止まらない波②

「し、しかし、どうしてこんなことが……? いきなり姿かたちを変えてしまうなんて……」

 チェカは、一体何をどこから説明しなければいけないのだろうと戸惑った。

「まあ、落ち着けチェカ。一度深呼吸をしろ」

「は、はい……」

 正太郎にうながされ、チェカは目をつむりながら、震え声を無理やり正そうとすると、

「なあ、チェカ。こういう時は、いちいち言葉にしようとするとかえって混乱しちまうってもんだ。だからお前は、俺の問いにイエスかノーで答えてくれればいい」

「は、はい……」

「もう一度聞くが、あれはお前の相方のチェン・リーで間違いないんだな?」

「はい……」

「じゃあ、もう一つだけ聞く。奴はどんなタイミングであんな風に変化しちまったんだ? たしかお前は、奴が興奮したタイミングでいきなりあんな姿になっちまったとか言っていたな?」

「はい……」

「ふむ、そうか」

 うなづいて正太郎は、少し眉間に指を立て、険しい表情で考え込んでから、

「な、なあ、チェカ。それって……そのもしかしてなんだが」

「ええ」

「奴が興奮した原因というのは、お前への嫉妬からなんじゃねえのか?」

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