兄さんも今度乗せてもらえば?」

「そうだな。飛空艇に興味がないと言えば嘘になる。それで、笛の素材集めは上手くいったのか?」

「もちろんよ。それで笛作る道具をマチェットさんから借りたいんだけど、兄さんからお願いしてもらえない?」

「ああ、構わないよ。それくらいお安いご用だ」


 後日マチェットの協力もあって無事ソニーの笛が無事完成した。

 ドラゴンスケイルに行くとたまにソニーが演奏している姿を見ることが出来る。

 プラントタートルはモンスター牧場ですくすくと成長しているらしい。


 そして、年に一度の祭りの季節がやってくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る